日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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69 巻, 10 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
小動物臨床関連部門
  • 草場 祥雄, 平川 篤, 草場 晴奈, 草場 治雄, 町田 登
    原稿種別: 短報
    2016 年 69 巻 10 号 p. 607-611
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2016/11/20
    ジャーナル フリー

    失神を主訴にミニチュア・シュナウザー(避妊雌,12歳,体重5.1kg)が来院し,聴診にて徐脈性不整脈が確認されたため,各種検査を実施した.血液検査では貧血及び中性脂肪の高値が認められ,甲状腺ホルモンも含めて他の項目に異常はなかった.腹部超音波検査にて脾臓腫瘤が確認され,心電図検査では洞性徐脈及び洞停止が確認された.そのため,失神の原因を明確にするためにアトロピン負荷試験及びホルター心電図検査を実施した.その結果,洞不全症候群による失神と診断した.第15病日に脾臓摘出術及びペースメーカー植え込み術を同時に行い,その後失神は消失した.脾臓腫瘤は術後の病理組織学的検査で血管肉腫と診断され,ドキソルビシン,シクロフォスファミドによる化学療法で維持したが,術後358病日に自宅で斃死した.

  • 宮本 忠, 木村 唯, 鳩谷 晋吾, 青木 弘太郎, 石井 良和
    原稿種別: 短報
    2016 年 69 巻 10 号 p. 612-615
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2016/11/20
    ジャーナル フリー

    メチシリン耐性(MR)のstaphylococciが犬や猫で増加し,それに伴う人への伝播が問題になってきているが,わが国でモルモットにおける同菌の分離報告はない.今回,ペットショップで飼育されていた愛玩用モルモットが脱毛を主訴として受診した.皮膚病変からMR-Staphylococcus haemolyticus TUM14414が分離され,同菌が皮膚炎の起因菌であると考えられた.同分離菌は,フルオロキノロン系薬耐性を示したが,クロラムフェニコール,テトラサイクリン系,グリコペプチド系及びアミノグリコシド系薬には感受性を示した.同菌株の全ゲノム解析の結果では,①GyrAのキノロン耐性決定領域にS84Lの変異が認められ,②SCCmecは市中感染型のV型であった.今回,愛玩用モルモットからMR-S. haemolyticusが分離されたことから,モルモットを介した人への同菌の感染が成立する可能性が示唆された.

獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
  • 葛谷 光隆, 橋本 英典, 難波 泰治
    原稿種別: 原著
    2016 年 69 巻 10 号 p. 617-621
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2016/11/20
    ジャーナル フリー

    岡山県の牛白血病ウイルス(BLV)流行状況を明らかにするため,2009~2015年に所管と畜場で発見された県内産の牛白血病罹患牛59頭について,BLV遺伝子検出及び遺伝子型別を行った.その結果,全例がBLV陽性であり,また型別の結果,1型が45件と最も多く,次いで3型(8件),5型(2件),6型(2件)の順で,混合感染が2件認められた.1型及び3型は県内に広く分布していたのに対し,5型は県北部地域に,また6型は県北部のM町のみに分布していた.牛の品種と遺伝子型との関係では,黒毛和種で3型の検出率が有意に高かった.国内3例目の検出となる6型BLV株について,遺伝子系統解析を行ったところ,これらの株が独立したクラスターを形成すること,既知の6型株とは遺伝的に異なり,1型株または3型株に近縁であることがわかった.

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