日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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69 巻, 11 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 入部 忠, 大石 大樹, 横山 明宏, 谷村 信彦
    原稿種別: 原著
    2016 年 69 巻 11 号 p. 673-677
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー

    山口県で発生した黒毛和種及び無角和種の異常産4症例の胎子からUreaplasma diversumが分離,検出され,すべての症例において病理組織学的に肺炎病変が確認された.肺炎病変では,肺胞中隔,細気管支周囲等の間質にリンパ球を主体とした単核細胞の浸潤が共通して認められ,浸潤細胞による肺胞中隔の肥厚,リンパ球の集簇及び濾胞の形成が確認された.胎盤が採材された症例1では,間質における水腫,単核細胞の浸潤,動脈炎,血栓形成,絨毛上皮細胞の壊死脱落が胎盤で認められた.U. diversumの検出において遺伝子検査の感度は菌分離よりも高かった.また,肺乳剤を用いたPCRで陰性の症例においても,病変部位のパラフィン切片を用いたPCRで陽性が確認された.これらのことから,U. diversumが胎子の肺及び胎盤に病変を形成することで,肉用牛の異常産を引き起こしている可能性が示唆された.

  • 衛藤 真理子, 仙波 裕信, 岩田 啓, 稲垣 麻由子, 山口 賢郎
    原稿種別: 原著
    2016 年 69 巻 11 号 p. 678-683
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー

    ニュージーランド産めん羊の輸入検疫中に,糞便のリアルタイムPCR検査でヨーネ病患畜1頭を摘発し,自衛殺処分した.摘発個体の糞便から0.03〜0.163pg/2.5μlのヨーネ菌DNAが検出され,回腸〜盲腸と付属リンパ節から最大で14.3pg/2.5μlが検出された.MGIT液体培地を用いた臓器材料の培養検査では6週目から抗酸菌が認められ,ヨーネ菌DNA量も200〜600pg/2.5μlへと増加し,菌の増殖が確認された.分離株はIS1311のRFLP解析により羊型菌と同定された.ハロルド培地では材料の初代培養で菌は分離できず,継代培養においては10%CO2存在下での発育促進効果が認められた.病理学的には菌の分離部位に一致して類上皮細胞主体の肉芽腫性回腸炎が認められ,病理検査と菌分離により確実な診断ができた.めん羊のヨーネ病診断には遺伝子検査と液体培地による分離培養が高感度で有効であった.

  • 山本 佑, 勝井 一恵, 稲見 健司, 曽地 雄一郎, 豊島 靖, 清水 茂長
    原稿種別: 資料
    2016 年 69 巻 11 号 p. 684-686
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー
小動物臨床関連部門
  • 衛藤 翔太郎, 谷 健二, 左 享祐, 檜山 雅人, 西川 晋平, 原口 友也, 板本 和仁, 田浦 保穂
    原稿種別: 短報
    2016 年 69 巻 11 号 p. 687-690
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー

    広範な先天性二次口蓋裂に罹患した2カ月齢,ラブラドール雑種犬,未避妊雌の同腹子2頭が来院した.双茎弁スライド法を実施した症例1では,部分的な裂開による再縫合及び再手術が必要であった.自家遊離頰粘膜片移植を併用した症例2では,早期の症状の消失,順調な癒合が認められ,経過は良好であった.双茎弁スライド法は,欠損が広範な場合,粘膜有茎弁の不安定性や鼻腔粘膜の不足による過度な張力が問題となるが,自家遊離頰粘膜片移植により鼻腔粘膜での張力の軽減及び粘膜有茎弁の足場の形成により,それらの欠点を補塡することが可能であった.双茎弁スライド法と自家遊離頰粘膜片移植の併用は,広範な二次口蓋裂に対して有効な治療法かもしれない.

  • 近藤 広孝, 坂下 悠, 村上 彬祥, 小野 貞治, 小沼 守
    原稿種別: 短報
    2016 年 69 巻 11 号 p. 691-693
    発行日: 2016/11/20
    公開日: 2016/12/20
    ジャーナル フリー

    家庭飼育下のシマリスが顕著な精巣の腫大を示した.外科的に摘出された精巣腫瘤について病理組織学的に検索したところ,腫瘤は多角形細胞のシート状増殖より構成されており,精上皮腫と診断された.奇怪な単核もしくは多核巨細胞や異常有糸分裂像などの明らかな異型性を示しており,また,腫瘍細胞は精巣被膜を越えて周囲組織へ浸潤しており,潜在的に悪性の腫瘍と考えられた.リス科動物における精巣腫瘍の発生報告は乏しく,筆者らの知る限り,本例はシマリスにおける精上皮腫の初めての報告である.

獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
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