日本獣医師会雑誌
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61 巻, 10 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 辻山 弥生
    2008 年 61 巻 10 号 p. 734-737
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 平田 美樹, 後藤 介俊, 池田 省吾, 濱田 忠子, 有川 恵理, 藏園 光輝, 梁瀬 徹, 山川 睦
    2008 年 61 巻 10 号 p. 771-776
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    平成18年9月下旬から11月中旬にかけて, 鹿児島県の北西および南西地区で子牛や育成牛など若齢牛33頭に起立不能, 異常興奮, 神経過敏などの神経症状を主徴とする疾病が発生した. 病理組織学的検査において, 全頭に非化膿性脳脊髄炎が認められ, 発症牛の延髄および同居牛の血漿から2株のアカバネウイルス (AKAV) が分離された. 遺伝学的および抗原解析により今回の分離株はいずれも1984年に鹿児島県で分離されたIriki株と同じグループに属することが判明した. 発症牛はAKAVのJaGAr39株および分離株に対して32頭が抗体を保有し, 県内の未越夏おとり牛でもAKAVの両株に対してそれぞれ30.1および46.2%の抗体陽転が認められた. 以上のことから, 今回の若齢牛の非化膿性脳脊髄炎はAKAVの生後感染によることが明らかとなった.
  • 佐々木 直樹, 都築 直, 南 卓人, 山田 倫明, 石井 三都夫, 川口 雅子, 山田 明夫
    2008 年 61 巻 10 号 p. 777-779
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    馬の全身吸入麻酔下における, 乳酸リンゲルと酢酸リンゲルの代謝機能に及ぼす影響を中心に比較検討した. 供試動物として健康なサラブレッド種成馬7頭を用いた. 鎮静・倒馬後, 気管内挿管してハロタン・酸素の吸入麻酔にて3時間の維持を行った. 輸液剤として酢酸リンゲルと乳酸リンゲルを10ml/kg/hrの投与速度で3時間静脈内輸液した. 測定項目は, 平均動脈血圧, 血中乳酸濃度, 動脈血pH, 動脈血PaCO2, HCO3, 麻酔スコアおよび覚醒スコアとした. 血中乳酸濃度は酢酸リンゲル液に比較して乳酸リンゲル液で高値を示した. 以上のことから馬の周術期の輸液としては, 酸性物質である乳酸の蓄積の少ない酢酸リンゲルが有効と考えられた.
  • 小野 守, 小関 茂樹, 斉藤 康倫, 泉 徳和, 松井 基純, 大澤 健司, 三宅 陽一
    2008 年 61 巻 10 号 p. 780-783
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    人工授精 (AI) 後の陰唇刺激がホルスタイン種乳用牛の受胎率に及ぼす効果を評価するために, 未経産牛295頭を用い, AI直後に手指による陰唇刺激を15秒間行って対照群と比較した. その結果, 陰唇刺激群の受胎率は対照群よりも高かった (69.2%vs64.7%) が, 有意差はなかった. また, 対照群において7月から8月に受胎率が低下する傾向が認められたが, 陰唇刺激群では認められなかった. 両群の受胎成績のTemperature-Humidity Index (THI) 別の分析では, 対照群において, 暑熱ストレス条件下とされるTHIが72以上の場合の受胎率は, 72以下の場合よりも有意に低かった (P<0.01) が, 陰唇刺激群ではそのような差異は認められなかった.
  • 川畑 正寿, 藤田 敦子, 安藤 通花, 鎌田 博志, 西村 麻紀, 中田 昌和, 相田 洋介, 稲垣 達也, 佐藤 亘, 東 智子
    2008 年 61 巻 10 号 p. 784-789
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 鶏徳 友, 宇根 有美, 茅沼 秀樹, 野村 靖夫
    2008 年 61 巻 10 号 p. 791-794
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    犬 (ラブラドール・レトリバー), 去勢雄, 11歳, 体重35kgが, 四肢麻痺のため起立困難となった. MRI検査で右側第5第6頸椎間より脊髄に侵入する腫瘍が認められた. 剖検したところ右第6頸神経基部神経上膜内に軟骨様で硬固感のある半透明, 白色の神経と連続する腫瘍 (1×1.5×2.5cm) が存在し, 脊柱管内では脊髄硬膜外で塊を形成, 第5頸髄を圧迫していた. 腫瘍組織では軟骨様の腫瘍細胞が分葉状に増殖, 軟骨基質を形成し, 核の腫大, 大小不同, 複核の細胞の他, 少数ながら核分裂像も認められた. 抗S-100蛋白抗体を用いた免疫染色では, 腫瘍細胞細胞質と核が陽性となった. 原発部位は第6頸神経上膜内と考えられ, 間葉系細胞を起源とする骨外性軟骨肉腫と診断した. 骨外性軟骨肉腫の発生は非常にまれで, 末梢神経内に発生したとの報告は見当たらなかった.
  • 荻原 直樹, 浅野 和之, 関 真美子, 枝村 一弥, 山谷 吉樹, 高橋 朋子, 鈴木 和彦, 田中 茂男
    2008 年 61 巻 10 号 p. 795-799
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    10歳齢, 避妊済み雌のゴールデンレトリーバーが約1カ月前のX線検査において胸腔内に腫瘤様陰影像が認められ, その後, 発咳, 嘔吐などの臨床症状を発現したため, 本院を紹介来院した. 第39病日に試験的開胸術による生検を行い, 組織球性肉腫 (HS) と診断した. 3週間ごとにロムスチン (CCNU) 40mg/m2を経口投与したところ, 臨床症状の改善と明らかな腫瘍陰影の縮小が確認された. 第569日に発死するまでの間, 計17回のロムスチンの投与を行ったが重篤な副作用は見られず, 腫瘍は縮小したまま転移も認められなかった. 以上の所見から犬のHSに対してロムスチンは有効である可能性が示唆された.
  • 澤嶋 裕子, 澤嶋 効, 志鷹 秀俊, 森田 剛仁, 前原 朋美, 島田 章則
    2008 年 61 巻 10 号 p. 800-803
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    11歳齢, 避妊済み雌のトイプードルが, 突然の失明を主訴として来院した. 神経学的検査では両眼で威嚇瞬目反応の消失, 散瞳, および対光反応の消失が認められたが, 脳波検査, および検眼鏡検査, 網膜電位図検査, 眼圧測定を含む眼科検査で異常はみられなかった. 本例は臨床所見および死後の病理組織検査結果から肉芽腫性髄膜脳脊髄炎 (GME) の眼型と診断された
  • 藤元 英樹, 猪俣 生輝, 郡司 康宏, 神田 裕一, 田中 輝美, 有水 五郎, 中馬 猛久
    2008 年 61 巻 10 号 p. 805-809
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    鹿児島県内のと畜場に搬入された健康豚580頭 (58農場由来) のサルモネラ属菌およびSalmonella Typhimurium (ST) の保菌状況を調査した. 27農場 (46.6%), 91頭 (15.6%) からサルモネラが分離され, そのうち19農場 (32.8%), 51頭 (8.8%) からSTが検出された. 51頭の豚に由来するST51株の薬剤感受性を調査したところ, アンピシリン (A), クロラムフェニコール (C), ストレプトマイシン (S), スルファメトキサゾール (Su), テトラサイクリン (T) 耐性が6株, ASSuT耐性が6株検出された. このうち5株はクラスIインテグロンの存在が示唆され, 増幅パターンは3種類に分けられた. 約1.0および1.2kbpの増幅産物保有4株は, フロルフェニコール耐性遺伝子 (floR) およびファージ型DT104を標的とするPCRでも増幅が確認されたことからSTDT104と推察された. いっぽう, DT104 と異なる特徴を示す多剤耐性菌やフルオロキノロン系薬剤に耐性を示す菌株が検出されるなど, 新たな耐性の広がりも示唆された.
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