岡山県で2016年10月~2017年4月に発生した,ピートンウイルス(Peaton virus:PEAV)感染の関与が疑われた牛異常産8例の病態を報告する.8例のうち1例は,肉眼的に関節拘縮や脊椎弯曲がない流産胎子であり,残りの7例の子牛には,体形異常が観察された.免疫組織化学的検索では,流産例を含む3例の大脳にPEAV抗原が検出され,さらに流産例を含む2例の脳にはPEAV遺伝子も検出された.また,7例の体形異常子には,比較的高い力価の抗PEAV中和抗体が検出された.さらに,岡山県内の2016年の初越夏牛で,PEAVに対する抗体陽転が9~11月に認められた.これまで,PEAV感染に関連した新生子牛の先天的体形異常については,過去に国内でよく知られていたが,流産の病態に関する情報はほとんどない.本論文は,PEAV感染が関与したと考えられる流産に関する初めての報告である.
間性が疑われるとの主訴で日本大学付属動物病院に来院したホルスタイン種育成牛について,雌雄判別を目的とした検査を行った.染色体検査では,95細胞のすべてがXY型であった.ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)負荷試験における血漿中テストステロン(T)濃度は低値を示した.抗ミューラー管ホルモン(AMH)濃度は0.02ng/ml であった.Sex-determining region Y(Sry)遺伝子検査は陽性で,病理解剖検査では卵巣,子宮,子宮頸管及び腟が認められ,腟とこれに連続する外陰部が肛門より36cm下方に位置し,膀胱から連続した尿道は皮下を走行し外陰部に開口していた.左側卵巣様構造物には,小型の卵胞様構造物及び精細管様構造が散在し,同右側は左側と同様の所見に加えて複数の大型囊胞状構造物が認められた.以上より,本症例はXY/femaleの真性半陰陽と確定診断した.本症例のように,T及びAMH濃度が低くhCG負荷試験に反応しない場合には,機能的な精巣の存在は否定でき,無処置で肥育しても肉質が悪化する,雄性が発現し飼養管理が困難となるといった影響はないと考えられる.
6カ月齢,去勢済み雑種豚のと畜検査時に,両側眼瞼の外反を伴う腫脹を認めた.内臓を含めたその他の部位には著変は認めなかった.病理組織学的に,腫脹した両側眼瞼結膜下において,形質細胞様腫瘍細胞がび漫性かつシート状に増殖し,これらの腫瘍細胞はCD3,CD79α及びCD20には陰性を示したが,免疫グロブリンλ鎖及びα鎖,MUM1に陽性を示した.病理組織学的及び免疫組織化学的に形質細胞腫と診断された.