日本獣医師会雑誌
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66 巻, 5 号
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 内山 裕貴, 都築 直, 徐 鍾筆, 山田 一孝, 羽田 真悟, 眞鍋 弘行, 田畑 泰彦, 佐々木 直樹
    原稿種別: 原著
    2013 年 66 巻 5 号 p. 305-309
    発行日: 2013/05/20
    公開日: 2013/07/12
    ジャーナル フリー
    自家血液から作製された多血小板血漿(Platelet rich plasma,以下PRP)は,アルギン酸ゲル剤として患部に塗布することで蹄底潰瘍への良好な治癒効果が認められた.しかし,効果を持続させるという点で不十分な方法であった.そこで本研究では,徐放剤としてゼラチンマイクロスフィア(以下 GM)を用いた新しい塗布剤を作製し,治療効果を検討した.PRP含浸GM混合アルギン酸ゲル処置群(PRP群,n=10)とアルギン酸ゲルのみ処置群 (対照群,n=9)を比較した.蹄底潰瘍面積の欠損割合は,PRP群で処置後1,2及び3週目で約45%,17%及び5%と推移し,対照群と比較して有意な角質再生効果がみられた.また,PRP群では処置後2週目に圧痛が消失したが,対照群では痛みは継続していた.以上のことから,PRP含浸GM混合アルギン酸ゲルは乳牛の蹄底潰瘍に有効であることが明らかとなった.
  • 榎谷 雅文, 木田 克弥, 宮本 明夫
    原稿種別: 原著
    2013 年 66 巻 5 号 p. 310-316
    発行日: 2013/05/20
    公開日: 2013/07/12
    ジャーナル フリー
    酪農家のバルク乳質に影響する搾乳作業の重要管理点を明らかにする目的で,33戸の搾乳作業をビデオ撮影して作業工程精度を解析するとともに,調査前1年間のバルク乳質との関係を検討した.乳頭壁清拭法別に比較したところ,年間平均体細胞数(SCC;万個/ml)は,ひねり法(15.6),包み法(21.9),つまみ法(25.5)の順に高く,つまみ法はひねり法よりも有意(P<0.01)に高かった.また,ディッピングにおける乳頭壁カバー率とSCC(万個/ml)は,カバー率が高い(16.1),中程度(21.7),低い(34.4)の順に高く,カバー率が高い農家のSCCは他に比べて有意(P<0.05)に低かった.乳質向上のための搾乳作業重要管理点は,ひねり法で乳頭清拭し,ディッピング液を乳頭壁全面に付着するように行うことであると示唆された.
  • 三田 晶子, 中川 哲夫, 内山 勝雄, 松田 優子, 田上 勝則, 森 康行
    原稿種別: 短報
    2013 年 66 巻 5 号 p. 317-320
    発行日: 2013/05/20
    公開日: 2013/07/12
    ジャーナル フリー
    ヨーネ病のリアルタイムPCR検査における多検体処理を可能とするためプール処理手法を検討した.ヨーネ菌実験感染牛由来の陽性糞便液のみのプールを行った結果,6プールまでヨーネ菌DNAがほぼ全量回収され,糞便中のPCR阻害物質の影響を受けずに検出できた.さらに,わが国のヨーネ病自主淘汰推奨基準のヨーネ菌DNA量の半量である0.0023±0.0013pg/wellの陽性糞便液1検体と陰性糞便液とのプール試験を行ったところ,検出率は6プールまで100%であり,計算上のヨーネ菌DNA濃度は5プールで0.0022±0.0017pg/wellと低下しなかった.このことから,5プール以下であればプールしない場合と同等の感度で多検体処理が可能な手法だと考えられた.本法はヨーネ菌DNA検査のスクリーニング検査及び感度向上への応用が可能であると考えられる.
小動物臨床関連部門
  • 塩川 友里菜, 森 崇, 星野 有希, 伊藤 祐典, 野口 俊助, 酒井 洋樹, 柳井 徳磨, 丸尾 幸嗣
    原稿種別: 短報
    2013 年 66 巻 5 号 p. 321-324
    発行日: 2013/05/20
    公開日: 2013/07/12
    ジャーナル フリー
    組織球肉腫は多様な犬種で報告されるが,欧米ではバーニーズ・マウンテン・ドッグ,フラットコーテッド・レトリーバー,ロットワイラー,ゴールデン・レトリーバー,ラブラドール・レトリーバーに好発することが知られている.2010年4月から2012年4月に岐阜大学附属動物病院を受診した組織球肉腫の犬24例について調査したところ,最も症例数が多かった犬種はウェルシュ・コーギー・ペンブロークであった(8例).組織球肉腫の発生頻度を示すオッズ比は,フラットコーテッド・レトリーバー(25.20),バーニーズ・マウンテン・ドッグ(17.92),ウェルシュ・コーギー・ペンブローク(5.41)で高かった.ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは他の2犬種よりも発生リスクは低かったが,組織球肉腫の発生数はこの2犬種よりも多かった.ウェルシュ・コーギー・ペンブロークは日本における飼育頭数が多いため,発生数が多いという点で臨床上重要であると考えられた.
  • 浅井 雄飛, 西島 典子, 松田 奈穂子, 片山 泰章, 岡村 泰彦, 宇塚 雄次
    原稿種別: 短報
    2013 年 66 巻 5 号 p. 325-329
    発行日: 2013/05/20
    公開日: 2013/07/12
    ジャーナル フリー
    1歳6カ月齢,避妊済み雌のウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアが,避妊手術約8カ月後からの睡眠時の尿失禁を主訴に来院した.検査で異常は認められず,稟告からホルモン反応性尿失禁と仮診断され,エストラジオール製剤による治療を開始した.初診時の結果では,血清エストラジオール濃度の低値が認められた.投薬による副作用として一時的に軽度皮膚炎がみられたが,エストラジオール製剤の合計3回の経口投与の後,2年以上も尿失禁のない期間が持続し,第753病日現在も再発の徴候もなく,良好に経過している.ホルモン反応性尿失禁に対する経口エストラジオール製剤による治療は,治療効果,投薬の負担の軽減及び副作用の観点から,従来の内科的治療に代わる新たな治療法となりえる可能性がある.
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
  • 亀山 光博, 矢端 順子, 富永 潔, 野村 恭晴, 泉谷 秀昌
    原稿種別: 原著
    2013 年 66 巻 5 号 p. 331-336
    発行日: 2013/05/20
    公開日: 2013/07/12
    ジャーナル フリー
    山口県内のペットショップで販売されている爬虫類139検体(カメ類99検体,トカゲ類32検体及びヘビ類8検体)についてサルモネラの保有状況を調査した.サルモネラ保有率は全体で50%であり,動物別ではカメ類が42%,トカゲ類が69%,ヘビ類が75%であった.陽性70検体から得られた82株は4亜種(Salmonella enterica subsp. enterica[亜種I],salamae[II],diarizonae[IIIb]並びにhoutenae[IV]),53血清型に型別された.また亜種Iの59株は38血清型に型別され,そのうちカメ類ではAbony,Pomona,Thompson,トカゲ類ではFluntern,Kentuckyの分離頻度が高かった.12薬剤による薬剤感受性試験の結果,分離株の50%(41株)が供試した1剤以上の薬剤に耐性を示し,8剤に耐性を示す株もあった.また,トカゲ類2検体から分離された2株がニューキノロン系のCPFXとTFLXに耐性を示した.
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