新生子馬のActinobacillus equuli(AE)感染症の実態を把握するため,北海道日高管内における本症の回顧的調査,分子疫学解析及び薬剤感受性試験を実施した.2009~2015年に0~5日齢で死亡した新生子馬284例のうち,AE感染症と診断された26例を対象とした.発症馬の出生時体重は健常馬より低く,半数は初乳摂取不十分な虚弱馬であり,7割が生後2日以内に死亡した.13例中10例はAE subsp. equuli(AEE),3例はAE subsp. haemolyticus(AEH)であり,主とする病態はAEEが敗血症,AEHは肺炎であった.分離株の薬剤感受性試験では,馬の臨床で一般的に使用される抗菌薬に対する耐性株は認められず,分子疫学解析により分離株の多様性が確認された.
Escherichia albertii は新しく認定された腸管病原性細菌で,わが国でも集団食中毒事例が報告されている.本菌は特徴的な生化学性状に乏しく,腸管病原性大腸菌(EPEC)や腸管出血性大腸菌(EHEC)との鑑別が難しい.われわれは,健康な飼育犬の糞便から,E. albertii を分離・同定した.本分離株は,病原性関連遺伝子(eae )及び細胞膨張化致死毒素(cdt )を保有していたが,志賀毒素遺伝子(stx2f )は保有していなかった.また,既報と同様,ペニシリン,アンピシリン及びエリスロマイシンに耐性を示した.飼育犬からE. albertii が分離されたことより,犬が人への感染源となり得る可能性が示唆された.