Computed Radiography(CR)を用いたカセッテレス撮影における画質低下の有無を評価することを目的に,粒状性,コントラスト,鮮鋭度の観点から基礎的な画質評価を行った.被写体としてアクリルファントムを撮影した画像ではカセッテレス撮影は通常撮影に比較して粒状性が悪化したが,成牛後肢遠位端を撮影した画像では差は認められなかった.コントラスト,鮮鋭度はカセッテレス撮影と通常撮影に差は認められなかった.カセッテレス撮影はアクリルファントムを用いた場合は粒状性がやや悪化するものの,臨床画像において明らかな画質の低下を来すことはなく,牛の臨床において十分適応可能な撮影法であることが示唆された.
獣医神経病2次施設で紹介を受けた4,131例の犬に対し,中枢神経及び末梢神経筋領域の疾患群での各種疾患の発生割合,犬種の占める発生割合,診断年齢の中央値,発症年齢の範囲を調査した.脳領域が1,583例,頸髄領域(第1頸髄~第2胸髄分節)が743例,胸腰髄領域(第3胸髄~第3仙髄分節)が1,589例,末梢神経筋領域が216例だった.脳領域では特発性てんかん,頸髄及び胸腰髄領域では椎間板ヘルニア,末梢神経筋領域では特発性前庭症候群の罹患割合が高かった.本調査では国内の人気犬種を反映した小型~中型犬種での罹患割合が高く,国外の報告とは異なる傾向だった.単独施設での調査であるため紹介症例に偏りが生じている可能性を考慮すべきだが,本調査は国内における神経病の発生割合などに関する有益な情報である.