条虫症の新しい診断法として, 虫体に存在する糖脂質を利用する目的から, 犬, 猫に寄生する瓜実条虫
Dipylidiumcaninumの糖脂質を単離・精製し, その糖鎖構造をガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー (GC/MS) および薄層クロマトグラフィー (TLC) 免疫染色により解析した結果, これまで多包条虫
Echinococcus multilocularis (エキノコックス) などの円葉条虫から報告があったGall-6Gal結合を基本骨格糖鎖とするneogala系列の糖脂質であることがわかった.またneogala系列の糖脂質を有する縮小条虫
Hymenolepis diminutaを感染させたラットの血清を用いて, 虫体由来糖脂質を抗原としたTLC免疫染色を行ったところ, 陽性反応が認められた.このことから感染宿主の血清を用いた診断法の可能性が示唆された.
抄録全体を表示