日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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64 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 関口 真樹, 芝原 友幸, 大坪 岳彦, 松本 敦子, 飯田 直樹, 久保 正法
    原稿種別: 原著
    2011 年 64 巻 4 号 p. 287-293
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    千葉県の採卵鶏農場の一鶏舎において,伝染性喉頭気管炎(ILT)の弱毒生ワクチンを接種した群と未接種群が背中合わせのケージで飼養されていた.2009年1月,未接種群のみが流涙,顔面腫脹,産卵低下等を示し,6羽が病性鑑定に供された.剖検では,眼窩下洞や鼻腔にチーズ様物の貯留と鼻粘膜の肥厚がみられた.病理組織学的に,眼窩下洞や鼻腔にグラム陰性小桿菌を含む線維素性化膿性滲出物の貯留と核内封入体と合胞体形成が認められた.病原検索では眼窩スワブからPasteurella multocidaP. multocida)莢膜抗原A型とILTウイルスが分離された.このILTウイルス株は発育鶏卵の漿尿膜に境界不明瞭な小型のポックを形成し,RFLPパターンおよびICP4領域の塩基配列が接種群のワクチン株と一致していた.なお,当該農場では過去30年間にILTの発生がなく,接種群は産卵ピークの状態であった.以上のことから,接種群が産卵ストレスにより排泄したILTワクチン株が,未接種群に水平伝播し,さらにP. multocidaの混合感染により症状が顕在化したと考えられた.
  • 大塚 浩通, 吉敷 芙友子, 安藤 貴朗, 向井 真知子, 小比類巻 正幸, 田波 絵里香
    原稿種別: 原著
    2011 年 64 巻 4 号 p. 294-299
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    発育不良の子牛は肺炎や下痢などに罹患しやすい.哺乳期における栄養や成長度合いと子牛の免疫システムの発達は感染症の発生とも密接に関連する.本研究の目的はホルスタイン種子牛の体型と内分泌あるいは免疫機能との関連性を検証することである.40頭の外見上病的症状が認められなかったホルスタイン種哺乳子牛を対象に,日本飼養標準・乳牛2006年に基づいて体重が標準未満であった群(低体重群;n =14)と体重および体高ともに標準を充足していた群 (対照群;n =26)に分け研究に供した.供試験牛のBody Condition Scoreおよび胸幅を測定し,末梢血白血球ポピュレーション,サイトカイン遺伝子発現量ならびに成長ホルモン(GH)レセプター(R)とコルチゾルR遺伝子発現量,血清GHおよびコルチゾル濃度を測定した.低体重群では体高当たりの胸横幅が低かった.低体重群の末梢血TcR1-N12γδT細胞数が対照群に比べ有意に減少した.また低体重群のGH濃度,単核球IL-4,IL-12,GH-R およびコルチゾル-R遺伝子発現量は低値を示した.これらのことから飼養標準に比べて低体重である子牛は細胞性免疫および液性免疫機能が低下していることが示唆された.
小動物臨床関連部門
  • 工藤 慈, 真田 靖幸
    原稿種別: 原著
    2011 年 64 巻 4 号 p. 301-305
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    2007年および2008 年に輸入された2羽のインコ類(コガネメキシコインコおよびワカケホンセイインコ)が,札幌近郊のペットショップで突然死した.解剖検査では,両症例ともに,皮下および心臓,肺,肝臓,脾臓,小腸に出血所見がみられた.組織学的に,肝臓には多発性の出血性壊死病巣が認められた.また,肝臓のクッパー細胞および脾臓の単核食細胞系細胞には,特徴的な好塩基性の核内封入体が認められた.さらに,PCR法では,肝臓,脾臓および小腸からポリオーマウイルス遺伝子が検出された.以上の結果から,これらの症例は鳥ポリオーマウイルス感染症と診断された.本症の潜伏期間およびこれらの症例と同居していた他の飼育鳥の臨床状況から,ウイルス感染はペットショップへ搬入される前に成立していたものと考えられた.
  • 鈴木 健太, 三品 美夏, 渡邊 俊文
    原稿種別: 短報
    2011 年 64 巻 4 号 p. 306-309
    発行日: 2011/04/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    5歳齢,雄のキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルが心精査のため本院を受診した.各検査結果から心臓に異常は認められなかったが,左側の水腎・水尿管が認められた.超音波・静脈性尿路造影検査を行ったものの,原疾患の確定には至らなかったため,試験開腹を実施した.開腹所見としては,左尿管が後大静脈の背側を通過した後,反転し後大静脈の前面を走行していた.以上の所見から本症例を左側のretrocaval ureter(人医学用語における下大静脈後尿管)と診断した.
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
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