わが国におけるリステリテ症の歴史は1948年以来のことであり, 被侵襲動物は緬羊. 山羊に限られ, いずれも脳炎が主徴である.
著者らは昨年宋青森県三本木町において, 初めて豚のリステリア症と思われる1例に遭遇した. この豚は臨床上発熱以外・特異症状を現わさず急性経過で斃死し, 体表には紫斑・丘疹を認め, 一般臓器はいずれも溷濁腫脹を呈し, 敗血症変状が認められ, 培養の結果, 各臓器から1種の小桿菌を分離し, リステリア菌に一致することを確認した.
豚のリステリア症発生はわが国初のものであり, 今後食肉衛生の上からも重要な病例と考える.
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