日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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65 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 芝原 友幸, 関口 真樹, 宮崎 綾子, 田島 朋子, 清水 眞也, 久保 正法
    原稿種別: 総説
    2012 年 65 巻 6 号 p. 429-435
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
  • 猪熊 壽, 滄木 孝弘, 山川 和宏, 竹内 俊彦, 松本 高太郎, 石井 三都夫, 古林 与志安, 古岡 秀文
    原稿種別: 原著
    2012 年 65 巻 6 号 p. 436-440
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    病理学的に血様液貯留を特徴とする特発性心囊水腫と診断された乳牛8症例(血様心囊水貯留群)の臨床病理学的検査所見を回顧的に取りまとめ,心膜炎7症例(心膜炎群)の所見と比較した.血様心囊水貯留群では冷性浮腫を呈する症例が心膜炎群に比べて多かったが,その他の臨床症状には両群で差がなかった.心エコー検査では血様心囊水貯留群では,心膜炎でみられる心囊内の顕著なフィブリン析出はなかった.血液及び生化学検査では,血様心囊水貯留群では炎症像が弱く,心膜炎群と比較して白血球数,分葉核好中球割合,A/G 比,アルブミン濃度,γグロブリン割合に有意差がみられた.両群でALP及びGGTの高値がみられたが,特に血様心囊水貯留群のGGT増加は顕著であった.血様心囊水貯留症例の診断は臨床症状だけでは困難であるが,心エコー検査所見,弱い炎症像,ALP及びGGTの高値などが心膜炎との鑑別診断に有用と考えられた.
  • 大脇 茂雄, 井上 智陽, 鷲谷 裕昭, 畠山 勝廣
    原稿種別: 原著
    2012 年 65 巻 6 号 p. 441-444
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    牛の休息環境を評価する目的で,一般的にフリーストール牛舎で用いられるStall Standing Index(SSI)をタイストール牛舎にて測定した.4農場で10分おきに給餌󠄀作業終了後120分間測定したところ,4農場すべてで午前最後の給餌󠄀終了後90分にSSIが最小値(10%前後)を示すことが認められた.さらに,39戸のタイストール牛舎において給餌󠄀終了後90分のSSIと過去3年間の蹄角質疾患発症率,第四胃変位発症率,死亡・廃用(死廃)率の関連を調べたところ,有意な正の相関が認められた.蹄角質疾患発症率,第四胃変位発症率,死廃率ともに最も高かった農場でSSIの推移を調査したところ,給餌󠄀終了後90分に最小値を示したが,その値は47.1%であった.タイストール牛舎においてもSSIは休息環境を客観的に測定する指標となることが示唆された.
小動物臨床関連部門
  • 小林 聡, 森 淳和, 上條 圭司, 武藤 眞, 市原 伸恒, 浅利 昌男
    原稿種別: 原著
    2012 年 65 巻 6 号 p. 445-448
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    脛骨内反症と診断されたダックスフンド(PV群)23頭と,脛骨内反症でないと診断されたダックスフンド(正常群)38頭の計61頭の脛骨のX線画像をもとに,脛骨の形態解析と比較を行った.形態解析にはmechanical angle を使用した.その結果,mechanical medial distal tibial angle(mMDTA)とmechanical cranial distal tibial angle(mCrDTA)において2群で有意差が認められ,PV群では正常群に対して有意に遠位脛骨が内反及び前屈していた.またPV群と正常群で計測結果の散布図を作成するとPV群と正常群はmMDTA86°で2群に分かれ,mMDTAはPV群と正常群とを分ける客観的な数値として利用可能であると考えられた.
  • 大橋 英二, 角田 浩之, 松本 高太郎
    原稿種別: 短報
    2012 年 65 巻 6 号 p. 449-451
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    3歳の避妊手術済雌フェレットが採食困難を主訴に来院した.右上顎第2及び第3前臼歯周囲に重度歯周炎が認められたため,歯周ポケット深部より検体採材後,歯石除去及び抜歯を行った.人の一般的な歯周病原性細菌8菌種を標的としたPolymerase chain reactionを行った結果,Porphyromonas gingivalis及びTannerella forsythiaが陽性を示し,ダイレクトシークエンス法によりそれぞれ364bp及び510bpの配列が得られた.これら配列はそれぞれ,P. gulae及びT. forsythiaの16S rRNA遺伝子と100%及び99.8%の類似性を示した.フェレットの歯周ポケットから人,犬及び猫と同様の嫌気性菌が分子生物学的に初めて検出された.
  • 嶋田 恵理子, 宮本 忠, 鳩谷 晋吾
    原稿種別: 短報
    2012 年 65 巻 6 号 p. 452-456
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    第三世代セファロスポリン系薬(3rd CEP)に耐性を示した大腸菌が,2011年3月から12月の間に来院した犬の膿皮症2例,皮下膿瘍1例,手術部位感染1例,肛門囊炎1例及び膀胱炎1例から分離された.3rd CEP耐性大腸菌はペニシリン系,セファロスポリン系及びモノバクタム系抗菌薬に対しても耐性で,ラタモキセフ,メロペネム及びアミカシンに対して感受性であった.3rd CEP耐性大腸菌の6株中5株(83 %)はホスホマイシン(FOM)に感受性であったが,83 %はレボフロキサシンに耐性であった.3rd CEP耐性大腸菌感染症のすべての症例は,感受性を示したFOMなどの経口抗菌薬を投与することにより治癒した.犬における3rd CEP耐性大腸菌の認識は公衆衛生上も重要であり,動物病院において3rd CEP耐性大腸菌の存在に留意する必要があると考えられる.
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
  • 渡邊 一弘, 今井 彩子, 金山 宗樹, 宮脇 慎吾, 柴田 早苗, 立川 佳晴, 寺沢 文男, 山添 和明
    原稿種別: 短報
    2012 年 65 巻 6 号 p. 457-461
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    5歳9カ月,雌のカリフォルニアアシカ(Zalophus califomianus)が5カ月前より摂餌󠄀不良となり,右眼窩前方の腫脹と右上顎犬歯部の歯肉粘膜からの排膿を認めた.抗生物質の投与により一時的に腫脹は消失し,摂餌󠄀も再開したが,その後も再発した.ハズバンダリートレーニング下でのX線検査で右上顎犬歯根尖周囲に骨吸収像が認められたため,イソフルランによるチャンバー導入を行い,気管内挿管後に麻酔を維持し,口腔内検査及び治療を行った.口腔内は,咬耗による露髄が多数の歯でみられ,右上顎犬歯の根尖が位置する部位の頬側歯肉粘膜に瘻孔が認められた.右上顎犬歯と露髄したすべての歯を抜歯し,掻爬したところ,右上顎犬歯の抜歯窩と瘻孔に交通があり,この歯の根尖周囲病巣による内歯瘻と診断した.大型展示動物の咬耗による露髄は多く,日常的な口腔内及びX 線検査が必要である.
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