乳牛の乳房炎は経済的立場から考察して畜産上極めて重要なる問題であるが, わが国においては, いままでこの方面についての研究は, 一部の学者を除いては広く研究せられなかったものである. 諸外国殊に米国においては, すでに1920年頃より乳半の発達とともに多発し, その経済的意義を持つ乳房炎の診断と予防については, その研究がいち早く進められ, その研究成果において竜他の諸外国に比較し, 幾多の優れた研究成績が発表せられている.
わが国においても, 最近ようやく乳牛の増産とともに次第にこの問題が取上げられ, 各方面の学者によって, 新しい視野と角度から本問題を究明研究せらるるようになったことは, まことに喜ばしいことである. 乳房炎の問題で最も重要な診断法については, なお今後さらに研究を要する問題があるが, その中で現在のとこる乳房炎の診断法では化学的反応によって決定する診断法も極めて重要ではあるが, それよりも組織細胞学的な診断法が, 診断上その価値が高く, 今後の研究はこの方面に向って, 深く推し進められるべきものであることを痛感するものである. こういった意味合において, 組織細胞学的診断の基礎をなす顕微鏡検査法は, BREEDの白血球数による計数的診断法とはその趣を異にし, 田現する細胞の種類によって乳房炎を診断するもので, その診断が簡易で, しかも病勢と予後, 経過, 治療法などを推察決定することができる点において, 有効適切なる診断法であることを考え, その研究の一端をここに比較検討して紹介する次第である.
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