日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
Print ISSN : 0446-6454
ISSN-L : 0446-6454
60 巻, 10 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 学校獣医師制への戦略
    池本 卯典
    2007 年 60 巻 10 号 p. 674-675
    発行日: 2007/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 知香, 大塚 浩通, 小比類巻 正幸, 鴇田 真弓, 寺澤 早紀子, 安藤 貴朗, 渡辺 大作, 佐藤 繁
    2007 年 60 巻 10 号 p. 709-714
    発行日: 2007/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    牛群における免疫プロファイルテストの有用性を明らかにするため, 飼養管理が異なるA, BおよびC群において代謝プロファイルテストに加え, 末梢血単核球の解析を試みた.AおよびB群の周産期疾病の発生率がC群に比べ高かった.血液生化学成績においてA群では乾乳期に遊離脂肪酸 (NEFA) が他の2群に比べ高値であり, B群では乾乳期から泌乳期にかけて総コレステロール (TC) と血糖値が他の2群に比べ高値であった.C群ではこれらの成績はほぼ正常範囲内にあった.免疫学的検査からA群では, 分娩後1から4カ月にかけてCD4+/CD8+比およびIFN-γ/IL-4比がB群とC群に比べ低い傾向にあった.これらのことから牛群における免疫プロファイルテストは牛群の免疫状態を評価するために有用であり, 乾乳期の飼料設計に不足のあったA群では分娩後に細胞性免疫機能が低下しているものと示唆された.
  • 後藤 敬一, 石橋 和樹, 江崎 健二郎, 山中 章喜
    2007 年 60 巻 10 号 p. 715-717
    発行日: 2007/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    2004年1月, 38頭のホルスタイン種を飼養する酪農場において, 呼吸器症状を主徴とし, 下痢および搾乳量の減少を伴う疾病が認められた.発症牛群の糞便および鼻腔拭い液から牛コロナウイルス (BCV) 遺伝子が検出されるとともに, 鼻腔拭い液からBCVが分離され, さらに, 発症期および回復期の血清でBCVに対する鶏赤血球凝集抑制抗体価が有意に上昇した.いっぽう, 牛RSウイルス, 牛伝染性気管支炎ウイルス等の呼吸器病起因ウイルスは抗原検索, 分離ともに陰性であり, 抗体検査でも有意な上昇を示さなかった.また, 有意な病原細菌および寄生虫は確認されなかった.これらの結果から今回の症例はBCV単独によるものと思われた.
  • 川上 泰, 西口 侑希, 益子 顕子, 野田 亜矢子, 梅原 梓里, 中村 和生, 内田 明彦
    2007 年 60 巻 10 号 p. 719-723
    発行日: 2007/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    条虫症の新しい診断法として, 虫体に存在する糖脂質を利用する目的から, 犬, 猫に寄生する瓜実条虫Dipylidiumcaninumの糖脂質を単離・精製し, その糖鎖構造をガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー (GC/MS) および薄層クロマトグラフィー (TLC) 免疫染色により解析した結果, これまで多包条虫Echinococcus multilocularis (エキノコックス) などの円葉条虫から報告があったGall-6Gal結合を基本骨格糖鎖とするneogala系列の糖脂質であることがわかった.またneogala系列の糖脂質を有する縮小条虫Hymenolepis diminutaを感染させたラットの血清を用いて, 虫体由来糖脂質を抗原としたTLC免疫染色を行ったところ, 陽性反応が認められた.このことから感染宿主の血清を用いた診断法の可能性が示唆された.
  • 小山田 敏文, 奥島 久孝, 安藤 亮, 朴 天鎬, 吉川 博康
    2007 年 60 巻 10 号 p. 724-728
    発行日: 2007/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    10歳, 雄の日本猫が喉の異常音, 嘔吐, やがて嚥下困難を発し, 触診およびX線検査により右下顎腺の腫大が発見された.摘出した下顎腺は病理組織学的, 免疫組織化学的に希有な組織像を示す唾液腺悪性混合腫瘍と診断された.腫瘍巣の全域にわたって正常な下顎腺組織は存在せず, 扁平上皮癌, 間質における筋上皮細胞の増殖巣, 筋上皮細胞の骨芽細胞への分化と類骨・石灰化骨梁の旺盛な形成を伴った骨肉腫により構成されていた.しかし, 腫瘍巣には粘液性基質や軟骨性基質はまったく存在せず, 猫でこれまでに報告のないまれな混合腫瘍であった.
  • 乙部 有加, 森 崇, 坂井田 誠, 山田 雅人, 小林 慶哉, 児玉 篤史, 酒井 洋樹, 丸尾 幸嗣
    2007 年 60 巻 10 号 p. 729-732
    発行日: 2007/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    腹腔内腫瘤が疑われた2頭の犬に対して開腹手術を行い, それぞれ盲腸 (症例1) および胃幽門部 (症例2) の腫瘍を摘出したところ, 病理学的に消化管間質腫瘍 (GIST) と診断された.症例1は術後10カ月経過した時点で転移, 再発等認めず, 経過良好であるが, 症例2は術後38日で腹腔内に転移し, 術後55日目に死亡した.Ki-67の陽性率は症例1で4.4%, 症例2で19.2%であり, 細胞分裂指数はそれぞれ0.25%と1.1%であった.今回の症例の予後については, 症例1では比較的良性であったが, 症例2では極めて悪性であり, GISTの予後はさまざまなものが存在する可能性が示唆された.また, Ki-67の陽性率および細胞分裂指数はGISTの予後因子となりえる可能性がある.
  • 佐藤 至, 辻本 恒徳, 山下 竹治, 齋田 栄里奈, 渡辺 元, 田谷 一善, 世良 耕一郎, 津田 修治
    2007 年 60 巻 10 号 p. 733-737
    発行日: 2007/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    野生動物の鉛中毒は古くから知られていたが, 近年はカドミウムやタリウムなどによる汚染も報告されている.このため本研究では, ツキノワグマ, ホンシュウジカ, ニホンカモシカ, トウホクノウサギおよびカワウの肝臓および腎臓のPIXE分析を行い, これらの重金属による汚染状況を調査した.カドミウム濃度はツキノワグマとトウホクノウサギの腎臓で高く, ツキノワグマで74頭中27頭, トウホクノウサギで16羽中5羽が10mg/kgを超えていた.鉛はツキノワグマとカワウで高く, 5頭のツキノワグマが鉛汚染の目安となる肝臓鉛濃度の2mg/kgを超えていたが, カワウではこれを超えるものはなかった.タリウムはすべての試料で検出されなかった.これらの結果は, ツキノワグマとトウホクノウサギは比較的高度のカドミウム暴露を受けており, さらにツキノワグマでは鉛汚染が散発的に発生している可能性を示唆している.
  • 齊藤 伸明, 藤森 亜紀子, 岩元 幸江, 藤原 日出子, 佐藤 圭, 星 秀樹
    2007 年 60 巻 10 号 p. 738-741
    発行日: 2007/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    と畜場の解体処理工程での獣畜の体表による枝肉汚染状況を把握する目的で, 豚体表を検印川インクで着色し, 各処理工程でインクが枝肉に付着する状況を観察した.枝肉へのインク付着 (汚染) のおもな原因は, 一部剥皮時の最初の切皮, 肛門抜きの処理, 縦型スキンナーによる全剥皮時のドラム洗浄水および懸垂されたと体上部からの洗浄水の流下によるものであった.また, 枝肉のインク付着部は, 非付着部に比べ明らかに細菌数が多く認められた.全剥皮時の枝肉汚染が広範囲によることから, その要因を検討した結果, スキンナー上部のドラム洗浄水を停止することにより, 汚染は大きく減少した.豚体表へのインク着色による枝肉汚染の検証は, 作業従事者に対し, 体表から枝肉への微生物汚染を肉眼的に見せることができ, 衛生教育に極めて有用であることが認められた.
feedback
Top