日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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41 巻, 2 号
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  • 鹿江 雅光, 戸田 光敬
    1979 年 41 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 1979/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛血清中の抗Fusobacterium necrophorum抗体を検出するため, 本菌参考菌株, 牛由来株ならびに保存菌株について, 寒天ゲルニ重拡散法による血清学的検査を行なった. 参考菌株および牛由来株に対する抗血清に対して, 塩酸加熱抽出法により作成したホモおよびヘテロの抗原, 他のほとんどの牛由来株ならびに保存2菌株の抗原はそれぞれ沈降線を形成した. F. necrophorum VPI 2891株を実験的に感染させた家兎においては, 感染後期の血清中に沈降素の出現が認められた. 次に, VPI 2891株の濃厚抗原と, 野外牛血清との沈降反応を試みたところ, 肝膿瘍牛血清23例中16例に沈降線が認められた. 一方, 非肝膿瘍牛血清においては88例中4例にそれが観察された.
  • 石原 勝也, 小沼 操, 大谷 健
    1979 年 41 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 1979/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    生体検査, 血液検査, 血清生化学的検査およびBLV血清抗体検査によって選別された185頭の健康な雌の黒毛和種について, 年齢別に末梢血リンパ球数の正常値を求めた. この正常値とBendixen indexを参照して, 黒毛和種の前白血病牛に対する診断基準を設定した. この基準では, リンパ球数は最低3ケ月の間隔で3回検査して判定された. 被検牛は陰性(Group 1, 83.4%), 疑陽性(Group 2, 13.0%), 持続的リンパ球増多症(Group 3, 3.6%)の各群に分類された. その陽性率は1回検査の陽性率(ローマ数字で表示)より低かったが, 持続的リンパ球増多症の評価は一層確実であった. リンパ球数を検査した年内にGroup 3と診断した7頭中の2頭が, また, 2年後に, Group 2と診断した25頭中の1頭がleukemiaを発病した. これらの牛は, 2あるいは3回の各検査ごとに3群中のいずれかに区分されたが, 1例のみが常にGroup IIIに分類された. このリンパ球数検査は, 前白血病牛を群から早期に除去するための防疫的手段としてより, むしろ, 白血病状態の病態判断と発病予知の有意な指針となるように考えられる.
  • 松井 寛二, 沢崎 坦
    1979 年 41 巻 2 号 p. 109-117
    発行日: 1979/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    心縦軸{こ沿った双極誘導(A-B誘導)心電図におけるQRS混合波の波型は, 動物種によって異なるばかりでなく, それぞれの発生過程において特徴的な変化を示す. すなわち, ニワトリとヤギではRs型に始まり, RS型を経て, 発生の後半にrS型で安定する. 一方, イヌでは, 胎生期から新生子期にはRS型を示しているが, 出生後数日を経てRs型で安定する. このような経過中におけるそれぞれの動物について, 左右の心室重量比, 心表面単極誘導心電図, 胸部単極誘導心電図および心室遊離壁におけるプルキンエ線維の発達の模様を経時的に追跡して, QRS混合波の波型変遷との関係について吟味した. その結果, イヌの場合には, 新生子期における左心室の急激な発達と関連するが, ニワトリとヤギにみられる波型の変遷は, 心臓の量的変化に起因するものではなく, 胎生期後半にプルキンエ線維が心内膜側から中層, 外層へと分布していく過程と対応することが推定された. これらの結果から, A-B誘導心電図におけるQRS混合波の波型にみられる, 動物種による相違と心室遊離壁内におけるプルキンエ線維の分布状態との間に関連のあることが示唆された.
  • 代田 欣二, 高橋 令治, 藤原 公策, 長谷川 篤彦
    1979 年 41 巻 2 号 p. 119-127
    発行日: 1979/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1974~1975年に剖検された犬215例の腎臓を病理組識学的に検索し, 118例(55%)に非化膿性間質性腎炎を認めた. 検出率は4歳以上では59%であったが, 1歳未満では10%にすぎなかった. 病理組織学的には, 間質にび慢性あるいは巣状の円形細胞浸潤, 線維化がみられ, 尿細管の広汎な変性壊死を認める例もみられた. これらの腎炎例中92例(78%)に基底膜肥厚, メサンギウムの増殖, 硝子化, 硬化, アミロイド沈着を認めるび慢性あるいは巣状の糸球体病変がみられた. 合併症としてはフィラリア症が最も多く, 間質性腎炎例の67%に認められた. フィラリア感染犬102例中79例(78%)に間質性腎炎を認めたのに対し, 非感染犬では113例中39例(35%)であった. 伝染性肝炎ウイルス感染を示唆する封入体は検索した全例において認められなかった. 以上とは別の間質性腎炎例26例についてレプトスピラ感染の検索を行ったが, 腎組織標本でレプトスピラ菌体を検出せず, 1例のみが抗体陽性であった.
  • 籠田 勝基, 岩瀬 俊男, 小島 敏之, 新山 雅美, 波岡 茂郎
    1979 年 41 巻 2 号 p. 131-138
    発行日: 1979/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    非タンパク態窒素化合物の豚発育に及ぼす効果を知るために, クエン酸2アンモニウム(DAC)を用いて豚の飼養試験を実施した. 給与飼料は厳しい低タンパクの条件のもとで, 必須アミノ酸はNRC標準の要求量を満たすように添加し, 非必須アミノ酸が窒素の制限因子となるように設計された. すなわち, 1) 粗タンパク(Cp)含量6.4%, 非必須アミノ酸制限(基礎飼料区). 2) 基礎飼料+DAC 3.6%添加(DAC区). 3) DAC区とCPを等しくしたDAC無添加区(Positive Control, PC区)である. 消化エネルギーは各区とも3.3kcal/gとした. 平均体重22.5kgのsecondary SPF豚12頭を4群に分け, それぞれ単飼ケージに収容し, 1日2回の制限給餌で28日間飼養した. 日増体重および飼料要求率の測定とともに窒素代謝試験とHt, TP, BUNおよび血中アンモニアを測定した. DAC区の平均日増体重は508gで基礎飼料区の426gおよびPC区の455gより有意に高い値を示した(P<0.05とp<0.10). 飼料要求率は基礎飼料区3.14, DAC区2.86およびPC区2.94で基礎飼料区が他の区より高い傾向を示した. Ht, TPおよび血中アンモニアは何れの区でも正常範囲内にあり, 臨床所見からもアンモニア中毒は認められなかった. 以上の成績から, 非必須アミノ酸を制限因子とした飼養条件下ではDACが豚の発育に利用されることが明らかとなった.
  • 清水 一政, 黒須 幸雄, 中条 真二郎, 浦川 紀元
    1979 年 41 巻 2 号 p. 139-149
    発行日: 1979/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    強心配糖体の各種動物に対する毒性, あるいはNa, K-ATPase標本の活性の抑制には著明な動物種差があることが知られている. 本実験では, 強心配糖体の1つであるウワバインを用いて各種動物(イヌ, ネコ, ウサギ, モルモット, ラット, ハタネズミ, マウス, ニワトリ, ハト, カエル, ガマ)の回腸の収縮反応の種差についてマグヌス法によって検討した. 一部の動物の回腸はウワバインにより持続性に収縮し, 他のものは収縮後弛緩した. 回腸標本による各種動物のウワバイン感受性は, 濃度作用曲線より求めた50%有効濃度(ED50)から4つのグループに分けられた. すなわち, 感受性の高い動物: カエル(9.0×10-8M), ネコ(9.3×10-8M), ハト(3.5×10-7), ニワトリ (5.1×10-7), イヌ(ED50なし), 中等度の感受性の動物: ウサギ(1.1×10-6M), ハタネズミ(2.3×10-6M), モルモット(2.7×l0-6M), 感受性の低い動物: マウス(1.7×10-5M), ラット(9.7×10-5M), ほとんど感受性のない動物: ガマ(1×10-3M以上), の4群であった. また各種動物のアセチルコリン収縮のED50は5×10-9Mから5×10-8Mの範囲にあり, 感受性には種差がなかった. 以上の成績より, ウワバインは各種動物の回腸を収縮させ, その収縮反応のED50はNa, K-ATPase標本の50%抑制濃度と同じ序列に従った動物種差が見られた. これらの結果はウワバインがelectrogenic Na pump (Na, K-ATPase)の抑制を介する脱分極により収縮が発生するという考えを支持するものと思われる.
  • 九郎丸 正道, 西田 隆雄, 望月 公子
    1979 年 41 巻 2 号 p. 151-165
    発行日: 1979/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    胎仔期から出生後, 哺乳期を経て成体へと至る間の十二指腸絨毛の形態形成, 並びに絨毛吸収上皮細胞における組織学的分化の詳細を, ハムスターを材料として, 光学顕微鏡, 走査型および透過型電子顕微鏡を用いて経時的に調べた. 絨毛は胎令13.5日で初めて角柱状の絨毛として出現し, 以後胎仔期を通してその大きさ, 数は増大をみるものの角柱状の形態を保持する. 出生を境としてこの角柱状絨毛は円柱状へと移行し, 哺乳期をすぎると円柱状から成体にみられる偏平葉状の絨毛形態へと急激に近づく. 一方絨毛表面には胎令15.5日で皺襞が, また生後3日令でlarge blebsが各々初めて出現した. これら絨毛表面にみられる諸構造は日令の進行とともに発達し, 表面構造は複雑となって行く. また吸収上皮は絨毛の発現とともに, それまでの重層から単層へと移行する. 上皮細胞表面の短かく, 不規則な微絨毛は胎令の進行とともにその長さ, 密度を増し, また胎仔期に認められるグリコーゲン顆粒の集積は出生後, 急速に消失する. 出生後, 上皮細胞はその長さを増し, 核の占有面積も減少を続け, 生後10日令でほぼ成体の上皮に近い構造を獲得するに至る. また腸腺の発達や杯細胞の数の増大もこの時期まで明らかに認められる.
  • 藤川 勇治, 西条 加須江, 小幡 不二雄, 藤江 昇
    1979 年 41 巻 2 号 p. 167-176
    発行日: 1979/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    七面鳥ヘルペスウイルス(HVT)による凍結乾燥ワクチンのマレック病(MD)に対する予防効果を調査するために, 細胞随伴性HVTワクチンと共に野外鶏群(10養鶏場, 20,425羽)に応用し効果を比較した. その結果防御率では10%の危険率でも有意差がなく, 凍結乾燥ワクチンの効果は細胞随伴性ワクチンと同等であることが確認された. またそれぞれのワクチンを応用した養鶏場の1個所ずつについて, ワクチン接種による抗体産生を寒天ゲル内沈降反応(AGP)を用い, 経時的に調査した. ワクチン接種による抗体の陽転は, MDV抗原を用いては確認できなかったが, ワクチンウイルス抗原を用いることによって両養鶏場において確認され, ワクチン接種後の鶏群監視におけるAGPの有用性が示唆された. AGPによってヒナを移行抗体陽性および陰性の2群に分け, HVT凍結乾燥ワクチンを接種して抗体産生を経時的に検査した. ワクチン接種による抗体産生率は, 両群の間に5%の危険率で差を認めなかった. しかし間接螢光抗体法により抗体産生を定量的に検査した結果では, ワクチン接種時の移行抗体が比較的高い場合(320倍以上), それがMDV由来の移行抗体であってもその後の抗体産生が遅れることを認めた. しかし抗体価は3週では抑制されたが7週までには回複上昇した.
  • 串田 寿昭
    1979 年 41 巻 2 号 p. 177-179
    発行日: 1979/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ペットとして飼われていた5匹のシマリスにおけるTrichophyton mentagrophytes (Arthroderma vanbreuseghemii)感染を報告する. いずれも, 鼻端, 耳など顔面に, 落屑性の小円形脱毛病巣がみられ, 同様の臨床症状を示した. これらは, 韓国から輸入され, ペットショップを通じて飼主にわたる間のいずれかで感染をうけたものと思われる.
  • 佐藤 儀平, 浅木 正義, 山本 博
    1979 年 41 巻 2 号 p. 181-183
    発行日: 1979/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    腸内細菌を分離し, その薬剤耐性を調べるため, 1977~78年に宍道湖で得られたハジロガモ(Aythya spp.) 44羽の死体の腸管下部を直接および増菌培養した. 腸内細菌の検出率は極めて低く, 2羽からEnterobacter cloacaeが, 1羽からCitrobacter intermedius biovar bが分離されたにとどまった. 分離されたE. cloacaeは, セファロリジン, アンピシリンおよびコリスチンに耐性を示したが, 接合性Rプラスミドは検出されなかった. また, C. intermediusは検査した13種の薬剤にすべて感受性であった.
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