平成28年5~6月,栃木県内の公共牧場の子牛(8~10カ月齢)が下痢を発症し,発症牛の糞便から牛コロナウイルス(BCV)の遺伝子及びコクシジウムの虫卵に加え,牛ロタウイルスC(RVC)の遺伝子が検出された.また,これらのウイルスに対する抗体検査でも,抗体価の有意な上昇が認められた.本症例により,RVCは子牛にも感染することが示唆されたことから,当所で保管している栃木県内の乳用幼若牛の血清100検体についてRVC抗体保有状況を調査した結果,83%の農場で抗体保有牛が検出され,特に12~23カ月齢の子牛では半数が抗体を保有していることが判明した.RVCは一般的に成牛下痢の原因ウイルスの1つとされてきたが,今回の調査を通じて,子牛の下痢でもその要因の1つとして関与していることが示唆された.
酪農場の地方病性牛白血病(Enzootic Bovine Leukosis:EBL)対策のために,乳用雌子牛(子牛)に牛白血病ウイルス(Bovine Leukemia Virus:BLV)遺伝子検査を実施し,感染子牛を摘発・淘汰した.BLV感染牛が分娩した子牛25頭について出生月と翌月の2回検査し,2頭(19〜45日齢)が陽性を示した.6カ月齢未満の子牛の全頭検査を3回実施し,35頭中2頭(4〜5カ月齢)が陽性を示した.遺伝子検査による感染子牛の摘発・淘汰は,抗体検査に基づく淘汰に比べて経済的損失を軽減した.あわせて水平感染防止対策を実施し,育成牛群の陽転率は,対策前の64.7%から対策後は12.5%に低下し(P<0.05),育成牛群の陽性率が0%に減少した.子牛の遺伝子検査は,酪農場のEBL対策に有効である.
今回,われわれは犬の歯科X線検査における二等分面法の新たなX線入射角度決定法を考案した.この方法では,フィルム面の口腔外への延長線と撮影対象歯の歯軸で成す角を二等分する角度でX線を照射する.この新しい方法と従来から用いられてきた基本的な方法,及び近年提案された別の方法の3つの方法を用いて,頭蓋及び模擬フィルムで作成したモデルにおける入射角度決定の検証を実施した.作業開始から入射角度決定までの時間を簡易性,得られた入射角度による画像長変化率を正確性,及びそのばらつきを精度の指標とし,それぞれの初回実施時の傾向及び習熟の関与について比較検証を行った.われわれの考案した方法は角度決定時間が最も短く,得られた角度は他法と同等で,ばらつきも少なかった.このことから初心者にも理解のしやすく応用しやすい方法と考えられた.
これまでの調査により,カンピロバクター汚染率及び定着菌数の低い特殊飼料給与鶏(B鶏)の存在を確認した.そこで,B鶏生産農場におけるカンピロバクター汚染状況を調査したところ,34農場中6農場が陽性であった.農場を衛生管理別に3区分したそれぞれの汚染率は,「良」6%(1/17農場),「普通」18%(2/11農場)及び「劣る」50%(3/6農場)であった.前回の調査成績を含めて分析したところ,「良」と「劣る」の農場汚染率の間に有意差が認められた(オッズ比5.30,P=0.019).今回の調査結果は,特殊飼料の給与によってカンピロバクター汚染が低減されたと考えられるB鶏において,「良」に分類された衛生管理が農場段階での鶏群のカンピロバクター汚染リスクを低減できる可能性を提示した.