鹿児島県で2002〜2017年に実施された豚症例の病性鑑定のうち,豚サーコウイルス関連疾病(PCVAD)と診断された16事例を含む22例の豚の材料を用いて,豚サーコウイルス2型(PCV2)の系統樹解析を行い,遺伝子型を調べた.その結果,遺伝子型aは2002〜2009年の4検体,遺伝子型bは2008〜2017年の13検体,遺伝子型dは2014〜2017年の5検体からみつかり,鹿児島県では2008年から遺伝子型b,2014年から遺伝子型dがそれぞれ出現したことが明らかとなった.
本研究は,黒毛和種子牛に対するベータ(β)カロテンの経口投与による糞便中の免疫グロブリン(Ig)A濃度へ及ぼす影響について検討を行った.2週齢の黒毛和種子牛22頭をランダムに2群に分け,11頭の子牛には,2週齢から4週齢まで,1日当たり20mgのβカロテンを経口投与した(投与群).一方,11頭の子牛にはβカロテンの投与は行わなかった(対照群).すべての子牛は,2週齢及び4週齢(投与2週間後)で血液及び直腸便を採取された.投与群の血清βカロテン濃度は,投与2週後において対照群と比較し有意に高値であった.また,投与2週間後において投与群の糞便中IgA濃度は,対照群と比較し有意に高値であった.これらの結果から,黒毛和種子牛に対するβカロテンの投与は子牛の消化管内におけるIgA産生を増加させる可能性がうかがえた.
一次診療4施設を受診した飼い主104名に対し質問紙法で解釈モデルを訊ね,言語データを対象とした質的手法であるSCATで理論抽出を試みた.飼い主の記述した解釈モデルは病因,病態と経過,治療方針の3カテゴリーに大別された.そのうち病因に対する認識は生物因子と状況因子に分けて考えられ,病態と経過に対する認識には受診理由,命あるいは生活の質(QOL)に関わる不安,病識と受容の様子が含まれた.治療方針に対する認識としては,決定の主体が誰か,動物及び飼い主にかかる負担がどの程度であるかが考慮されていた.各カテゴリーのこうした認識は,いずれもコンプライアンスや治療成績に影響を及ぼしうると考えられる.したがって,飼い主の解釈モデルを把握する際には,病因,病態と経過,治療方針のそれぞれについて確認する必要があることが示唆された.
1歳8カ月齢の雑種犬が食欲不振,下痢を主訴に受診した.画像診断により腹部に腫瘤を認め,細胞診及びリンパ球遺伝子再構成解析の結果より,T細胞由来の大顆粒リンパ球性(LGL)リンパ腫と診断した.多剤併用化学療法を試みるも治療に反応せず,第14病日に斃死した.剖検後の病理組織及び免疫組織化学検査では,腸間膜腫瘤に加え,肝,脾,肺,左右腎臓,胃腸,副腎,縦隔及び腰下リンパ節を含む全身臓器にT細胞リンパ腫の病巣が認められた.
2例のホルスタイン種雌牛にみられたリンパ腫につき,病理組織学的及び免疫組織化学的特徴について調べた.2例ともCD3,CD5及びWC1に陽性で,ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)に陰性を示したことから,末梢のγδT細胞に由来する腫瘍と考えられた.症例1では,腫瘍細胞の核は円形ないし類円形で,大部分の細胞が細胞質内に好酸性顆粒を有し,γδT細胞性リンパ腫,過剰顆粒型と診断された.一方,症例2では,腫瘍細胞は種々の大きさと高度の核形不整を呈し,従来のγδT細胞性リンパ腫とは細胞形態学的に異なっており,多形型γδT細胞性リンパ腫と診断された.この腫瘍と多形型B細胞性リンパ腫を細胞形態のみで区別するのは比較的難しい場合があり,多形性を示す牛のリンパ腫の診断には免疫組織学的な鑑別が必要である.