日本獣医師会雑誌
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62 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
日本産業動物獣医学会会誌
  • 渡邉 理, 薮上 剛, 亀山 衛, 山口 悦司, 浦本 京也
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 2 号 p. 121-125
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    2002年に,A系列のブロイラー出荷鶏で蜂窩織炎 (Ce) が多発した. 食鳥処理場 (処理場) におけるCeによる廃棄率と病態を調査し,同系列の農場 (農場) でCeを伴う漿膜炎 (Se) 型の大腸菌性敗血症 (大腸菌症) を認めたので病理学的に比較した. いっぽう,B系列はCeの発生が少なかったので両系列の飼育状況を比較し,Ceの発生要因を調査した. A系列のCeによる廃棄率は0.88%で,B系列の0.03%に比べ有意に高かった. 処理場のCe廃棄鶏の63%は雄で,下腹部や内股部に皮膚の肥厚,皮下水腫,チーズ様凝塊の形成を認めたが,Se病変はなかった. Ce病変やSe病変から大腸菌O78が分離された.農場のCe病変には痂皮形成や表皮炎を認めたので,床面との接触部位からの大腸菌感染が疑われた. 発生要因として,給温期間,飼育密度,空舎期間が関与しているものと考察した.
  • 日高 良一, 日高 華奈子, 笹倉 春美, 上村 俊一
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 2 号 p. 126-131
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    無発情豚152頭の卵巣を,経直腸超音波検査で観察したところ,66頭(43.4%)に異常所見がみられ,残りは異常が認められなかった. 蹄病等の併発を除く136頭に,飼養管理の改善(飼料内容の修正と給与量の増加,種雄豚との接触)を行い,さらに異常所見のうち,卵巣静止48頭にeCG1000IU,多胞性卵巣嚢腫2頭にGnRH-A200μgを投与し,正常様所見の73頭および寡胞性卵巣嚢腫13頭は無投与とした. その結果,ホルモン投与群および無投与群の発情回帰率は96.0%,98.8%,受胎率は91.7%,78.8%となり,受胎率に差がみられた(P<0.05). 今回,飼養管理の改善を行い,超音波検査に基づく卵巣の異常の有無でホルモン投与を行ったところ,発情回帰率は処置に関わらず高かったが,受胎率は無投与群で低く,卵巣以外の要因が示唆された.
  • 須藤 庸子
    原稿種別: 短報
    2009 年 62 巻 2 号 p. 132-134
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    心不全で死亡した3歳齢のホルスタイン種雌牛に環椎後頭骨間癒合が認められた. 環椎は大きな椎体を持ち,後頭骨底部にめり込むように癒合し,後頭顆は確認できなかった.環軸関節において軸椎には歯突起が認められず,発生期における分離障害により歯突起基部が環椎椎体として遺残したものと考えられた. 本症例は機能障害がなかったため成牛まで発育したまれな例である.
  • 加藤 肇, 荻野 敦, 伊藤 智仁, 大西 守
    原稿種別: 短報
    2009 年 62 巻 2 号 p. 135-138
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種乳牛における遺伝性横隔膜筋症の原因遺伝子の1つであるHeat Shock Protein 70 (Hsp70)遺伝子の変異が,第四胃変位発生の要因である可能性について調査を行った.北海道根室地区のホルスタイン種乳牛で,第四胃変位を発症し,整復手術を受けた495頭の牛を調査対象とした. 遺伝子型解析はPCR法により,変異ホモ型,ヘテロ型および正常ホモ型の遺伝子型に区分した. 結果は,変異ホモ型1頭,ヘテロ型59頭,正常ホモ型435頭で,変異型遺伝子頻度は0.0616で,第四胃変位未発症牛492頭の変異型遺伝子頻度0.0986に比べて有意に低かった. この結果より,第四胃変位発症とHsp70変異型遺伝子との関連はないことが示唆された.
  • 芝原 友幸, 佐藤 研志, 平井 伸明, 矢彦沢 小百合, 高島 久幸, 椛本 綾子, 加古 奈緒美
    原稿種別: 資料
    2009 年 62 巻 2 号 p. 139-142
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
日本小動物獣医学会会誌
  • 松田 紫恵, 大屋 賢司, 柳井 徳磨, 柵木 利昭, 福士 秀人
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    臨床症状よりオカメインコの開口不全症候群と診断された1~2カ月齢のオカメインコの死亡例5例,口腔スワブ4検体を微生物学的,病理学的に検索した. 複数種の細菌が分離され,最も高率にBordetella avium (5/9例)が分離された. 分離されたB.aviumの全菌株は,Bordetella属菌が産生し病原性発現に関与する皮膚壊死毒素遺伝子を保有していた. 組織学的検索では,咬筋をはじめとする嘴の開閉運動筋の筋線維は変性・壊死,消失,筋線維間には炎症細胞が浸潤,細菌塊が認められた. 病変の進行した領域では線維芽細胞の増殖が著しく,高度に器質化していた. 分離B. aviumの薬剤感受性試験を実施した結果,β-ラクタム系,アミノグリコシド系およびテトラサイクリン系薬剤に高い感受性を示した.
  • 川崎 安亮, 長谷 郁美, 寺島 陽子, 小池 仁美, 三好 宣彰 , 大石 明広
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 2 号 p. 148-154
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    日本猫の雌の同腹子3頭のうち小脳性運動失調を主徴とした2頭ではリンパ球のβ-ガラクトシダーゼの活性が低く,延髄で膜様細胞質内封入体(MCB)が認められた. いっぽう,運動失調を示さなかった1頭での残存酵素活性は正常猫と発症猫の中間値を示し,それぞれGM1-ガングリオシドーシスのホモ接合体およびヘテロ接合体が示唆された. 聴性脳幹誘発電位検査ではI波やV波の潜時遅延や閥値上昇が認められる個体があった. しかし,発症猫に共通して認められた異常は,伝音障害を示唆するI波とV波の振幅比(I/V AR) の低下と,脳幹の中枢伝導時間とみなされているI波-V波頂点間潜時(I-V IPL)の延長であった. 末期には中枢性自発眼振や嚥下困難などの神経学的異常が見られるようになったが,高次脳機能は維持され,BAEPを指標にした脳幹機能が病期の進行に伴い悪化することはなかった.
日本獣医公衆衛生学会会誌
  • 真柄 真実, 田島 木綿子, 山田 格, 磯部 友彦, 高橋 真, 田辺 信介, 島田 章則
    原稿種別: 原著
    2009 年 62 巻 2 号 p. 155-160
    発行日: 2009/02/20
    公開日: 2016/09/03
    ジャーナル フリー
    2003年3月,愛媛県興居島にて7頭のスジイルカ(Stenella coeruleoalba)が集団座礁し,そのうち6頭について全身解剖および病理組織学的検索を行った. 体長などからいずれも成体であることが推測された. 各個体の直接的な死因は,肺における重度のうっ血水腫と思われるが,これらの症例に共通する漂着の原因を示す所見は確定できなかった. 2例の甲状腺に,コロイドの大量貯留による波胞拡張および結節形成を伴う,いわゆる甲状腺腫に類似した所見が認められた. 脂皮内の有機ハロゲン化合物の分析の結果は,日本国内でこれまで報告されている海棲哺乳類における蓄積バターンとおおむね一致していた. 一部の有機ハロゲン化合物の高濃度の蓄積が認められた.
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