市販鶏肉250検体を対象として,カンピロバクターとサルモネラによる汚染状況を調べた.カンピロバクターは国産鶏肉の61.0%(94/154検体),輸入鶏肉の28.1%(27/96検体)から分離された.分離株の多くは
Campylobacter jejuniであったが,輸入品は国産品に比べ
C. coliの割合が高かった.カンピロバクター汚染菌数は,多くが3.0log MPN/100g未満であった.サルモネラは国産鶏肉の47.4%(73/154検体),輸入鶏肉の17.7%(17/96検体)から分離された.国産鶏肉から分離されたサルモネラの主要な血清型は
Salmonella Infantisであったのに対し,輸入鶏肉では
S. Enteritidisであった.サルモネラ汚染菌数は多くが2.0log MPN/100g未満であった.薬剤感受性試験の結果,カンピロバクター(5薬剤を供試)の42.4%(114/269株)及びサルモネラ(12薬剤を供試)の100%(90/90株)が,供試した薬剤の1剤以上に耐性を示した.
C. jejuniは,国産鶏肉由来株の35.2%(64/182株),輸入鶏肉由来株の45.3%(24/53株)がナリジクス酸(NA),シプロフロキサシン,ノルフロキサシン,オフロキサシンの4剤に耐性を示した.また,輸入鶏肉由来の
C. coli 8株はエリスロマイシンに対して耐性を示した.サルモネラについては,
S. Infantisの8/66(12.1%),
S. Enteritidisの10/11(90.9%)がNAに対して耐性を示した.
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