牛白血病ウイルス(Bovine Leukemia Virus:BLV)感染が乳用牛の生産性に与える影響を検討した.乳用牛群能力検定の乳量,乳質及び分娩間隔を生産性の指標として,2015年5〜12月に1酪農場で調査を実施した.BLV抗体陽性牛(陽性牛)延べ160頭とBLV抗体陰性牛(陰性牛)延べ176頭の乳量及び乳質に差はなかった(P>0.05).調査期間中に2産目以降を分娩した牛(陽性牛14頭,陰性牛18頭)について分娩間隔を比較したが差はなかった(P>0.05).BLV感染による生産性の低下はみられなかったが,調査期間中に1頭で地方病性牛白血病(Enzootic Bovine Leukosis:EBL)の発症をみた.酪農場のBLV対策は,EBLの発症予防を目的としてBLV感染率を低下させることが重要である.
豚流行性下痢(PED)に対する市販ワクチンの有効性を調査するため,県内PED発生農場の疫学情報を分析した.ワクチン未接種群と比較して,分娩前にワクチンを2回接種した適正接種群の繁殖豚及びその子豚の罹患率及び相対リスクが低下したことから,適正なワクチン接種の有効性が示唆された.分娩前1回接種のような用法外接種群の繁殖豚の罹患率及び相対リスクは未接種群と差異はなく,子豚では減少したもののワクチンの効果は不十分と考えられた.また,すべての群で子豚の致死率及び相対リスクに差異は認められず,ワクチンにより子豚のPEDの発症防止は可能でも,発症子豚の死亡は阻止できないことが示唆された.したがって,子豚の損耗防止にはワクチンによる発症予防に加え,農場内バイオセキュリティー向上により感染豚を減らす対策が重要であると考えられた.
尿道移行上皮癌に罹患した12歳7カ月齢のミニチュア・ダックスフンド,避妊雌に対して尿道全摘出及び膀胱─膣吻合による尿路再建術を実施した.尿路欠損部が広範であったため,膀胱尖部に小孔を作製し,膀胱尖を腹側方向で反転させて膀胱体を尾側に移動し,膣と縫合した.術直後より随意ではないものの,外陰部からの排尿が可能であった.第126病日のX線CT検査で内側腸骨リンパ節転移が疑われたが,症例のQOLは維持されていた.尿道全摘出及び膀胱─膣吻合による尿路再建術の報告は少なく,また本症例のように膀胱を反転させて行った報告は存在しない.今回の術式は,膀胱の機能は温存できてはいないが,雌犬の尿道移行上皮癌に対する治療の選択肢の1つになるかもしれない.