乳牛の乾乳期および泌乳初期における栄養状態が, 排卵同期化・定時人工授精 (Ovsynch/TAI) の受胎率に及ぼす影響について検討を行った.54頭のホルスタイン種経産乳牛において, 分娩予定10日前および分娩後30日の計2回, 採血を行い, 血糖, 遊離脂肪酸, ヘマトクリット (Ht), 尿素窒素 (BUN) および総コレステロール (Tcho) の測定を行った.試験牛のうちOvsynch/TAIを行った39頭の受胎率は43.6%であった.分娩後30日の血糖およびBUNが基準値よりも低い例では, 基準値範囲内の牛に比較してOvsynch/TAIの受胎率は低い値を示した (23.5% vs 59.1%, 27.8% vs 61.1%,
P<0.05).以上より, 分娩後30日に低血糖および低BUNを示す乳牛では, その後に実施するOvsynch/TAIの受胎率は低くなることが判明した.
抄録全体を表示