日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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43 巻, 2 号
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  • 鈴木 秀作, 西中川 駿, 大塚 閏一, 望月 公子(
    1981 年 43 巻 2 号 p. 169-175,179
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    成熟したウシの耳下腺の腺胞・介在部および線条部について, 光学顕微鏡ならびに透過・走査電子顕微鏡で観察した. 耳下腺の腺腔は広く明瞭で, 腺胞細胞は微酸好性で, PASに弱く反応し, ABに染まらない漿液細胞であった. 電顕的に, 腺胞細胞は明調・暗調細胞, さらに, 細胞小器官の少ない明るい特殊細胞からなり, 前二者の細胞は種々の分泌顆粒を有していた. 腺腔は広く, 細胞間隙ならびに細胞間分泌細管がよく発達し, これらに面する細胞自由面には, よく発達した微絨毛やアポクリン突起がみられた. また, 明調細胞の核上部には, 多くのミトコンドリアが認められたが, 粗面小胞体は短桿状を呈し, その分布は疎であった. 介在部は, 丈の低いPAS陽性で, ABに染まらない立方上皮細胞からなり, 電顕的には, 明調細胞のみからなり, 明らかな分泌顆粒は認められなかった. 線条部は, PAS陽性で, ABに染まらない丈の高い円柱上皮細胞からなり, 明調・暗調細胞と, さらに明るい特殊細胞がみられた. これらの細胞には, いずれにも明らかな分泌顆粒は認められなかった. 管腔面の構造は, さまざまな形状を示し, 大きく2つの型がみられた. 一つは, 短かい微絨毛が比較的少ないものから多数存在するもの, 他は, 前者と形態的に全く異なり, 細胞の項部が膨隆していた. さらに, 線条部の底部には, 酸好性で電子密度の異なる種々の顆粒をもつ特殊基底細胞が認められた。
  • 鈴木 秀作, 西中川 駿, 大塚 閏一
    1981 年 43 巻 2 号 p. 181-185,189
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    成熟ヤギの耳下腺の腺胞・介在部・線条部について, DMSOによる凍結割断試料を作製し, 走査電子顕微鏡を用い観察した. 腺腔および細胞間分泌細管は広く, 明瞭で, これらに面する細胞自由面には, 長い微絨毛がきわめてよく発達していた. 腺腔内には, アポクリン突起や分泌物と思われる球形の構造物が多数認められた. また, 腺胞細胞内には, 滑沢な球形顆粒が少数認められた. 介在部は, 比較的明瞭で, 介在部管腔面には, 数列の短かい微絨毛が長軸と平行に一定の間隔で配列し, 細胞質には球形顆粒が少数認められた. 線条部上皮細胞の管腔面は, 5ないし6角形を呈し, 隣接する細胞辺縁はいくぶん隆起し, その表面構造は, さまざまな形状を示し, 大きく2つの型がみられた. 一つは, 短かい微絨毛が比較的少ないものから多数存在するもの, 他は, 前者と形態的に全く異なり, 細胞の頂部が膨隆していた. なお, 線条部上皮細胞には, 腺胞細胞および介在部上皮細胞にみられたような球形顆粒は認められなかった.
  • 清水 高正, 永友 寛司, 幡谷 正明
    1981 年 43 巻 2 号 p. 191-199
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    九州内5県下における初生牛および呼吸器病羅患子牛の血清を対象に, 2株のUreaplasmaに対する代謝阻止(MI)抗体価と, Mycoplasma bovis及びM. bovirhinisに対するLatex凝集(LA)価を測定した. 初生牛の血清中には, これらに対する移行抗体が証明されない例が多かった. 汚染哺育場に導入された初生牛の経時採取血清と, 呼吸器病発症牛の対血清では, マイコプラズマ抗体は発病前に上昇するが, 回復期には有意の抗体上昇は必ずしも認められなかった. 5県下21か所における260頭の子牛血清中には, UreaplasmaおよびM. bovirhinisに対する抗体保有例が多く, これらの哺育場への浸潤はかなり高度であることが示唆された. MIおよびLAによる血清診断法は, 牛群のマイコプラズマ感染の有無を短時間で確認するために有用と思われる.
  • 今井 壮一
    1981 年 43 巻 2 号 p. 201-209
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    台湾産スイギュウ(Bubalus bubalis)29頭より得たルーメン内容に見いだされる繊毛虫の種類構成について調査した結果, Entodinium属の4種の新種を認め, それぞれE. ogimotoi sp. n., E. bubalum sp. n., E. fujitai sp. n., E. tsunodai sp. n.として記載した. E. ogimotoiは長方形を呈し, 後部に2個の扁平な三角形のlobeを有する. 細胞肛門は正中線より大核側に位置する. 体長30-47μm. E. bubalumは卵形ないし長円形で, 体後端中央部に密接して存在する比較的短い2本の尾棘を有する. 体上部右側の尾棘は体下部左側のものより小さい. 体長25-45μm. E. fujitaiは非対称の外形を呈し, 体右側は凸面を描くが, 体左側はへこむ. 体後端に太く短い2本の尾棘を有し, 左側のものは強く湾曲する. 体長23-32μm. 本種はE. gibberosum Kofoid et MacLennan, 1930およびE. triangulatum Dehority, 1979に極めて類似するが, 前者とは大核が短く, 大核前端にくぼみがない点で, 後者とは外質の三角形のくさび状突起がない点で異なる. E. tsunodaiは卵円形を呈し, 体後端に4本の尾棘をもつ. これらのうち, 1本は体左側に, 1本は体右側に, 他の2本は体中央部に存在し, 中央部の1本が最も長く, 他の3本はほぼ同じ長さである. 本種はE. indicum Kofoid et MacLennan, 1930と類似するが, 尾棘の数および収縮胞の位置が異なる. 体長28-40μm. またDogiel(1928)が, トルキスタンのスイギュウで記載したIsotricha bubaliは, その後報告が見られなかったが, 今回の検索では41.4%のスイギュウから見い出された. しかし, 形態学的検討の結果, Isotricha属とは異なる形質が多いことから, 新たに新属Oligoisotrichaを設け, Oligoisotricha bubaliとして再記載した.
  • 浅利 昌男, 深谷 幸作, 山本 雅子, 江口 保暢, 鹿野 胖
    1981 年 43 巻 2 号 p. 211-215,219
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシの胎齢1.5ヵ月の胎仔より新生仔に至るまでの第四胃胃底部の粘膜表面すなわち内面構造についてその形態学的分化行程を観察し, とくに胃小窩と胃腺の形成について走査型電子顕微鏡と復構模型を用いて精査した. 初期胎仔の第四胃表面上にはすでに多くの細かなシワをもつ, ラセンヒダが現われていた(1・5-2ヵ月). その後ヒダの表面のシワは伸長して多くの直線状の縦走する隆起となり(3-4ヵ月), 続いておのおのの直線状の隆起上のところどころに浅いくびれが現われ, その数も次第に増加して, 個々の独立した隆起を形成する. この隆起下の粘膜固有層はすでに蜂巣状の網目を示し, 間に深いくぼみを形成していた(4-5ヵ月). その後, おのおのの隆起は次第に変形して俵状になり(5-7ヵ月), さらに月齢が進むと隆起も狭くなり, その間の溝が拡大してくる(7-9ヵ月). 新生期に至るとおのおのの隆起も次第に平坦になり, 溝の一部は胃小窩として拡大する. この胃小窩の出来方には変異があり, 1例では4個の隆起が接着して, その間の溝の接点が深くくぼみ胃小窩となり, 残りの部分の溝は消失する. またこれらの隆起に背中合わせに存在する隆起間にも胃小窩ができる場合があり, このようにして隆起と隆起との間の溝は失なわれ, 胃小窩が拡大し明瞭になるように思われた.
  • 吉川 尭, 花田 貴宣
    1981 年 43 巻 2 号 p. 221-231
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    臨床的に著るしい発育遅延を示した38~160日令の自然発生萎縮性鼻炎豚18例を病理組織学的に検索した. 種々な程度の鼻甲介骨病変とともに, 全身諸骨の軟骨接合部(助軟骨接合部, 大腿骨近位端, 下顎骨切歯部結合)には軟骨基質の線維素析出を伴う明らかな融解性壊死性変化(軟骨内骨化障害)が観察された. その他臓器の変化として間質性筋炎, 膜性ならびに増殖性糸球体腎炎および髄外造血が頻繁に観察された. また38~60日令の6例の若齢豚の鼻粘膜管胞状線上皮細胞の核内に巨大細胞封入体の形成が認められた. これら形能学的所見は, 発育障害の病理発生に重要な所見を提供していると思われた. 萎縮性鼻炎を伴った今回の全身性の骨形成障害は, ある変質性刺激によってもたらされたものと推考された.
  • 新城 敏晴, 宮里 後光, 金内 長司, 光岡 知足
    1981 年 43 巻 2 号 p. 233-241
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛肝膿瘍, 牛ルーメン液, 未経産牛乳房炎等からの新鮮分離株15株および参照株3株, 合計18株のFusobacterium necrophorum菌株について培養性状, 生化学的性状, DNAの塩基組成比, マウスに対する病原性, ニワトリ血球凝集性等をしらべた. その結果, これらの菌株は極めて均一な生化学的性状をしめし, Fusobacterium necrophorumと同定されたが, 集落形態, 菌形態, 液体培地中の発育性状, 血球凝集価, マウスに対する病原性等において明瞭な差異をしめし, 2群に類別された. 2群の菌株はすべて溶血性をしめし, Fievezのbiovar Aとbiovar Bに, あるいはBeerensらのphase Aとphase Bに, それぞれ相当するものと考えられる. この2群の菌株間のDNAの相同性は53~76%で, この値はJohnsonによって提案されている分類区分の遺伝的定義の見地から亜種のレベルに相当している. したがって, これら2群の菌株は亜種のレベルで類別されるべきであると思われる.
  • 畔高 政行, 平沢 勉, 小西 信一郎, 尾形 学
    1981 年 43 巻 2 号 p. 243-253,255
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    出血性腸炎で斃死, または臨床的にイヌ・パルボウイルス感染症を疑われた犬52頭のうち19頭から, イヌ・パルボウイルスがネコ腎継代細胞(CRFK細胞)および同初代細胞培養で分離された. 本ウイルスは糞便および種々の臓器から分離され, 年齢的には必ずしも幼犬に限らず, 成・老犬からも分離され, 犬は本ウイルスに対して年齢に関わりなく感受性を有するものと考えられた. 本ウイルスは血清学的にはネコ・パルボウイルスと全く区別できなかった. また健康な犬3頭における感染実験では, 抗体陰性であった犬の1頭が, 自然感染における重症斃死例と極めて類似した症状を呈し, 6日目に斃死した. 剖検所見では, 腸管のほぼ全長にわたる激しい漿膜・粘膜の出血が認められ, 病理組織学的には, 小腸粘膜上皮の広汎な剥脱・絨毛萎縮・陰窩の拡張と上皮の剥脱および核内封入体が見られた. 369頭の犬血清について本ウイルスのHI抗体調査(一部は中和抗体)を実施した結果, 1978年以前のものは陰性であり, 1979年以降の例では, 本ウイルス感染症を疑わせるもの, およびそれとの接触があったものでは極めて高率に陽性であるのみならず, このような経歴のないものにおいても陽性例が認められた.
  • 北川 均, 石原 勝也, 横山 信治, 内山 智晴, 常井 和男
    1981 年 43 巻 2 号 p. 257-260
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    酵素蛍光法による健康犬94例の空腹時血清総胆汁酸濃度は, 5.3nM±3.9(S.D.)であった. これから算出されたその正常値(Mean±2S.D.)は, 0~13.1nMであった. 1歳以下および1歳の若齢犬では, 血清胆汁酸濃度が成犬よりやや高値を示す例(14.0~15.0nM)が散見された. 性別による血清胆汁酸濃度に有意差は無く, また, ビーグル犬と日本犬雑種では, 同年齢においてその有意差が無かった.
  • 高橋 清志, Young B. A.
    1981 年 43 巻 2 号 p. 261-265
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛にヒスタミンニ燐酸を200μg/kg皮下注射したところ, PCVの上昇, 血圧の下降,蹄冠部の皮温上昇, 背弯姿勢, 足踏み運動がみられ, 蹄に一過性の疼痛を認めた. さらに3頭ずつ2群の牛を1週間20~25℃と-10~-15℃の温度制御室に入れ, この間ヒスタミンニ燐酸200μg/kgを計10回皮下注射した. その結果低温群の3頭中2頭において蹄の疼痛が4週後まで持続し, 強拘歩様, 蹄の変形および前肢交叉など慢性蹄葉炎の症状を呈した.
  • 金本 康生, 小谷 均, 尾形 学, 福本 幸夫
    1981 年 43 巻 2 号 p. 267-271
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    広島県内で捕獲された野生のタヌキ7頭, キツネおよびアナグマ各1頭からMycoplasmaが分離された. キツネの口腔から分離されたMycoplasmaはM. molareと同定された. タヌキとアナグマの口腔から分離されたMycoplasmaは, イヌ由来の9種の標準株とは血清学的に一致しなかった.
  • 島倉 省吾, 沢 英之, 山下 照夫, 平井 克哉
    1981 年 43 巻 2 号 p. 273-275
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    南アメリカから輸入されたアオボウシインコ(Amazona aestiva) 5群, 合計424羽中140羽(33,0%)に, ブドウ球菌感染による化膿性眼疾病が集団発生した. これは捕獲によって環境条件が急激に変化したためにおきたものと考えられた.
  • 沢 英之, 平井 克哉
    1981 年 43 巻 2 号 p. 277-279
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    香港から1群50羽輸入され, 検疫の数日後某業者において斃死した2O羽のキンバト (Chalcophaps indica)からSalmonella typhimurium subserovar copenhagenが分離された. 本菌はDuguidらの生物型が25 hiで, SM耐性のRプラスミッドを持っていた. 愛玩用鳥類については輸入検疫の検討が望まれる.
  • 鈴木 義孝, 杉村 誠, 神谷 新司, 藤田 達男, 吉沢 美奈子, 神谷 晴夫, 大林 正士
    1981 年 43 巻 2 号 p. 281-283,285
    発行日: 1981/04/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    昭和54年度特別天然記念記念物ニホンカモシカの保護管理に関する調査研究(文化庁)の一環として野生ニホンカモシカ119頭を剖検し, Protostrogylus shiozawai寄生による肺病変を多数例(70%以上)に認め, 本症の疫学的一端を明かにした. 病理組織学的には従来の報告に加え, 寄生虫羅患と平行して細気管支上皮内に出現するglobule leucocyteに注目した. 肺病変は後葉の尾側尖端域に好発していた.
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