鳥取県では2012年以降,牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)感染症清浄化対策を実施しており,多数の持続感染(PI)牛を摘発している.2016年1月から10月にかけてBVDV-1のPI牛が3農場で6頭摘発された.疫学調査の結果,6頭の母牛はほぼ同じ期間に県外の同一育成牧場へ預託されていたことが判明した.6頭中5頭から分離されたBVDVのE2遺伝子領域の分子系統樹解析では,5株はすべてBVDV-1cに分類され,株間の相同性は99.6〜99.9%であった.このことから,PI牛の母牛は預託期間中にBVDV-1cに感染し,帰還後にPI牛を産出したと推察された.県外預託牛由来PI牛によるBVDVの侵入パターンが示されたため,BVDV感染症清浄化には地域単位の対策だけでなく,国主導による全国的な対策が必要と考えられた.
2015年7月に岩手県内のブロイラー農場で脚弱と脚麻痺が多発し,死亡率の上昇がみられた鶏群について,病理学的及び細菌学的に検索した.症例は55日齢のブロイラー25例で,全例が体重2kgを下回る発育不良を呈しており,臨床的に13例が脚弱,脚麻痺,捻転脚などを示していた.肉眼的に,16例(64%)で第六胸椎の椎体または関節部が限局的に壊死に陥っており,組織学的には多数のグラム陰性桿菌またはグラム陽性球菌を伴う壊死性化膿性肉芽腫性骨髄炎及び関節炎を呈していた.脊椎膿瘍を発症した16例の病変部より,Salmonella Infantis(5例),大腸菌(5例),Staphylococcus属菌(3例)がそれぞれ分離された.
アカバネ病の予防に効果的なワクチンプログラムを評価するために,genogroupⅠ(GⅠ)に属するアカバネウイルス(AKAV)を抗原としたワクチンを育成牛に接種し,AKAVのgenogroupⅡ(GⅡ)に属するJaGAr39株とGⅠに属するKM-2/Br/06株に対する中和抗体価を測定した.試験には生ワクチン(TS-C2株:以下,L),不活化ワクチン(KN-06株:以下,NK,OBE-1株:以下,K)の3種類を使用した.Lを1回接種後,NKを3回接種した群(A群),NKを3回接種した群(B群),Kを3回接種した群(C群)の3群とワクチン未接種群を設定し,1群5頭にて試験を実施した.KM-2/Br/06株に対する中和抗体価は,A群とB群がC群と比べてワクチン接種後有意に高い値であった.NKを2回接種すると,ヌカカの活動する6〜11月の間にGⅠとGⅡに属するAKAVによるアカバネ病を予防できる中和抗体価が持続することを確認できた.アカバネ病の予防には,GⅠとGⅡの両方をカバーできることから,臨床現場においてKワクチンよりNKワクチンの方がより有用と考えられた.
近年,イヌインターフェロンαの口腔内投与による犬の歯肉炎の軽減効果が確認されているが,臨床的な効果の持続期間は不明である.今回,イヌインターフェロンα製剤を用いて,臨床例における効果と持続時間について検討を行った.イヌインターフェロンα製剤は3日に1回の合計10回を1クールとして口腔内に投与した.観察は投与開始から12カ月後まで行い,歯肉炎指数などを評価した.イヌインターフェロンα製剤を投与した群では歯肉炎の軽減が認められ,投与していない群では最終的に歯肉炎の進行が認められた.臨床例におけるイヌインターフェロンα製剤の歯肉炎軽減効果は,単独では9カ月持続し,歯磨きによるオーラルケアを併用することで1年以上持続することが明らかとなった.