日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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71 巻, 11 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 大野 真美子, 堀 泰洋, 渋谷 久, 堀北 哲也
    原稿種別: 短報
    2018 年71 巻11 号 p. 631-635
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/20
    ジャーナル フリー

    15歳1カ月のホルスタイン種未経産牛が左乳房の腫脹と乳汁の排出を約2年間繰り返していた.その後,左乳房の腫脹と硬結及び乳汁排出の増加が認められ,全身状態が悪化したことから,罹患乳房の摘出術を実施した.術前に行った罹患乳房の超音波検査では,乳腺実質の菲薄化及び乳房内部の小房化した大小多数の囊胞を認めた.囊胞の境界は明瞭であり,内腔壁は平滑だった.囊胞内部は無エコーな貯留液が充満し,等エコーから高エコーの辺縁粗雑な腫瘤部が認められた.腫瘤部は最大で3.5×2.3cm大の充実性病変であり,不整形だった.乳汁からβ溶血性レンサ球菌が検出され,左乳房内部は大部分の正常構造が完全に失われていた.本症例は,病理組織学的検査より乳頭状囊胞腺腫と診断された.牛における乳腺の超音波検査は,腫瘍性病変の診断に有用な方法であると考えられた.

  • 岩本 滋郎, 堂福 莉菜, 濵﨑 幸一, 北原 尚英, 坂口 善二郎, 岡田 大輔, 中村 誠, 藤園 昭一郎
    原稿種別: 短報
    2018 年71 巻11 号 p. 636-640
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/20
    ジャーナル フリー

    地鶏の種鶏及び肉用鶏を飼養する鹿児島県内の養鶏農場で,マレック病が発生した.当該農場では過去2年間にわたり本病が散発していたことから,マレック病ウイルス以外の病原体の関与を疑い,本症例及び当該農場の過去症例の検体を用いて各種の鶏ウイルス遺伝子をPCR法にて検索した.その結果,マレック病罹患鶏の脾臓及び肝臓から鶏貧血ウイルスの特異遺伝子が検出され,当該農場のマレック病罹患鶏には,鶏貧血ウイルスが混合感染していたと考えられた.当該農場のマレック病罹患鶏からは,貧血や脾臓におけるリンパ球減少など,両ウイルスの混合感染実験と類似した所見も得られており,当該農場でのマレック病の発生や鶏の病態に対する鶏貧血ウイルスの関与も考えられた.しかし,その可能性を明らかにするためには,今後のさらなる研究が必要と考えられた.

  • 木村 久美子, 山本 逸人, 加藤 あかね, 杉 晋二, 小島 浩一, 亀山 衛
    原稿種別: 資料
    2018 年71 巻11 号 p. 641-643
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/20
    ジャーナル フリー
小動物臨床関連部門
  • 印牧 信行, 太田 充治, 辻田 裕規, 小林 由佳子, 安部 勝裕, 瀧本 善之, 今安 正樹
    原稿種別: 短報
    2018 年71 巻11 号 p. 645-648
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/20
    ジャーナル フリー

    全国6カ所の眼科紹介動物病院より緑内障群及び非緑内障群の柴犬DNAサンプルを回収し,イヌ緑内障感受性遺伝子(SRBD1 遺伝子)の3つの一塩基多型(rs8655283,rs22018514,rs22018513)における緑内障発症との関連を調査した.その結果,rs8655283のリスクホモではノンリスクホモに対するオッズ比が3.45(P<0.05),rs22018514ではオッズ比4.32(P<0.01),rs22018513ではオッズ比10.33(P<0.01)となった.またrs22018513のヘテロではノンリスクホモに対するオッズ比が6.14(P<0.05)となった.SRBD1 遺伝子の一塩基多型解析は将来的な緑内障発症リスクの評価に有用と考えられる.

  • 樋笠 正晃, 宇野 理恵, 宇野 雄博, 山田 茂夫, 安澤 数史
    原稿種別: 短報
    2018 年71 巻11 号 p. 649-653
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/20
    ジャーナル フリー

    慢性鼻炎として長期治療していた猫が,進行性の瞬膜及び眼球突出を呈し,鼻腔や眼窩を中心として,壊死組織を伴う炎症性肉芽の浸潤性増殖を認めた.病理組織学的検査により真菌感染が原因と診断され,抗真菌剤などによる内科治療や,壊死組織及び肉芽組織のデブリードマン等の外科治療を実施した.しかし,真菌感染は浸潤性に進行し,死亡した.本症例の起因菌の培養形態と高温発育試験及びβチューブリンとカルモジュリン遺伝子の塩基配列は近年分類されたAspergillus felis と一致していた.また,分離株は多くの抗真菌薬に対して高い最少発育阻止濃度を示し,感受性が低いことが示唆された.

獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
  • 菊地 利紀, 菅原 ゆかり, 植木 洋, 後藤 郁男
    原稿種別: 原著
    2018 年71 巻11 号 p. 655-659
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/20
    ジャーナル フリー

    宮城県内の大規模食鳥処理場における基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌の浸潤状況を調査し,処理工程における交差汚染の有無について検討した.ブロイラーと体120検体中78検体(65%)からESBL産生大腸菌が分離された.検出されたESBL遺伝子はbla CTX-M-1 group及びbla CTX-M-2 groupであり,CTX-M型が主であった.また,O抗原血清型はO18,O111,O153,O157及び血清型不明であった.これらの結果はロットによって異なったため,分離されたESBL産生大腸菌は各農場に由来し,生体搬入から内臓摘出までの処理工程で交差汚染は認められなかった.宮城県内の養鶏にはESBL産生大腸菌が高率に浸潤しており,農場ごとの耐性菌対策や処理場での汚染拡大防止が重要である.

  • 稲葉 夏深, 里麻 美喜子, 菅野 有希, 平田 清久, 戸﨑 香織, 大場 剛実, 新村 信久, 芝原 友幸
    原稿種別: 短報
    2018 年71 巻11 号 p. 660-663
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/12/20
    ジャーナル フリー

    約6カ月齢のと畜検査豚の全身皮下脂肪組織に多発性の癒合する巣状化膿性脂肪織炎が認められた.同病変部からはA. pleuropneumoniae が分離され,さらに同菌はマルチプレックスPCRより,A. pleuropneumoniae 血清型2と判定された.組織学的には,皮下脂肪組織においてグラム陰性桿菌の周囲に巣状に好中球及びマクロファージの浸潤が認められ,一部ではSplendore-Hoeppli phenomenonも認められた.免疫組織化学的には,脂肪織病変にみられたこのグラム陰性桿菌は,A. pleuropneumoniae 血清型2に対する抗体に陽性反応を示した.これらの結果から,今回観察された化膿性皮下脂肪織炎はA. pleuropneumoniae 血清型2の感染に関連して発生したことが示唆された.

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