一次診療で治癒しなかった難治性肺炎牛を対象に気管支肺胞洗浄液(BALF)から分離された原因菌,薬剤感受性及び予後を調査した.おもな分離菌はMycoplasma bovis(41.7%),Trueperella pyogenes(29.2%),Pasteurella multocida(26.4%),Mannheimia haemolytica(8.3%)で,薬剤感受性に基づいた抗菌薬治療で62.5%の牛が予後良好であった.一方,予後不良牛のBALFから薬剤耐性を示すM. bovis が高い割合で分離され,感受性のある抗菌薬選択はかぎられていた.その他の分離菌においても,予後不良群では多くの抗菌薬に対して耐性であり,治療が非常に困難であった.本調査より耐性菌増加が肺炎治癒率を低下させている実態が明らかとなった.
豚熱ワクチン接種から分娩までの期間と初乳摂取制限が哺乳期子豚への豚熱抗体付与に及ぼす影響について調査した.研究には,豚熱ワクチン接種妊娠豚3頭及び未接種妊娠豚2頭から娩出された産子を用い,それぞれ①ワクチン接種~分娩までの期間及び②娩出後6時間の初乳摂取制限の有無で区分した.哺乳中子豚の豚熱に対する中和抗体価は,初乳摂取制限をした群ではしない群に比べて有意に低値を示した.初乳摂取制限をした群のうち,ワクチン接種~分娩までの期間が21日の群では,161日以上の群に比べて哺乳中子豚の豚熱に対する抗体価は有意に低下し,生後14日以降の抗体陽性率は0%であった.本研究の結果から,未免疫状態の妊娠母豚への初回ワクチン接種時期と初乳摂取制限の双方は,哺乳期子豚の血中豚熱抗体量に明らかな影響を及ぼすことが明らかとなった.