日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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75 巻, 1 号
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 安西 真奈美, 赤間 俊輔, 米山 州二, 尾澤 知美, 澤田 浩, 高橋 雄治, 宮本 亨, 宗田 吉広
    原稿種別: 原著
    2022 年75 巻1 号 p. e1-e8
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,牛呼吸器病症候群(Bovine Respiratory disease complex:BRDC)が多発する栃木県内の子牛預託牧場にて,冬季のBRDC発症による発熱の検知を目的として,群導入時の子牛40頭の尾根部腹側に体表温センサを装着し,発熱検知及び発熱原因の探索を行った.測定された体表温実測値から補正式を用いて計算された補正体表温を用いて算出した一日発熱積算値及び発熱検知頭数の増加は,群導入後4〜5日目と13〜15日目の二峰性に認められた.病原体検査結果と合わせると,一峰目の発熱は,牛コロナウイルスのまん延する時期に一致し,二峰目の発熱は,炎症を伴う細菌の2次感染による発熱と考えられた.以上のことから,体表温センサにより子牛の群導入後のBRDCに関与する病原体に起因する発熱の検知が可能であり,ウイルス感染後に炎症を伴う細菌感染に移行するというBRDCの病態進行と関連して二峰性の発熱を呈することが示された.

  • 土佐 進, 山田 学
    原稿種別: 短報
    2022 年75 巻1 号 p. e9-e13
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/15
    ジャーナル フリー

    出生直後より精巣の腫大を認めたホルスタイン種雄子牛から外科的に摘出された精巣を病理学的に検索した.精巣は組織学的に線維性結合組織の増生を伴った大小不同の筋型動脈,小動脈,細動脈の増殖病変により置換されており,精巣固有の構造はわずかに曲精細管が認められるのみであった.血管周囲の線維性結合組織と筋型動脈の血管内皮下にはエオジンの染色性の乏しい星状から紡錘形の細胞による膠様結合組織が増生していた.トルイジンブルー染色の結果,これらの細胞周囲に異染性が確認された.本症例は組織学的に,筋型動脈,小動脈,細動脈の複数の種類の血管組織と粘液産生能を有する間葉系細胞の増殖病変と特徴づけられ,精巣の血管過誤腫と診断された.家畜精巣における血管過誤腫の報告は過去に子牛で1例認めるのみで,本症例はわが国では初めての報告である.

  • 鈴田 史子, 寺山 好美, 浦川 了, 熊谷 飛鳥, 木村 久美子
    原稿種別: 短報
    2022 年75 巻1 号 p. e18-e23
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/15
    ジャーナル フリー

    黒毛和種子牛1頭が4日齢で発熱,呼吸器症状,神経症状を呈し,17日齢で死亡した.剖検では腹膜や肝実質の多発性白色結節,前胃及び第四胃粘膜のび爛・潰瘍,脳脊髄液の混濁が認められた.脳を含む主要臓器からCandida albicans が分離され,形成されていた病変は同菌によることが免疫組織化学的に証明された.消化管,肝臓及び腹膜ではAspergillus 属菌,接合菌の重感染が確認された.また,全身の血管内皮細胞に核内封入体が認められ,電子顕微鏡観察及びDNA解析で牛アデノウイルス(BAdV)4型と同定された.これまで,牛におけるC. albicans による脳脊髄炎の報告はなく,国内におけるBAdV 4型感染の報告も非常に少ない.本症例の病態はこれらの病原体に加え,複数の真菌の重感染が関連して成り立っていると考えられた.

小動物臨床関連部門
  • 伊藤 哲郎, 茅沼 秀樹, 斑目 広郎
    原稿種別: 短報
    2022 年75 巻1 号 p. e14-e17
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/15
    ジャーナル フリー

    16歳齢,去勢雄の雑種猫が食欲不振,体重減少を主訴として来院し,頸部腹側に2cm大の皮下腫瘤が触知された.血液検査において総カルシウム及びイオン化カルシウムの高値を認めた.症例のintact上皮小体ホルモン(parathyroid hormone:PTH)は基準範囲内であったが,実験的に高カルシウム血症を誘発した健常猫において報告されたintact PTHと比較すると高い値であり,血清イオン化カルシウム濃度に対応したPTH抑制調節の破綻が推測された.画像検査により頸部腫瘤は腫大した上皮小体であることが疑われた.外科切除した腫瘤は病理組織検査において上皮小体腺腫と診断された.術後に総カルシウム値及びイオン化カルシウム値は速やかに正常化し,2年間の観察期間に再発は認められなかった.

獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
  • 小林 光士, 古内 功二, 小野寺 仁, 小池 史晃, 辻 芳裕, 永瀬 正幸, 森田 幸雄, 豊福 肇
    原稿種別: 短報
    2022 年75 巻1 号 p. e24-e28
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/15
    ジャーナル フリー

    牛枝肉表面の切除法とスポンジ法による衛生指標菌数を比較した.2020年の冬期と夏期に30頭ずつ,切除法は臀部,ともばら2カ所及び胸部を計20cm2採取,スポンジ法は切除法の隣接部位を計400cm2拭き取った.60検体の切除法による一般生菌数(平均±標準偏差)は1.50±0.79 log cfu/cm2,腸内細菌科菌群は0.44±0.21 log cfu/cm2,スポンジ法は各々1.00±0.48 log cfu/cm2及び0.29±0.12 log cfu/cm2であった.切除法の一般生菌数及び腸内細菌科菌群数はスポンジ法のそれらと比べて高かった(P<0.01).一般細菌数の回帰式はy=0.25x+0.62,決定係数(R2)は0.17であった.切除法の一般細菌数を予測するために実施するスポンジ法の信頼度は低いと思われた.

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