従来広く用いられて来た「ノルム」についてその疑点を正し, これに代るべき一方法として変異幅を使用することを提案した.
すなわち従来の「ノルム」は
1) 体高のM±σなる範囲内に入る個体をピックアップし, それを材料として各部位のM±σを求める. この場合体高のM±σによって整理するため, (a) 整理前後の分布の型がことなってくること.(b) 仮令分布の型の, 差を証明できなかったとしてもその場合には体高と他部位との無相関を証明しておかねばならぬこと. に問題がある.
2) 体高のM±σには全体の約70%が含まれるから材料の大部分を含むと考えている. これはむしろ大部分という意味で変異の70%を含むのはどんな範囲であろうかを推定すべきである,
3)「ノルム」は最も平均的な数値を示しているにもかかわらず「優れた」または「標準の」といった概念と混同していることを指摘した.
4) そこでありのままの考えを忠実に表現する一方法として棄却限界法を転用し, 変異幅を使用することを提案した.
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