1)前報と同じ材料と条件づけによつて得た放電間隔時系列に統計的な解析を加え, 変動要素を分離して考察を加えた. 2)時系列の平均経過すなわち緩慢な動揺の振幅Aは平均放電間隔τ^^-の延長に比例して増大するが, いぬでは放電間隔が7,80 msまで振幅は一定の大いさで経過し, 以後急激に増大し, したがつて水平部分と上昇部分の区別されるτ^^--A曲線がえられる. 3)不規則な変動の調和波成分(H型変動)は週期の異る2種の要素からなる. 一方を大脳皮質運動領の, 他方をそれ以外の神経機構の活動の週期を現すと考え, その変化の特徴によつて上位中枢の活動の有様を推測した. やぎ, うさぎは姿勢の維持を困難にするような条件づけに対して皮質運動領以下の神経機構の活動の増強によつて対応し, いぬは皮質運動領の神経機構の増強が起つて対応すると想像した. 4)やぎ, うさぎでは不規則な変動の棘状波成分(R型変動)は駐立面の傾斜, 駐立面のシーソー運動などによつて週期や減衰比に殆ど変化が現れないが, いぬでは1関節性筋に週期の短縮, 2または多関節性筋に週期の延長が起つている. 前者が主として関節の固定に働いて緊張的な収縮を営み, 後者が姿勢の崩壊を防禦する相動的な収縮を営むことが推定される.
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