日本獣医師会雑誌
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67 巻, 12 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 中村 聡志
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 12 号 p. 903-907
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2015/01/20
    ジャーナル フリー
    牛の蹄関節炎診断における超音波検査の有用性を明らかにすることを目的として,断趾術を施した感染性蹄関節炎罹患牛10例の超音波検査所見と,従来の検査所見及び鋸断後の罹患趾の解剖所見を比較検討した.超音波検査では,すべての症例において拡張した関節囊が無エコー領域として描出された.背側及び掌側/底側関節囊の中節骨からの距離はそれぞれ平均7.9mm(範囲:5.8~12.3mm)及び13.8mm(10.8~16.4mm)であった.掌側/底側の超音波像では,蹄球膿瘍,深趾屈腱の断裂,遠位種子骨の骨髄炎,及び腱滑液の増量を示す所見が観察された.超音波検査を実施することで,従来の検査のみでは診断が困難な蹄関節炎症例が確実に診断でき,合併症の診断においても有用であった.
  • 中尾 聡子, 荒木 美穂, 池宮 城一文, 津波 修, 高木 和香子, 貝賀 眞俊
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 12 号 p. 908-913
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2015/01/20
    ジャーナル フリー
    2013年3月に母豚572頭を飼養する一貫経営養豚場で5頭の流産があり,通常よりも増加傾向にあったため病性鑑定を実施した.剖検所見では胎子の1頭(No. 3)は体表全体に点状出血がみられ,皮下と肺に出血,肝臓に不定形白色斑がみられた.一般細菌検査は有意菌分離陰性だった.レプトスピラ検査の結果flaB遺伝子が胎子の主要臓器で検出された.血清学的検査の結果,母豚血清は血清型Hebdomadisに対して5,120倍と高い抗体価を示し,胎子体液は80倍の抗体を示した.病理組織学的検査の結果,胎子No. 3で肝臓の巣状壊死,間質性腎炎,化膿性真皮炎がみられ,Warthin-Starry染色の結果主要臓器,胸腺,消化管,皮膚の血管周囲にレプトスピラ様菌が多数確認され,抗L. Hebdomadis兎免疫血清を用いた免疫組織化学的染色でも同部位で陽性所見が得られた.以上の結果から本症例はL. Hebdomadisによるレプトスピラ症と診断された.
  • 播谷 亮, 金森 健太, 高井 光, 武石 秀一, 高野 儀之, 矢島 佳世
    原稿種別: 資料
    2014 年 67 巻 12 号 p. 914-916
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2015/01/20
    ジャーナル フリー
小動物臨床関連部門
  • 原崎 裕介, 真下 忠久, 中西 中, 島村 俊介, 安田 準
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 12 号 p. 917-922
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2015/01/20
    ジャーナル フリー
    4列ヘリカルComputed Tomography検査により消化管腫瘍と診断した犬15例について,病理組織学検査により腫瘍が確定した割合(陽性的中率),腫瘍のステージ分類,リンパ節転移の有無及び潰瘍形成の有無,さらに腫瘍の各ステージにおける画像の特徴について評価した.陽性的中率,腫瘍のステージ分類及びリンパ節転移の正診率は,それぞれ93.3%,86.7%及び100%であった.潰瘍検出率では,multiplanar reconstruction像とvirtual endoscopy像で,それぞれ55.6%と22.2%であった.4列ヘリカルCT検査は腫瘍性病変の確定,ステージ分類及びリンパ節転移の判断には有用であった.潰瘍の検出は,multiplanar reconstruction像を用いても不十分であることが示された.
  • 黒田 聡史, 佐々木 伸雄, 伊藤 直之, 村岡 登
    原稿種別: 短報
    2014 年 67 巻 12 号 p. 923-927
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2015/01/20
    ジャーナル フリー
    7カ月齢の日本猫が,左前肢の跛行と掌球部の石灰沈着に伴う白斑を主訴に来院した.血液検査では持続的な高リン血症がみられたが,血漿カルシウム値は正常範囲内であった.また,腎不全,甲状腺機能亢進症及び原発性上皮小体機能低下症は認められず,当初は血清中のビタミンD値が高値を示した.リン制限食給与並びにリン吸着剤の投与により,血漿無機リン(iP)値は有意に減少し,カルシウム・リン溶解度積も減少した.また,ビタミンD値は正常値に復した.しかし,血漿iP値は依然正常範囲より高値であった.跛行は改善したものの,掌球の石灰沈着症は初診から2年半以上にわたり観察された.本例の高リン血症の原因は明らかにできなかった.
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
  • 亀山 光博, 富永 潔, 矢端 順子, 野村 恭晴, 鈴木 道雄, 今岡 浩一
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 12 号 p. 929-933
    発行日: 2014/12/20
    公開日: 2015/01/20
    ジャーナル フリー
    2011~2012年に,犬120頭及び猫80頭の口腔スワブにおけるCapnocytophaga canimorsus及びC. cynodegmi検出状況を,種特異的PCR法と分離培養法を用いて調査した.PCR法では,C. canimorsus遺伝子は犬の62%及び猫の49%から,C. cynodegmi遺伝子は犬の82%及び猫の86%から検出された.また,C. canimorsusは犬の4%及び猫の4%,C. cynodegmi は犬の38%及び猫の41%から分離された.C. cynodegmi特異的遺伝子が陰性の検体から本菌が分離された検体もあったことから,種特異的PCR法と分離培養法を併用することで,口腔スワブサンプルから本菌を確実に検出できるものと推察された.5薬剤による薬剤感受性試験の結果,アンピシリン耐性株が10株,エリスロマイシン,シプロフロキサシン耐性株がそれぞれ1株ずつ認められたことから,治療にペニシリン系抗生物質を使用する際には,β-ラクタマーゼ阻害剤との合剤を使用する必要があると考えられた.
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