鹿児島県内のと畜場に緊急搬入された牛(黒毛和種,雌,56カ月齢)の解体後検査において,腹腔内の軟部組織を中心に直径約1~4 cmの播種性腫瘤を認め,腹腔内播種性腫瘍あるいは感染性病巣の多発が疑われた.腫瘤は組織学的にアステロイド体を伴う化膿性肉芽腫性炎が認められ,アステロイド体内部の菌体は抗Actinobacillus lignieresii 血清を用いた免疫組織化学に陽性反応を示した.さらに,腫瘤から単離されたグラム陰性桿菌は,生化学性状試験と16S rRNA遺伝子及びrpoB 遺伝子のシークエンスによりA. lignieresii と同定された.以上の成績より,本症例を腹腔内アクチノバチルス症と最終診断した.