日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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70 巻, 10 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 藤井 勇紀, 田邊 ひとみ, 西野 弘人, 大谷 芳子, 都筑 智子, 大内 義尚, 秋庭 正人, 楠本 正博
    原稿種別: 原著
    2017 年 70 巻 10 号 p. 643-649
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー

    2006~2014年に茨城県で分離された豚由来病原性大腸菌108株の比較解析を実施した.おもなO群血清型はO116(34.3%),O139(11.3%),O149(9.3%)であった.O116の平均耐性薬剤数は19薬剤中12.7剤で,フルオロキノロン(FQ)系抗菌剤に対しては全株が耐性を示した.パルスフィールドゲル電気泳動解析の結果,O116株の多くは疫学的に近縁ではなく,またO116株による豚大腸菌症発生農場における聞き取り調査の結果,FQ系抗菌剤の使用歴との関係は認められなかった.O116は家畜生産の脅威となり得る多剤耐性を示すことから,抗菌剤の慎重使用と衛生管理の徹底に加え,発生農場における疫学調査等もあわせて実施する必要がある.

  • 小池 郁子, 村田 知, 大井 宗孝, 村上 賢
    原稿種別: 短報
    2017 年 70 巻 10 号 p. 650-654
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー

    2015年に,国内21農場の健康豚530頭から採取した血清を各農場の日齢ごとに混和して163検体とし,PCRにより豚サーコウイルス2(PCV2)の検出を行った.その結果,7農場由来10検体がPCV2陽性となった.PCV2産物を用いたORF2領域(702または705bp)の塩基配列解析により7種類の株が確認され,4株は遺伝子型PCV2a(神奈川県3農場由来,広島県1農場由来)に,3株は遺伝子型PCV2d(青森県1農場由来,千葉県2農場由来)に型別された.また,PCV2dの3株は2008年に国内で検出された株とは異なり,2012年に北米で検出された増殖能力が高いとされるmPCV2株と同じクラスターに属した.国内において優勢なPCV2は時とともに変化している可能性が考えられた.

  • 種村 高一, 大滝 忠利, 津曲 茂久
    原稿種別: 短報
    2017 年 70 巻 10 号 p. 655-658
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー

    脂肪肝乳牛におけるステロイドホルモンの肝臓における代謝を間接的に知る目的で脂肪肝牛と正常肝牛の胆汁中エストロジェン及びコルチゾールを測定した.と殺解体されたホルスタイン種雌乳牛128頭から肝臓,胆汁を採取し,肝脂肪沈着度が10%未満のものを正常群(56例),10%以上30%未満を軽度脂肪肝群(41例),30%以上を重度脂肪肝群(31例)として区分した.正常肝群と脂肪肝群との比較において胆汁中エストロジェン3分画値は重度脂肪肝群で最も高濃度であり正常肝群で最も低値であった.胆汁中コルチゾール値は重度脂肪肝群で高値を示した.以上のことから,乳牛の脂肪肝の程度が胆汁中ステロイドホルモン濃度に影響することが確認できた.

小動物臨床関連部門
  • 坂田 好美, 王 宝禮
    原稿種別: 短報
    2017 年 70 巻 10 号 p. 659-662
    発行日: 2017/10/20
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー

    口腔スピロヘータは歯垢に存在し,位相差あるいは暗視野顕微鏡下では特徴的な形態並びに運動性によってスピロヘータは容易に区別される.犬においての歯周病の原因菌の一種として考えられている.本研究は歯周炎を伴う犬(平均8.4歳,33頭)の歯垢を,位相差顕微鏡を用いて観察した.歯周炎で,高値に検出される口腔内スピロヘータが観察された症例に対してマクロライド系抗菌薬アジスロマイシンを7日間経口投与により臨床効果を検討した.その結果,口腔内スピロヘータは本実験で減少することが明らかとなった.そして,投薬前後に比較して,歯肉炎,歯垢付着,口臭の改善が認められた.以上から,口腔内スピロヘータが認められた歯周炎に対して,アジスロマイシンの投与は有効であると考えられた.

獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
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