2011年6月,1酪農家において難治性乳房炎が連続して発生し,千葉県で初となる牛マイコプラズマ性乳房炎と確認した.発症牛からは
Mycoplasma bovisが分離され,呼吸器症状(4/5),乳房の浮腫感(4/5),複数分房の罹患(5/5)を認めた.さらに乳汁の一般細菌検査では菌分離陰性(4/4)という特徴があった.搾乳牛全頭のマイコプラズマ検査を行った結果,12%(6/50)の保菌率であった.保菌牛を隔離し,抗生物質による治療を行い,うち2頭を淘汰したところ,2011年12月以降のバルク乳のモニタリング検査でマイコプラズマ陰性となった.本事例は,外部より導入した初妊牛が
M. bovisを保菌し,分娩後に感染を拡大させたと考えられた.このため,導入牛の多い地域では,バルク乳を用いたマイコプラズマ検査を定期的に行う必要があると考えられる.
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