ジチオスレイトール(DTT)で処理した馬パラチフス発生馬群(異常産馬と同居馬)の経過血清,発生牧場周辺の発生地域馬群及び非発生地域馬群の血清を用い,マイクロ凝集反応法(DTT-MAT)を実施した.異常産馬全頭でDTT-MATが陽性(≧20倍)となり,発症後の経過によりMATが陰転後もDTT-MATで抗体陽性が持続した.同居馬でもDTT-MAT陽性馬(42.1%)が認められた.発生地域馬群及び非発生地域馬群のDTT-MAT陽性率は4.5%,0.1%であった.DTT-MAT陽性の64検体は,1検体を除き馬パラチフス菌のLPSを用いたELISAで抗LPS抗体(IgG,IgA)の存在が示唆された.以上から,DTT-MATは馬パラチフスの感染後に出現するO4抗原に対する抗体を鋭敏かつ長期間検出できる方法と考えられた.
地方病性牛白血病(EBL)は好発年齢が4歳齢以上とされているが,約5カ月齢でEBLと診断した症例に遭遇した.当該牛は交雑種の去勢雄で,134日齢時に体表リンパ節の腫脹を認めた.168日齢では体表リンパ節の腫脹がさらに悪化し,血液検査では白血球数が104,000/μl で,異型リンパ球の割合は89%を呈した.剖検所見では腹腔内の各リンパ節の腫大があった.病理組織学的検査では,各臓器,各リンパ節において大型で異型性を示すリンパ球様細胞の浸潤,増殖を認めた.Real-time PCR法では,血液とリンパ節において牛白血病ウイルスのコピー数が著しく高値であった.B細胞クローナリティ検査では,腫瘍細胞のバイクローナルな増殖を認めた.以上の結果から,症例牛をEBLと診断した.発症個体にはEBLの発症と相関するウシ主要組織(BoLA)遺伝子BoLA-DRB3*1101/*1601 を認めたが,癌化にはその他の要因の関与も考えられた.
第3度房室ブロック罹患犬36例のうち,死後の病理学的検索により房室伝導系に重度の器質的障害が見いだされた31例について,重度傷害部位と心電図上でのQRS幅及び心室レートとの関連性を検討した.QRS幅に関しては,正常なQRS群(narrow QRS)が4例,幅広いQRS群(wide QRS)が27例であり,重度傷害部位から想定される下位自動中枢(想定下位中枢)とQRS幅とが合致していたのは31例中26例(84%)であった.一方,心室レートは40/分未満が15例,40~60/分が7例,60/分以上が9例であり,想定下位中枢と心室レートが合致していたのは31例中13例(42%)であった.本検索結果から,QRS幅の方が心室レートよりも房室伝導系の重度傷害部位をより的確に映し出しているものとみなされた.