犬の伝染性肝炎は1947年RUBARTHの報告以来, 独立した犬のウイルス性疾患として認められ, 現在世界各国にその発生が報ぜられているものである. しかるにわが国では, 1昨年 (1953) 藤本らが北海道で, 病狸一学的所見から本症の発生を認めた以外には, 今までにその報告がないようである.
著者らは昨年 (1954) 東京において, その発生を認め, 諸外国から分与を受けたウイルス株と比較研究を行ったところ, 臨床的には発熱, 食欲減退, 白血球減少などその主なる症状において一致し, また病理学的には肝臓肥大, 胆嚢壁の肥厚, 扁桃腺腫大および主として肝, 脾などにおける細胞の核内封入体が認められ, 病理学的にも本症を是認せしめる結果を得た. さらに著者らは本症の犬継代およびマウスおよび孵化鶏卵接種を行ったが, 犬以外の動物によるウイルス分離はできなかったが, 犬には容易に伝達せしめることができ, かくして著者らの観察した例は, 従来報告せられた諸外国における犬の伝染性肝炎に一致するものと認め, わが国にも現在本症の発生があることを確認した. なお現在著者らは本症の分布並びにジステンバーとの関係などについて研究中である.
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