日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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70 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 阿部 祥次, 飯塚 綾子, 藤田 慶一郎, 赤間 俊輔, 小松 亜弥子, 戸崎 香織, 小澤 優子, 芝原 友幸
    原稿種別: 短報
    2017 年 70 巻 4 号 p. 213-218
    発行日: 2017/04/20
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー
    約130日齢の雌の肥育豚が起立不能を呈して死亡した.剖検では,全身性のチアノーゼ,両側性の腎梗塞,僧房弁及び三尖弁における疣贅性心内膜炎,関節炎並びに脳における点状の白色病変が認められた.細菌学的に,肝臓,脾臓,腎臓,心臓,僧帽弁の疣贅,肺,脳及び関節液からStreptococcus dysgalactiae subspecies equisimilisが分離され,本分離菌はニューキノロン系薬剤に耐性を示した.病理組織学的に,グラム陽性球菌による弁膜性心内膜炎,大脳,小脳及び脳幹における多発性の微小膿瘍,化膿性糸球体腎炎並びに化膿性リンパ節炎が観察され,散在性に線維素血栓,菌塞栓及び化膿性血管炎が観察された.観察された菌は,抗Streptococcus Group C抗血清を用いた免疫組織化学的検査にて陽性反応を示した.本症例は豚のS. equisimilisによる心内膜炎と脳炎が確認された初めての症例である.
  • 瀧澤 光華, 水野 剛志, 中原 真琴, 松浦 俊幸, 今井 直人, Manchanayake Tilusha, 花房 泰子, 芝原 友幸
    原稿種別: 短報
    2017 年 70 巻 4 号 p. 219-223
    発行日: 2017/04/20
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー

    群馬県内の黒毛和種牛飼養農家で,86日齢の子牛が下痢を呈して死亡した.剖検では,第一胃,第二胃及び第三胃粘膜に白黄色偽膜様物の付着がみられた.組織学的に,第一胃,第二胃及び第三胃の粘膜上皮は好中球の重度浸潤,錯角化及び角化亢進により著しく肥厚していた.病変部には多数の酵母様真菌と仮性菌糸を認めた.真菌の形態,抗真菌抗体を用いた免疫組織化学的染色並びに第一胃,第二胃及び第三胃のパラフィン切片より抽出したDNAを用いた分子生物学的解析の結果より,本真菌はCandida albicansと同定され,本症例はC. albicansによる子牛の真菌性前胃炎と診断された.

  • 尾宇江 康啓, 菅野 徹
    原稿種別: 短報
    2017 年 70 巻 4 号 p. 224-227
    発行日: 2017/04/20
    公開日: 2017/05/20
    ジャーナル フリー

    馬コロナウイルス(ECoV)の血清学的調査を,1989〜2009年に北海道十勝管内で採材した馬の血清560検体について中和試験を用いて実施した結果,各年の抗体陽性率は2004年を除き84.4〜100%と高く,1989年には十勝管内の馬群にECoVが広く浸潤していたと考えられた.また,過去にECoV病の流行がみられた競馬場在厩馬6頭分18検体の血清について,2株のECoVと牛コロナウイルスを抗原に用いて中和試験を実施した結果,ECoVを抗原とした方が抗体陽性率と抗体価が高くなった.ECoVを抗原に使用した場合でもウイルス株が異なれば抗体価も異なる検体がみられたため,ECoVの株間でも抗原性は異なるものと考えられた.

小動物臨床関連部門
獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
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