幅広い病原体に対する効果を有し,長年畜舎等の消毒に使用されているオルトジクロロベンゼン・クレゾール複合製剤(動物用タナベゾール,大阪化成㈱,大阪)は,鳥インフルエンザウイルスに対し顕著な不活化効果を示した.すなわち,100~200倍に希釈した本素材は,室温及び37℃で10分間反応させることにより高い不活化効果を示した.一方,4℃の反応では不活化効果は弱まったが,反応時間を延長することにより効果も高まった.有機物の存在により,不活化効果は若干低下したが,100倍程度希釈した濃度で十分な不活化効果を示した.以上より,本素材は,鳥インフルエンザウイルスに対する不活化剤としても有用であることが明らかになった.本素材は,元来衛生害虫から細菌まで幅広い効果が得られる消毒剤として使用されてきたが,現場の環境を十分に把握して適切な使用方法を用いることにより,抗鳥インフルエンザウイルス効果を念頭に置く,幅広い防疫対策に活用することが期待される.
常染色体優性猫多発性囊胞腎(feline autosomal dominant polycystic kidney disease:fADPKD)は,人ADPKDと類似した病態をとる.肝囊胞を有するfADPKDの猫3例の臨床病理学的検討を行った.肝臓の病理組織学的検査及び肝囊胞液の分析を実施した.3例は,すべてペルシャ種の雄であった.2例の肝臓に限局性で多房状の肝囊胞を認め,1例に大きな単胞性肝囊胞を認めた.大部分の肝囊胞は肝葉辺縁部に位置していたが,組織学的に,微小な肝囊胞が肝実質内にも認められた.肝囊胞は,一層の低立方状細胞で内張りされていた.肝囊胞液は,血清と比べ,K+及びBUN濃度は高く,Na+,Cl-,Cre濃度は類似していた.いずれの症例とも,肝機能低下を示唆する血液検査所見は認められなかった.