日本獣医師会雑誌
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67 巻, 4 号
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 福井 陽士, 新井 鐘蔵, 榊原 伸一, 澤田 浩
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 4 号 p. 249-254
    発行日: 2014/04/20
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル フリー
    室温と湿度が一定の条件下で,赤外線サーモグラフィ(IRT)を用いて牛の体表各部の表面温度測定・解析手技を検討するとともに,平均体表温度の左右差の比較を行った.眼縁部の最高温度と臀部の平均温度の変動係数はおのおの0.7%及び0.5%で良好な再現性を示した.牛の眼縁部の最高温度は距離依存的に測定値の有意な低下が認められたが,臀部の平均温度は距離を変えてもおおむね同じ測定値を示した.牛の体表各部の表面温度に有意な左右差は認められなかった.眼縁部等の皮膚が露出した部位では,撮影ごとに常に同じ位置で最高温度が自動検出された.一方,臀部等の体毛が豊富な部位では,撮影ごとに最高温度や最低温度の位置がばらつきを示すため,一定面積の平均温度を算出することが体表温度の解析上妥当であると考えられた.
  • 山口 佳男, 下田 崇, 三好 憲一, 白砂 孔明, 宮本 明夫
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 4 号 p. 255-258
    発行日: 2014/04/20
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル フリー
    発情及び発情徴候がない分娩後未授精及び人工授精後不受胎と診断された乳牛にPGF15mgと安息香酸エストラジオール(E2B)4mgを同時投与し,授精率と受胎率を調べた.投与後3日以内に授精した牛は79.1%で,受胎率は38.7%であった.血中プロジェステロン濃度が,1ng/ml以上を示す機能性黄体群では授精率100%,受胎率35.3%で,1ng/ml未満では授精率55.6%,受胎率30.0%であった.また,黄体を有する発情徴候がない牛にPGFとE2B 同時投与した群では授精率79.2%,受胎率39.5%,PGF単独投与した群では授精率60.4%,受胎率37.9%であった.PGFとE2B投与は外部発情徴候発現率並びに人工授精実施率を高めることにより,受胎率の向上は認められないが,妊娠率を高め繁殖率を向上させることが示された.
  • 木本 裕桓, 中島 亮太朗, 大園 正陽, 齋藤 剛敏
    原稿種別: 短報
    2014 年 67 巻 4 号 p. 259-262
    発行日: 2014/04/20
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル フリー
    鹿児島県内の一貫経営養豚場の放牧場併設簡易子豚舎において,死亡を伴う豚鞭虫症が子豚に発生した.発生農場では,4年前にオガクズ敷料を使用中に豚鞭虫症の発生があった.今回の発生豚舎は,この敷料を堆肥として散布していた畑の上に直接設置された簡易豚舎で,今回の豚群に初めて使用された.Oリング法により農場内の豚鞭虫卵のEPGを計測した結果,発生豚舎の豚房(600EPG),放牧場の表土2カ所(680,800EPG),4年前の残存敷料(160EPG)から虫卵が検出され,これらすべての土壌から幼虫形成卵が確認された.今回の発生原因は,未熟堆肥の散布により土壌に残存した4年前の豚鞭虫の幼虫形成卵と考えられた.本報告は,土壌の上で直接豚を飼育する際の豚鞭虫卵の土壌虫卵検査の重要性を示した.
小動物臨床関連部門
  • 山﨑 裕毅, 高木 哲, 細谷 謙次, 星野 有希, 奥村 正裕
    原稿種別: 原著
    2014 年 67 巻 4 号 p. 263-268
    発行日: 2014/04/20
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル フリー
    犬組織球性肉腫(HS)の表面抗原解析に基づいた遺伝子診断法を用いて臨床的にHSが疑われた犬12症例に対し,その実用性を検討した.これらの12症例からコア生検で検体を採材し,定量的リアルタイムPCRを用いて犬HSの特異的表面抗原であるMHCクラスIIα,CD11b,CD11cとCD86のmRNA相対発現量を解析し,これらを犬HSの診断基準値に適用して,その検出を試みた.最終的に,これらの12例を病理組織学的に診断し,本診断結果と比較した.その結果,12例中8例において,各表面抗原がいずれも高発現し,本診断基準値を満たしたため,犬HSと判断し,残りの4例は本腫瘍から除外された.最終的な病理診断により,これらの8例はいずれも犬HSと確定された.本法は病理診断結果を補助し,コア生検からでも犬HSを客観的かつ迅速に診断できる可能性が示唆され,早期診断と予後の改善が期待された.
  • 阿野 仁志, 藤野 美保, 片本 宏
    原稿種別: 短報
    2014 年 67 巻 4 号 p. 269-273
    発行日: 2014/04/20
    公開日: 2014/05/20
    ジャーナル フリー
    1歳1カ月齢のソマリが血小板減少と体表出血を主訴として精査のため来院した.血液検査,骨髄検査及び除外診断から特発性免疫介在性血小板減少症と診断し,プレドニゾロン単独及び同剤とシクロスポリンによる内科的治療を行った.しかし,治療への反応が乏しく,静注用ヒト免疫グロブリン製剤も一時的な効果しか得られなかったため,脾臓摘出を行ったところ,血小板数は回復した.しかし,その後のプレドニゾロン減量で血小板減少が再発した.そこでプレドニゾロンとシクロフォスファマイドの併用療法を行ったところ,血小板数は速やかに回復し,その後も良好な結果が得られた.本症例で,猫の免疫介在性血小板減少症に対して各種薬剤による治療効果の検討を試みた結果,薬物治療に反応が乏しい場合でも,脾摘と薬物療法の組み合わせが効果的である可能性が示唆された.
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
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