離乳後の黒毛和種子牛におけるビタミンEの投与効果を評価するため,16頭の子牛には12~18週齢まで,1週間に1回,筋肉内注射により500 IUのビタミンEを投与した(VE群).一方,16頭の子牛にはビタミンEを投与しなかった(対照群).すべての供試牛に14週齢時に牛RSウイルス生ワクチンを接種した.その結果,血清ビタミンE濃度は,両群ともに12~18週齢まで徐々に低下したが,14,16及び18週齢においてVE群では対照群と比較し,有意に高値であった.VE群の血清中酸化ストレスマーカー(d-ROMs)及びd-ROMsと血清中抗酸化力マーカーから算出された酸化ストレス度(OSI)は,18週齢において対照群と比較し有意に低値であった.本研究の結果から,離乳後子牛へのビタミンE投与は,ワクチン接種に対する抗体産生への影響は明らかにできなかったが,酸化ストレスを減少させる可能性が窺えた.
と殺された黒毛和種牛の舌に,体毛を容れる単一の囊胞が認められた.囊胞の直径は約22mmであり,舌の正中線上の筋層に位置し,その一部は舌背側表面と小孔でつながっていた.病理組織学的検査により囊胞壁は多数の毛包を有する重層扁平上皮から構成されていた.一部の重層扁平上皮で菲薄化及び破錠を認め,囊胞周囲には炎症性細胞浸潤を認めた.以上より,本例を慢性炎症を伴う類皮囊胞と診断した.本例は,牛の舌における類皮囊胞の初めての報告である.
症例はマルチーズ,避妊雌,4歳齢で急性の発咳を呈し来院した.各種検査から外傷性横隔膜ヘルニアを疑い,外科手術を実施した.手術時の所見は,横隔膜に欠損はなく,肝臓内側右葉が大静脈孔を介して胸腔に連絡していた.先天性大静脈孔ヘルニアと診断し,血流を確認するため,術中に造影CT検査を実施したところ,胸腔内に脱出した肝臓へと連絡する肝静脈,門脈が認められた.脱出した肝臓を温存するため,整復手術を実施した.術後87日目に実施した造影CT検査では整復した肝臓は正常位置に存在しており,同時に肝生検を実施したところ組織学的にも正常であった.横隔膜ヘルニアの鑑別診断として大静脈孔ヘルニアを考慮し,腹腔内に完納するのか肝葉切除を実施するのか決定するために,術前の造影CT検査が重要であると考えた.
牛白血病のうち,地方病性牛白血病(以下,EBL)は牛白血病ウイルス(以下,BLV)の感染に起因して発生する.従来,ELISAによる抗BLV抗体検出によりBLV感染の確認を行っていたが,PCRによる新たなBLV検出法を検討した.組織の採取に白金耳を用い,DNA熱抽出法と既報のプライマーを用いたシングルPCRを組み合わせたPCR法(以下,白金耳法)を考案し,手技の簡易化・迅速化を図った.PCR産物の遺伝子解析では,既知のBLV遺伝子と99.55%の一致を認め,白金耳法のBLV検出精度が確認された.また,EBL症例,散発性牛白血病症例,陰性対照牛全個体におけるnested PCRと白金耳法のBLV検出結果はカッパ係数0.82と高い一致度を示した.以上の結果から,白金耳法はBLV検出法として有用であると考えられた.