日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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30 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 伊出 優, 新林 恒一
    1968 年 30 巻 3 号 p. 125-130
    発行日: 1968/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    反稠動物に高蛋白飼料を給与すると,第一胃のアンモニアおよび血清の尿素レベルが著しく増大する.本実験は,これらの現象をより明確にするために行なったものである.成長中の2群の山羊に,粗蛋白含量が8.9および20.9%の飼料企与えて,約1カ月間飼養し,そのあと,肝について,Carbamylphosphatesynthctase,Ornithinctranscarbamylasc,Argi-ninesynthetase,Argininosuccinatecleavagccn一zyme,およびArginaseの活性を調べ,2群について比較を行なった.実験結果を要約すると,次の通りである.I)飼養期間中,動物の体重は増加した.増俸量は,粗蛋白含量20.9%飼料給与区が, .9%飼料給与区に比べ,やや高い値を示した.2)血清尿素レベルは,粗蛋白含量8.9%飼料給与区で5~10,20.9%飼料給与区で32~38mgN7100mlの値を示した.3)肝の尿素合成に関与する諸酵素の活性は,粗蛋白含量20.9%飼料給与区が,8.9%飼料給与区に比べ,20~35%高い値を示した.4)反協動物における高蛋白飼料給与の影響は,肝の尿素合成酵素系の活性度よりは,血清の尿素レベルに,より強くあらわれることがわかった.5)蛋白摂取に伴う生体の適応現象,および第一胃における蛋白質の消化とアンモニアの吸収の二点から,実験結果を考察した.
  • 小西 信一郎 /, BANKOWSKI R.A.
    1968 年 30 巻 3 号 p. 131-139
    発行日: 1968/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    野外で下痢,嘔吐を呈している豚から分離され,しかも実験的にはSPF豚に限って,その上脳内接種の場合のみ発症させる豚エンテロウイルスChico株を用い,高濃度の炭放ガス吸入が発症に及ぼす影響を調べた.SPF豚においては,ウイルスを静脈内接種した直後,30%に炭聚ガスを含んだ空気を1乃至10分間吸入させたものに後肢麻痺,下痢,嘔吐を認め,通常の豚では,静脈内又は経口的にウイルスを投与し,30%又は15%の炭俄ガスを吸入させたもので下痢と嘔吐を認めた.一方Teschcnウイルス群と血清学的に関係のあるEl株では,その強い病原性から,これらの影響を認めることは出来なかった.
  • 伊藤 隆夫, 三浦 定夫, 大島 寛一, 沼宮内 茂
    1968 年 30 巻 3 号 p. 141-150_3
    発行日: 1968/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    盛岡食肉処理場で得た26例の本症について,病理組織化学的研究を行なった.組織化学的には,病巣は,従来一部の研究者によりLipomatosisと呼称されていたような腫瘍性性格を示さなかった.脂肪組織におけるグリセライドの化学的変化が第一義的なものであり,その結果,退行性および反応性変化を起こしたものと考えられた.研究結果は,次のように要求される.I. 病巣は形態学的に2型に分けられた,すなわち,一つの型は,脂肪組織に腫瘤を形成し,強い線維性組織の増殖により,病巣は多数の小葉にわけられるものである.他の型は,線維の増殖に
  • 大越 伸, 薄井 万平
    1968 年 30 巻 3 号 p. 151-166_1
    発行日: 1968/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    著者らは第v報において, Toxascarisleoninaの固有宿主である犬,猫に対する感染実験について述べた.本編では,非固有宿主であるマウス,ニワトリ,さらに無脊椎動物であるミミズおよびゴキブリに対する3種回虫の感染実験について報告する.3種回虫の幼虫のマウス体内における移行態度を検討することは,マウスと同じ哨乳動物である人の体内におけるvisccra11arvamigrans解明の有力な手段と考えた.またニワトリ,ミミズ,ゴキブリに対する感染実験は,これらの動物が,3種回虫のparatenichostとなり得るか否かを検討することで意義がある.本研究で得られた結果は,次の通りであった.1. T.leoninaの犬系と猫系では,マウス体内における幼虫の移行態度は同一であったが,筋肉内の第3期幼虫の体幅に差が認められ,大系が猫系に比して大であった.犬猫両系のマウス筋肉内における第3期幼虫の体長は,3カ月後まで伸長を続け,0.84~0.88mmに達した.2. T.leoninaの幼虫は,マウス体内においてsomaticmigrationを行ない,3カ月後も筋肉内に生存する幼虫が確認された.しかしニワトリの体内ではsomaticmigrationを行なわず,幼虫は主として消化管壁に存在し,2カ月後には消失した. 3. T.leoninaの幼虫のマウスから第2代マウス,さらに第3代マウスへ,またニワトリからマウスの移動が証明された.幼虫の第1次感染動物体内における滞留期間が永くなると,第2次感染が不成立となることも認められた.4. T.canisをマウスに感染させた場合は,脳・筋肉内に,またニワトリに感染させた場合は肝に,長期間生存する第2期幼虫の存在が確認された.本回虫の幼虫のマウスから第2代マウスへ,またニワトリからマウスへの移動は,常に成立した.5. T.catiの幼虫は,マウス,ニワトリの両種の体内でsomaticmigrationを行ない,筋肉内に長期間生存する第2期幼虫が確認された.本種回虫の幼虫のマウスから第2代マウスへ,またニワトリからマウスへの移動は,常に可能であった6. ミミズに対しては,T.leoninaは感染しなかったが,T.canisおよびT.catiでは感染が成立した.ミミズより採集したこの2種の幼虫は,さらにマウスまたはニワトリへの感染が可能であった.7. ゴキブリに対しては,3種回虫とも感染を認めなかった.以上の結果から,犬・猫の3種回虫の幼虫は,自然界で下等動物から高等動物を含むparatcnic110Stの間を広く移動していることが推定され,人体も paratenichostの一種として,これらの回虫の幼虫の侵襲を受ける危険性があることを認めた本実験により,ニワトリが3種回虫のparatenichostであることが明らかとなった.この事実は,鶏肉が人の食料であることから,公衆衛生上の問題を提起するもの゛である.
  • 大越 伸, 村田 義彦
    1968 年 30 巻 3 号 p. 167-173
    発行日: 1968/06/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Ancylostomatubaeformeを人工感染させた猫においてDisophenolとTctrach10rocthyleneによる駆虫試験を行ない,また感染猫の診断法について検討した結果,次のような所見を得た.1. Disophenolを,猫の体重1kg当たり6~7mg1回皮下注射したところ,すぐれた駆虫効果が得られた.2. Tctrachloroethylcneを,猫の体重1kg当たり 200~300mg1回経口投与したところ,本剤もすぐれた駆虫効果を示した.3.両種の駆虫剤とも,上記の投与量では,猫に対する副作用が,ほとんど認められなかった.4.猫からの採取便が少量で,かつ糞便内に含有された鉤虫卵が少数の場合においても,飽和食塩液浮遊法を用い,10~30分間静置した後に検査すれば,猫の鉤虫症は,高率に診断可能であることを認めた.
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