日本獣医師会雑誌
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65 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 田邊 貴史, 都築 直, 徐 鍾筆, 石井 三都夫, 山田 一孝, 羽田 真悟, 田畑 泰彦, 佐々木 直樹
    原稿種別: 原著
    2012 年65 巻5 号 p. 345-349
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    蹄底潰瘍に対する多血小板血漿(Platelet rich plasma,以下PRP)混合アルギン酸ゲルの蹄底角質再生効果を検討した.前日に蹄底潰瘍罹患牛から採血を行い,約5倍の血小板数となるようにPRPを調整した.蹄底潰瘍罹患牛7頭の11蹄に対し,6蹄にPRP混合アルギン酸ゲル(PRP群)を処置し,残りの5蹄にアルギン酸ゲルのみ(コントロール群)を塗布した.塗布後1週目,2週目並びに3週目の経過を観察し,蹄底の欠損割合,病変スコア並びに圧痛スコアを記録し,治療効果を比較検討した.PRP群ではコントロール群と比較して塗布後全週において欠損割合,病変スコア並びに圧痛スコアが有意に低値を示し,病変部の良化が認められた.以上のことから,PRP混合アルギン酸ゲルは乳牛の蹄底潰瘍に有効であることが明らかとなった.
  • 伊藤 美加, 市川 雄一, 下池 健一郎, 松田 達彦, 上地 正英, 新谷 英一
    原稿種別: 原著
    2012 年65 巻5 号 p. 350-354
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    牛トロウイルス(BToV)は子牛における下痢症の一因子として知られるが,成牛への関与については不明な点が多い.2010年,石川県内の2戸の酪農場で発生した牛の下痢症を解析したところ,BToVの関与が疑われた.成牛の半数が下痢を呈したA農場では,検査個体のうち約半数でBToVに対する抗体陽転あるいは糞便よりBToV遺伝子が検出され,1頭からBToVが分離された.他の病原体検索が陰性であったことから,BToVを集団下痢症の一因と判断した.B農場では血様下痢を呈した子牛の糞便よりA農場分離株とS遺伝子配列が同一のBToV遺伝子が検出され,抗体陽転も認められたことから,BToVによる下痢症と診断した.分離ウイルスを用いて県内12農場で血清疫学調査を行った結果,肉用・乳用牛ともに広く抗体保有が認められた.以上の結果から,BToVは県内に広く浸潤し,子牛だけでなく成牛においても下痢の一因として関与している可能性が示唆された.
  • 石井 択径, 別府 成, 中西 あゆみ, 森木 啓, 安田 研, 田原 則雄, 山中 典子
    原稿種別: 短報
    2012 年65 巻5 号 p. 355-359
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    繁殖雌牛200頭を飼養する黒毛和種牛繁殖農場で,腐敗したサツマイモを給与された妊娠牛45頭中30頭が呼吸器症状と下痢を呈し,2頭が死亡した.死亡牛は,肉眼的に肺のうっ血と水腫,間質の肥厚,肝臓表面の出血斑が,組織学的に肺血管周囲のリンパ球集簇が認められた.また,発症牛の血清検査成績から,肝機能低下が示唆された.死亡牛の主要臓器から有意な細菌及びウイルスは検出されなかった.給与されたサツマイモからは,Fusarium属菌様の菌糸と胞子が検出された.また,サツマイモ抽出物の薄層クロマトグラフィーにより,イポメアマロンが検出された.以上のことから本症例については腐敗甘薯中毒が強く疑われた.薄層クロマトグラフィーは,特殊な測定機器が不要であり,腐敗甘薯中毒の迅速な診断に有用であると考えられた.
小動物臨床関連部門
  • 西田 幹, 久楽 賢治, 藤原 めぐみ, 中山 智宏, 石川 智恵子, 河野 正太, 上地 正実
    原稿種別: 原著
    2012 年65 巻5 号 p. 361-364
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    本研究は犬の腎臓造影CT検査の撮像タイミングを検討することを目的とした.健常ビーグル犬においてボーラストラッキング法を用いた多相撮像による腎臓の造影CT検査を行った.造影剤はイオヘキソール750mgI/kg を用い,15秒で静脈内に投与した.造影剤投与後1回目の撮像はボーラストラッキング法を用いて撮像タイミングを決定し,造影剤投与開始後40,60,90,120,180及び300秒にてそれぞれ撮像を行った.腎動・静脈,腎皮質,腎髄質,腎盂及び尿管のCT値を測定した.動脈相は造影剤投与開始後,17及び19秒,皮髄相は40及び60秒,実質相は90及び120秒,排泄相は180及び300秒であった.また,造影剤投与開始後,腹大動脈に設定した関心領域のCT値が150HUに上昇するまでに要する時間と心拍数に相関関係が認められた.犬の腎臓造影CT検査において,ボーラストラッキング法を用いた多相撮像法を行うことで,良好な画像を得ることが可能であることが示唆された.
  • 嶋田 恵理子, 宮本 忠, 鳩谷 晋吾
    原稿種別: 短報
    2012 年65 巻5 号 p. 365-369
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)産生Acinetobacter lwoffiiが,2011年5月から2011年8月までに来院した膿皮症の犬2頭,皮下膿瘍の犬1頭及び膀胱炎の猫1頭の検査材料から分離された.すべてのMBL 産生A. lwoffii分離株は,アンピシリン,ピペラシリン,クラブラン酸・アモキシシリン,セファゾリン,セフォチアム及びイミペネムに対して耐性で,ミノサイクリン及びアミカシンに対して感受性であった.MBL産生菌は公衆衛生上も重要であり,動物病院におけるMBL 産生菌の存在に留意する必要があると考えられる.
  • 中田 美央, 秋吉 秀保, 湯川 尚一郎, 針間矢 保治, 桑村 充, 山手 丈至, 清水 純一郎, 大橋 文人
    原稿種別: 短報
    2012 年65 巻5 号 p. 370-373
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    9歳,雌の手術歴のないミニチュア・ダックスフンドが食欲廃絶,元気消失を主訴に来院した.血液検査において,白血球数の上昇と血漿C反応性蛋白(CRP)濃度の上昇が認められた.腹部X線検査,超音波検査及び腹部CT検査において胃の大弯部と,回盲部に腫瘤が確認され,外科的切除を実施した.腫瘤は病理組織学的に化膿性肉芽腫と診断され,原因となる異物や細菌は認められなかった.術後,症例は良好に経過し,一時的なCRP濃度の上昇を認めたが,プレドニゾロンの投与により臨床症状は消失,CRP濃度も低下した.第600病日現在,シクロスポリンのみの投与で良好に経過している.今後,手術歴のないミニチュア・ダックスフンドにおいても,腹腔内化膿性肉芽腫の発症を考慮する必要がある.
  • 渋谷 正光, 三品 美夏, 渡邊 俊文
    原稿種別: 短報
    2012 年65 巻5 号 p. 374-378
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    両側性の水腎症を呈する1歳3カ月齢,去勢雄の雑種猫に対し上部尿路の通過障害を疑い試験開腹を実施した.両側の尿管が外側膀胱索付近で尿管と交差する精管によって圧迫される所見が観察された.尿管を圧迫している精管には過度な緊張が認められ,この緊張した左右精管による尿管圧迫が水腎症の原因であると判断し,左右精管の切離を行った.高度水腎症が認められた右腎は摘出した.術後3カ月の検診時,術前に認められた左腎の水腎症は改善し,良好な一般状態を維持している.
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
  • 最首 信和, 國森 謙一郎
    原稿種別: 短報
    2012 年65 巻5 号 p. 379-383
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    狩猟で捕獲されたイノシシの解体処理施設における衛生管理の実態を明らかにするため,鳥取県内2施設の解体処理法,処理器具及び処理肉の細菌学的調査を行った.加えて,狩猟者129名の衛生意識についてアンケート調査を実施した.その結果,処理法は一般と畜場と類似していた.使用器具の一般細菌と大腸菌群は,消毒回数が多い施設で102CFU/cm2以下で分離された.処理されたイノシシ肉の細菌数は,消毒回数が少ない施設で105CFU/gに達した.これらの施設利用者はわずか16名(12%)で,捕獲現場で内臓を摘出するかしないに関わらず,自宅で解体処理する者は113名(88%)であった.このうち内臓生食者は9名(8%)存在した.したがって,狩猟者に対する人獣共通感染症に関する知識の普及と施設の衛生設備の充実が必要である.
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