乾乳時における分娩後乳房炎のリスク因子を検索した.乾乳時に乳房炎原因菌が検出された分房の分娩14日前における乳汁粘稠性は,異常な乳汁である水様乳汁となることが多かった(P<0.05).分娩後の乳房炎発症率も,検出されなかった分房より高い傾向を示した.また,分娩14日前に乳汁粘稠性が水様の分房は,正常な乳汁であるアメ状乳汁の分房と比較して乾乳時の乳汁ラクトフェリン(Lf)濃度が低く(P<0.05),分娩後に乳房炎を発症した分房も,しなかった分房と比較して同様の結果となった(P<0.05).以上のことから,乾乳時の乳房炎原因菌の有無と乳汁Lf濃度が分娩後乳房炎のリスク因子となることが示唆された.乾乳時に乳房炎原因菌が検出された分房に乾乳軟膏を注入すると,分娩14日前の乳汁がアメ状になりやすくなり(P<0.05),分娩後の乳房炎の発症リスクが低減された.
ヨツユビハリネズミ(n=5)の全身麻酔に伴う低体温と危険な随伴症状の発生及び保温の効果について調べた.実験では,アトロピン(0.05mg/kg),ジアゼパム(4mg/kg),ケタミン(50mg/kg)の皮下注射による導入後,イソフルラン(2%)吸入で維持する場合と,高濃度イソフルランガス(5%)による導入後,同じく2%吸入で維持する場合で比較した.麻酔は60分間維持した.保温しないと,注射導入・高濃度ガス導入にかかわらず,全例で明らかな低体温(最低値:29.7±0.6℃)となり,著しい呼吸循環抑制からほぼ全例でチアノーゼが観察された.これに対して保温した場合には,注射導入・高濃度ガス導入のいずれでも体温低下は軽微(最低値:32.5±0.3℃)であり,チアノーゼの発生が大幅に抑制された.これらから,ヨツユビハリネズミの全身麻酔で保温は有効かつ必須であることが示された.
国内でおもに1次診療を実施している動物病院26施設(北海道2,東北3,関東11,中部2,近畿3,四国1,九州2,沖縄2)に初診で来院した犬及び猫の腫瘍の発生状況を調査した.犬では初診19,870例中1,902例(9.6%),猫の初診6,008例中334例(5.6%)が腫瘍症例であった.確定診断された悪性腫瘍は犬では肥満細胞腫,リンパ腫,悪性黒色腫が上位を占め,猫では,リンパ腫,悪性乳腺腫瘍,扁平上皮癌が上位を占めた.腫瘍症例のおよそ50%が腫瘍を主訴に来院していた.犬と猫の両方で,高齢で悪性腫瘍が多い傾向がみられた.また犬では,大型犬種に悪性腫瘍が多い傾向がみられた.
新潟県内で1998~2015年に分離されたS. Infantis 58株をPFGE及び薬剤耐性により型別した.これらの58株はPFGEにより32型に分類され,薬剤耐性により11型に分類された.3つのPFGE型は薬剤耐性型により細分され,PFGEと薬剤耐性型を組み合わせた型別により,58株は36の型に分類された.人由来株,ブロイラー株,豚由来株が同じ型に分類されたことから,鶏肉及び豚肉は人のS. Infantisの感染源であることが示唆された.採卵鶏由来株は人由来株と一致するものはなかったが,遺伝子的に近縁な株が認められた.よって,鶏卵も人の感染源となり得ると考えられた.