犬臨床例52頭の全身麻酔にリドカイン持続静脈内投与(CRI)を応用し,その麻酔要求量減少効果を検討した. 麻酔前投薬としてプロピオニールプロマジン0.05mg/kgを静脈内投与(Ⅳ)し,カルプロフェン4mg/kgを皮下投与した. プロポフォール6mg/kg Ⅳで麻酔導入し,気管挿管後,50%笑気-50%酸素-セボフルラン吸入麻酔で麻酔維持した. 供試犬26 頭にリドカイン3mg/kg/時間CRI を投与し(LID-CRI 群),残りの26頭には投与しなかった(対照群). 外科麻酔の維持に要した終末呼気セボフルラン濃度は,LID-CRI群1.6 %前後および対照群2.1%前後で推移し,LID-CRI群において有意に低かった(
P <0.001).麻酔中の呼吸循環系モニタリング項目の変化には,群間に有意な差は認められなかった. 以上のことから,術中リドカインCRIによって顕著な呼吸循環抑制を生じることなく,セボフルラン要求量を減少できると結論された.
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