日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
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76 巻, 3 号
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
  • 柿原 新, 鳴重 寿人, 佐野 裕規, 田代 久宗, 大谷 研文, 柳澤 郁成, 渡邉 雅治, 山中 典子
    原稿種別: 短報
    2023 年 76 巻 3 号 p. e45-e50
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/29
    ジャーナル フリー

    2019年10月,肉用牛飼養施設において,黒毛和種繁殖雌牛10頭が元気消失,食欲低下及び下痢等の症状を呈し,その後約3週間で9頭が死亡した.血清生化学検査でBUNとCreが高度に上昇,腎臓の病理組織学的検査を実施した5頭全頭で急性尿細管壊死が認められた.放牧場の糞便及び死亡牛の第一胃内容物中からクヌギのドングリの果皮が見つかった.比色法により定量したところ,クヌギドングリには6.08%(乾燥重量%)と高濃度の総ポリフェノールが含まれていた.また,第一胃内容の検査を実施した死亡牛全4頭からもポリフェノールが検出された.以上の結果から,本事例をドングリ中毒の集団発生と診断した.牧草の少ない時期に,大型台風により大量のドングリが放牧地に落下しており,放牧牛が短期間に大量に摂取したことが,発生要因と推測された.

小動物臨床関連部門
  • 田川 道人, 新坊 弦也, 富張 瑞樹, 宮原 和郎
    原稿種別: 原著
    2023 年 76 巻 3 号 p. e55-e61
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/29
    ジャーナル フリー

    常電圧放射線発生装置(オルソボルテージ)を用いて治療した口腔内悪性黒色腫の犬の17症例について回顧的研究を行った.治療プロトコルは1回8Gyを週1回,4週間とし総線量32Gyとした.肉眼病変に対する治療反応は73.3%で認められ,無進行期間及び生存期間中央値はそれぞれ126日,241日であった.ステージ別の生存期間はステージⅠが中央値に達せず,Ⅱが258日,Ⅲが80.5日,Ⅳが115日であり,診断時転移の有無(あり71日,なし303日),外科切除の有無(あり582日,なし164日),治療反応(CR 438日,それ以外154.5日)が有意に生存期間と関連していた.放射線障害はほぼ全例で認められたものの,多くは軽度であり,犬の口腔内悪性腫瘍に対する常電圧放射線治療は有用な治療オプションになりうると思われた.

獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
  • オブライエン 悠木子, 渡辺 麻衣子, 池内 隼佑, TRAN Vu Linh, BUI Thi Hien, 林谷 秀樹
    原稿種別: 原著
    2023 年 76 巻 3 号 p. e51-e54
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/29
    ジャーナル フリー

    愛玩動物用飼料の安全性はペットの健康のみならず,人の健康にも影響を及ぼす.平成21年に「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(ペットフード安全法)が施行され,犬猫の餌は一定の安全性が担保された一方,愛玩鳥の餌は同法の範疇外であり,微生物や化学物質汚染の実態は調べられていない.本研究では,愛玩鳥の餌を汚染する可能性のある微生物のうち,特に真菌に焦点を当て分離・同定を行った.その結果,愛玩鳥の餌72検体のうち58検体(80.6%)から真菌が分離された.また,分離された真菌182菌株中157菌株が同定され,Aspergillus 属の真菌が最も多く89菌株(56.7%)であった.愛玩鳥の餌は海外からの輸入が多く,亜熱帯・熱帯由来のAspergillus はカビ毒産生株,特にアフラトキシン産生性が高い菌株が多いことから,今後分離株のカビ毒産生性を調べる必要がある.

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