乳牛46頭を用いて,分娩後の卵巣機能回復時期と分娩前後の甲状腺ホルモン(T
3およびT
4)濃度との関係を明らかにし,インスリン様成長因子(IGF-1),血液生化学性状およびその後の繁殖成績との関連について検討した.卵巣機能回復が分娩後50日以内の早期回復群(n=23)と51日以降の回復遅延群(n =23)に区分した.回復遅延群は早期回復群に比べ,分娩前後のT
3 とT
4 濃度が有意に低かった.乾物摂取量は回復遅延群で-2週から1週にかけて有意に低値で推移し,分娩後1週と2週のIGF-1濃度がT
4 濃度と有意な正の相関を示した.空胎日数は,早期回復群に比べ回復遅延群で有意に延長した.以上の結果から,分娩後の卵巣機能回復が早い個体は,分娩前後の採食量および甲状腺ホルモン濃度が高く,その後の繁殖成績も良好であると考えられた.
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