2023年10月,長野県内の農場でブロイラーが脚麻痺を呈し死廃数が増加した.剖検で第6胸椎を中心に椎体が腫大し,断面に膿瘍形成に伴う脊髄の圧迫を認めた.病変部からEnterococcus cecorum が分離され,病理組織学的検査で化膿性脊椎炎と診断した.2024年2月以降に初発時と異なるロットの複数鶏舎でも脚麻痺を認め,すべての症例で椎体からE. cecorum が分離された.分離が最も早い症例は7日齢で,同居鶏を10日齢から投薬したが29日齢で一部が発症した.各症例の分離株は,パルスフィールドゲル電気泳動で同一または類似のパターンを示し,単一クローンの拡散が示唆された.また,分離株すべてが病鶏由来株に特徴的と報告された5遺伝子を保有していた.本研究は長野県で初めて確認したE. cecorum 感染症の報告である.
症例は7歳,避妊済みメスの雑種猫であり,左肩部の腫脹,慢性跛行及び左前肢の激しい疼痛を主訴に来院した.X線検査により,症例の腫脹した左肩部は左肩甲骨の腫瘤性病変と診断された.CT検査により,腫大した左肩甲骨は皮質骨の膨隆と菲薄化,内腔に多発性の囊胞状の構造物を伴っていることが確認された.症例は,疼痛の改善を目的に左前肢断脚術が行われた.術後経過は良好で,術後約3年以上経過した現在も再発なく過ごしている.病理組織学的検査により,左肩甲骨腫瘤は脈瘤性骨囊胞と診断された.脈瘤性骨囊胞は非常に珍しい良性の骨原発腫瘍様病変で,骨の膨張性かつ融解性を示す病変のため,類似した画像所見を示す骨肉腫などの骨原発腫瘍との鑑別が重要と考えられた.