日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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63 巻, 10 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
日本産業動物獣医学会誌
  • 中谷 英嗣, 真鍋 幸穂, 大谷 研文, 田中 省吾, 山川 睦
    原稿種別: 短報
    2010 年 63 巻 10 号 p. 781-784
    発行日: 2010/10/20
    公開日: 2016/09/07
    ジャーナル フリー
    アカバネウイルス(AKAV)が分離され,生後感染アカバネ病と診断された8カ月齢黒毛和種牛1例の神経系組織の病変分布やその程度,AKAV抗原分布を検索した. リンパ球主体の囲管性細胞浸潤やグリア結節,グリオーシスなどの非化膿性脳脊髄炎像はおもに脳幹部でみられ,大脳では灰白質よりも白質や脳室周囲に,脊髄では灰白質に著明で,腰~仙髄では白質にまでみられた. AKAV抗原は,おもに脳幹部,脊髄腹索や腹根の神経細胞体やその突起,灰白質血管周囲のグリア細胞や大脳髄膜の浸潤マクロファージに認められた. 骨格筋の末梢神経周囲の浸潤マクロファージにもウイルス抗原が検出されたが,筋線維に病変は認められなかった. 以上の所見から,生後感染アカバネ病におけるウイルス感染部位は,脳幹部や脊髄の神経細胞と神経線維が主体であることが示唆された.
  • 石井 択径, 大橋 傳, 新井 鐘蔵
    原稿種別: 短報
    2010 年 63 巻 10 号 p. 785-788
    発行日: 2010/10/20
    公開日: 2016/09/07
    ジャーナル フリー
    牛のルーメン液の前処理法や測定条件の違いが,氷点降下法による浸透圧の測定値に及ぼす影響について検討した. フィステルを装着した健康牛からルーメン液を採取し,浸透圧計の結晶化温度を,血漿の一般的な条件である-5.6℃に設定したところ,測定値が得られなかった. ルーメン液を過冷却すると-3.9~-5.5 ℃の範囲で凝固を開始するため,結晶化温度を-3.7℃に設定したところ,再現性のよい測定値が得られた. また,2重ガーゼで濾過しただけのルーメン液は,遠心分離やメンブレンフィルターで前処理したルーメン液に比べて浸透圧が高値を示す傾向がみられ,凍結・融解後のルーメン液では,凍結前に比べて浸透圧が有意に低下した.
日本小動物獣医学会誌
  • 佐藤 れえ子, 小林 沙織, 佐々木 一益, 宇都 若菜, 御領 政信, 佐々木 淳, 神志那 弘明, 大石 明広, 安田 準
    原稿種別: 原著
    2010 年 63 巻 10 号 p. 791-796
    発行日: 2010/10/20
    公開日: 2016/09/07
    ジャーナル フリー
    近医にて水腎症が疑われた4歳齢,雑種,去勢雄猫で,単純X線検査では両側腎臓の腫大が,また超音波検査で腎実質の複数の囊胞性無エコー領域が認められた. PCR-RFLP法を用いたPKD1遺伝子診断では,PKD1遺伝子の点変異(3284C →A)が検出されたことから,遺伝子変異による猫の多発性囊胞腎と診断した. 初診時血液検査では高窒素血症,高リン血症を認め,短期間の腹膜透析の後,輸液と腎臓病用療法食の給与により維持し,約1年間経過を観察した. 両側の腎臓から採取した囊胞液分析では,ClとNa濃度が高値を示した. この所見は,経過観察期間を通じて変わらなかった. いっぽう,囊胞液中のN-acetyl-β-D-glucosaminidase(NAG)濃度とNAGアイソザイムのB分画の値は経過とともに増加する傾向が認められた.
  • 田中 利幸, 秋吉 秀保, 嶋崎 等, 青木 美香, 大橋 文人
    原稿種別: 短報
    2010 年 63 巻 10 号 p. 797-801
    発行日: 2010/10/20
    公開日: 2016/09/07
    ジャーナル フリー
    未去勢雄,1歳9カ月齢のアメリカンコッカースパニエルが元気食欲低下,後肢のふらつきを主訴に来院した. 血液生化学検査ではALT,TP,Glb,Caの上昇,血球検査では軽度貧血,白血球数の低下が認められた. また,蛋白電気泳動では単クローン性高γグロブリン血症が認められた. CT,MRI検査ならびに骨髄生検の結果より,多発性骨髄腫による骨融解とそれに伴う脊髄の硬膜外圧迫性病変と診断した. 本症例はシクロホスファミド,メルファランおよびプレドニゾロン(MP療法)の投与でも高蛋白血症,高Ca血症,貧血の改善は認められなかったが,人医療で用いられているビンクリスチン,ドキソルビシンおよびデキサメタゾンの投与(VAD療法)で早期に寛解が得られ,QOLは著しく向上した. しかし,第103病日,四肢麻痺,呼吸困難を呈し斃死した.
日本獣医公衆衛生学会誌
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