日本獣医師会雑誌
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67 巻, 11 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 谷山 敦, 西野 要治, 井上 哲郎, 田浦 保穂, 高木 光博, 音井 威重, 佐藤 真澄, 窪田 力
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 11 号 p. 833-838
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2014/12/20
    ジャーナル フリー
    牛胚において受胎率向上を目的に,タンパク質分解酵素であるプロナーゼを用いたアシストハッチング(AH)処理の効果を検証した.その結果,体外受精由来桑実胚を用いた培養試験において,プロナーゼ処理は新鮮胚及び凍結胚の胚盤胞期への発生率に悪影響を与えず,胚がハッチングする割合を有意に向上させることが確認された.さらに体内受精胚を用いた新鮮胚及び凍結胚の移植試験において,良質胚では効果がみられないが,低品質胚において新鮮胚移植では有意に受胎率が向上したものの,凍結胚移植では効果が認められなかった.以上よりプロナーゼによるAH処理は,採胚施設において特別な器材や技術を必要としない簡易な方法であり,低品質胚の新鮮胚移植における受胎率向上に有効な方法であることが示唆された.
  • 佐々木 淳, 戸澤 好美, 渡辺 清正, 小笠原 一憲, 岡村 泰彦, 御領 政信
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 11 号 p. 839-843
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2014/12/20
    ジャーナル フリー
    ブロイラーでみられる脊椎膿瘍の感染経路を解明する目的で,鶏の脊椎に分布する気囊を探索した.岩手県内のブロイラー農場で出荷直前に自主廃棄された44~52日齢のブロイラー12例(A群)と,初生で導入し74日齢まで飼育したブロイラー2例(B群),成鶏のP2系白色レグホン種2例(C群)を用いて,X線CT検査及び病理学的検索を行った.A群とB群では,頸椎から第三胸椎までの椎体が含気骨を呈しており,第四胸椎以降では含気領域は認められなかった.C群では頸椎から仙椎までほとんどの椎体で含気領域が認められた.A群でみられた脊椎膿瘍の症例では,CT検査によっておもに第六胸椎の椎体構造の破壊がみられ,それらは肉眼的及び病理組織学的検索でも確認されたが,いずれも第六胸椎の椎体に含気領域は認められなかった.これらの検索結果より,本症の感染経路は気囊を介した経気道感染の可能性は低いことが示唆された.
  • 一條 俊浩, 長濱 克徳, 大久保 成, 生田 健太郎, 岡田 啓司, 佐藤 繁
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 11 号 p. 844-849
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2014/12/20
    ジャーナル フリー
    重曹含有食塩ブロック剤の舐食給与が濃厚飼料多給牛の第一胃液pH及び揮発性脂肪酸(VFA)濃度に及ぼす影響を検討した.第一胃フィステルを装着した5カ月齢ホルスタイン種去勢牛(4頭)に試験前1週から第一胃アシドーシス誘発飼料を給与し,本ブロック剤を舐食給与(舐食群)あるいは朝夕の給餌直後に舐食群と同量の重曹粉末を経口給与(経口群)した.その結果,第一胃液pHの1日平均値は,舐食群で経口群に比べて高値で推移し,給与開始日から3日後まで有意(P<0.05)な高値を示した.第一胃液VFAとアンモニア態窒素は,群間に差異がみられなかった.このことから,濃厚飼料多給牛に対する重曹含有食塩ブロック剤の舐食給与は,第一胃液pHの低下を軽減する作用のあることが明らかになった.作用機序として本ブロック剤舐食による重曹のpH緩衝作用と食塩の唾液分泌促進が推察された.
  • 三浦 沙織, 千葉 史織, 高橋 裕之, 福田 茂夫, 藤井 貴志, 新井 鐘蔵, 古林 与志安, 猪熊 壽
    原稿種別: 短報
    2014 年 67 巻 11 号 p. 850-853
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2014/12/20
    ジャーナル フリー
    38カ月齢のホルスタイン種乳牛において,体全体が左側に傾くという神経症状が進行性に認められた.経過,左側対光反射と左側音響耳介反応の減弱,及び聴性脳幹誘発電位測定検査における左刺激時Ⅲ波-Ⅴ波の遅延所見より,延髄から橋における片側性圧迫性病変を疑った.病理解剖の結果,橋左側に帯黄色脆弱化病巣を認め,病理組織学的検索により,病変は腫瘍であり,迷入組織に由来する可能性があるものの,原発組織は確定できなかった.
  • 播谷 亮, 橋田 明彦, 小笠原 房恵, 勝井 一恵, 秋山 倫子
    原稿種別: 資料
    2014 年 67 巻 11 号 p. 854-856
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2014/12/20
    ジャーナル フリー
小動物臨床関連部門
  • 北村 康也, 齋藤 陽彦, 前原 誠也
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 11 号 p. 857-861
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2014/12/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,非接触型マイボグラフィを用い,マイボグラフィ所見及び組織学的所見について加齢に伴う形態変化を比較検討した.外観上,眼疾患を認めないシー・ズー46頭88眼につき,年齢別に若齢群,中年齢群及び高齢群に分類し,それぞれにマイボグラフィ検査を実施したところ,萎縮及び腺構造消失所見は中年齢群及び高齢群で若齢群に比べ有意に高い発生頻度を示した.マイボグラフィにおける,狭小化,短縮及び腺構造消失所見を示したマイボーム腺では,組織学的にマイボーム腺小葉の減少及び崩壊が認められた.犬のマイボグラフィ検査から犬のマイボーム腺形態は加齢に伴い変化する傾向が示唆された.さらにマイボグラフィ及び組織学的所見には相関がみられた.
  • 中本 裕也, 大和 修, 松永 悟, 内田 和幸, 高沼 良征, 坪井 誠也, 小澤 剛, 小川 博之
    原稿種別: 短報
    2014 年 67 巻 11 号 p. 862-865
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2014/12/20
    ジャーナル フリー
    初期の臨床症状として視覚障害が認められ,剖検により神経セロイドリポフスチン症(NCL)と確定診断されたチワワの1例を報告する.本例の初診時には,視覚障害を除く神経学的な異常は認められなかった.眼科検査では,球後結膜,角膜及び視神経乳頭における異常が認められたものの,本症状への関連は否定的であった.中枢性視覚障害の確認のために実施した頭部MRI検査では,NCLのチワワに特徴的とされる重度な脳萎縮及び造影剤による髄膜の増強効果が認められた.今回の報告のとおり,NCLのチワワの初期臨床症状として視覚障害が認められる場合がある.若齢のチワワに視覚障害が認められた場合,眼科疾患と誤認されないように,チワワのNCL診断で有用とされる頭部MRI検査を早期に実施する必要がある.
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
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