山形県,岩手県及び神奈川県で,気腫疽に類似する重度の全身性皮下気腫を伴った子牛の急死事例が認められ,すべての症例からPaeniclostridium sordellii が分離された.これら皮下気腫症例由来P. sordellii 5株と,気腫が認められなかった牛と羊の症例由来の同菌種25株の病原性遺伝子(tcsL,tcsH 及びnanH )保有状況を比較した結果,両者に違いはなく,またハウスキーピング遺伝子に基づく系統解析において皮下気腫症例由来株が特定の系統に属することはなかった.薬剤感受性試験では,いずれの株もペニシリンに高い感受性を示した.本報では,P. sordellii が牛に皮下気腫を起こすことが初めて示唆され,気腫の形成には,菌株の特性よりも宿主や飼養環境など他の要因が関与する可能性が高いと考えられた.