慢性的な下痢を示したマルチーズ, 4歳齢, 雌に対し, 各種検査を行ったところ, 血液検査では重度の低蛋白血症, 低アルブミン血症および低カルシウム血症が, 内視鏡検査では十二指腸粘膜の重度の浮腫が認められた.また, 内視鏡下生検による十二指腸粘膜の病理組織学的検索では, 軽度のリンパ管拡張を伴うリンパ球性プラズマ細胞性腸炎の所見が得られ, 本症例はそれに続発した蛋白喪失性腸症と診断した.プレドニゾロンを中心とした治療を開始したが, 肝酵素活性値の上昇を認め, プレドニゾロンの漸減を余儀なくされた.そこで, プレドニゾロンの併用薬として, 強力な免疫抑制剤であるタクロリムス, アザチオプリン, シクロスポリンを順次使用した.なかでもシクロスポリン併用時に, 良好な結果が得られた.
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