日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
Print ISSN : 0021-5295
ISSN-L : 0021-5295
43 巻, 5 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 平山 紀夫, 源 宣之, 倉田 一明
    1981 年 43 巻 5 号 p. 637-643
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬ジステンパーウイルス(CDV)の感染価の測定に使用しているVero細胞に, マイコプラズマの汚染が認められたので, CDVの増殖におよぼすマイコプラズマの影響について検討した. 4株のVero細胞のうち2株より, Mycoplasma oraleが分離された. このM. oraleは, マイコプラズマ・フリーのVero細胞でCPEを示さず, よく増殖した. CDVを低MOIで感染させると, ウイルス接種後72~120時間にかけて, マイコプラズマ感染細胞でのウイルスの産生は減少し(1 log), 高MOIの場合は, ウイルスの増殖が約24時間おくれるのが認められた. 一方, マイコプラズマ・フリーの細胞と, M. oraleを感染させた細胞で, CDVの感染価を測定したが, 有意差は得られなかった. 以上の成績から, CDVの増殖に対するM. oraleの影響は, あまり強くないものと思われた. 培養液に加えたアルギニンの濃度(0.1mMおよび0.5mM)にかかわらず, マイコプラズマ感染細胞でのウイルスの産生は減少した. M. oraleを感染させた細胞に, M. oraleの抗血清を添加すると, CDVの増殖はマイコプラズマ・フリーの細胞の場合と, ほぼ同程度であった.
  • 尾形 研二, 北川 浩, 工藤 規雄, 杉村 誠
    1981 年 43 巻 5 号 p. 645-657
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ミョウバン凝集ウシ血清アルブミン(A-BSA)を抗原として6週齢のニワトリに1羽あたり10 mgを静脈から投与し, その後の免疫応答を脾臓で免疫組織化学的に観察した. 1次投与後約12時間目から莢毛細管周囲リンパ組織(PEL)のリンパ球の芽球化と, それに続く動脈周囲リンパ組織(PAL)と静脈周囲リンパ組織(PVL)内での抗B細胞血清(ABS)陽性リンパ芽球の出現があった. その後PALとPVLではそれらリンパ芽球による胚中心の形成が観察された. 抗原投与後出現した胚中心に2種類が区別された. ひとつは樹枝状細胞を多く含むもので, それをI型胚中心とした. 他のひとつは樹枝状細胞を含まないものでそれをII型胚中心とした. I型胚中心は抗原投与後早い時期に多数出現し, II型胚中心はI型よりも遅れて多数出現した. 1次および2次投与群で, I型胚中心の消長は抗体産生細胞の消長とよく一致していた. 一方II型胚中心の特徴は, 2次投与直後の抗原の取り込みと, 同じく2週間目以後に, それを構成するリンパ球の表面に特異抗体が出現したことであった. したがって(1)胚中心はPELのB細胞によって形成されること, (2)胚中心は2種類形成され, I型胚中心は抗体産生細胞の前駆細胞の産生, II型胚中心は記憶細胞の産生に関与していることが強く示唆された.
  • 代田 欣二, 山本 茂貴, 藤原 公策, 大橋 文人, 竹内 啓
    1981 年 43 巻 5 号 p. 659-665,668
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    イヌ腎尿細管上皮に対するウサギ抗血清を静脈内投与したイヌ8例中7例, 腎動脈内投与したイヌ4例中3例に間質性腎炎を惹起し得た. 病変は皮質間質における巣状の単核細胞浸潤と尿細管障害で, その程度は個体により差があった・電顕により浸潤細胞は中型・大型のリンパ球様細胞を主とし, しばしば尿細管基底膜(TBM)に接して認められたが, TBMに沈着物は認めなかった. 螢光抗体法でもTBMにウサギIgGの沈着は見られなかった. 静脈内投与例では間質病変の出現後に糸球体の富核が見られたが, これは異種血清への反応のためと思われた.
  • 林 俊春, 柳井 徳磨, 鶴留 雅人, 中山 裕之, 渡部 嘉範, 藤原 公策
    1981 年 43 巻 5 号 p. 669-673,676
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ネコ伝染性腹膜炎(FIP)ウイルスは脳内接種後, 乳のみマウス脳内でよく増殖し, 継代2代以降著明な中枢神経症状を現わして死亡した. 感染乳のみマウス脳切片を標的抗原として, 螢光抗体間接法により, FIPウイルス抗体を検索したところ, 臨床あるいは病理学的にFIPと診断されたネコ83例中77例(93%)は1:400~1:25,600で陽性反応を示したのに対し, 健康ネコでは103例中3例(3%), FIP以外の症例では71例中4例(6%)のみが1:400および1:1,600で陽性反応を示した. 螢光抗体陽性検体の若干例について, 乳のみマウス脳内接種による中和試験を行なったところ, 螢光法と中和試験の成績はよく一致した.
  • 板倉 智敏, 箱谷 百合子, 五藤 精知, 斉藤 俊之, 石井 和彦
    1981 年 43 巻 5 号 p. 677-683,687
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1978年から1979年にかけて, 国内の肉用種若鶏に筋胃糜爛が多発した. 著者らはこれらの筋胃を病理組織学的に検索した. その病変は140℃で3時間加熱処理した鯖魚粉15%を含む実験飼料を, 肉用種初生雛に給与することにより発現した変化と同一であった. したがって, 自然発生例の原因は, 給与された飼料中の魚粉にあると見なされた. 自然例および実験例の筋胃の初期病変は, ケラチン様層の増幅と粗鬆化ならびに筋胃腺の主細胞と表層細胞の腫大であった. 病変の進行とともに, ケラチン様層の水平層紋は著しく明瞭になって棚状構造を示し, 多数の剥離表層細胞を含んでいた. このようなケラチン様層の変化に後続し, 筋胃皺壁の凹地に糜爛ならびに潰瘍が発現した. 以上の所見のうち, 筋胃腺の分泌過剰が病変形成に対し重要視された.
  • 韓 行徳
    1981 年 43 巻 5 号 p. 689-697
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    蚊の株化細胞(Singh's Aedes albopictus cell line)を用いて, アカバネウイルスの増殖性についてしらべた. 蚊細胞におけるウイルス増殖曲線は, 6~7時間の潜伏期後, 指数的に上昇し, 1~2日後に, 約107 PFU/mlの最高値に達することを示した. アカバネウイルス感染により, 脊椎動物系のVeroやHm-Lu-1細胞では著しい細胞変性効果(CPE)がみられたが, 蚊細胞では, CPEは発現されず, 長期間にわたってウイルスが産生された. 培養液相のウイルス価は細胞相のそれより常に約2 log高値を示した. アカバネウイルスの増殖は, 抗アカバネ血清存在下で抑制されること, また産生されるウイルスはアカバネウイルスであることが中和試験により確認された. 感染細胞は容易に継代され, 持続感染系が確立された. 持続感染培養における感染細胞は, 極めて低率であったが, 常にウイルスを放出していた. 持続感染培養より得たウイルスは, 抗原性や病原性については, 原株ウイルスの性状を保持しているようであったが, Vero細胞でのプラック形成において, 小型プラックの比率が増しているのがみられた. 今回の実験成績により, ある種の蚊が, アカバネウイルスのべクターである可能性が示唆された.
  • 吉原 忍, 平 詔亨, 鈴木 恭
    1981 年 43 巻 5 号 p. 699-705,707
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    肝蛭の成虫の抽出液に対する抗血清を用い, 成虫, 35日と14日齢の幼虫およびメタセルカリアの抗原の性状をゲル内沈降反応で比較した.成虫と幼虫はともに2本の沈降線"a"と"b"を形成した. メタセルカリアにより認められた沈降線は1本で, これは成虫により形成された沈降線"a"にゆ合した. 肝蛭のメタセルカリアを経口投与したウサギの血清を用い, 同様な試験をおこなった. 成虫と幼虫はともにゆ合する2本の沈降線を形成した. このうちの1本は前述の沈降線"b"にゆ合したが, 他の1本は沈降線"a"とも"b"ともことなる沈降線であった. メタセルカリアにより認められた沈降線は2本で, このうちの1本はメタセルカリアのみに観察された沈降線であった. また, 他の1本は, 吸収試験の結果から, 成虫由来の抗原と部分的に共通すると考えられるメタセルカリアの抗原により形成された沈降線"e"であった. つぎに, 感染血清と抽出液との間に認められた4本の沈降線を形成する抗原"b", "c", "d"および"e"の虫体内における分布を間接螢光抗体法で検討した. その結果, 抗原"b"はおもに幼若虫の腸管に, また, 抗原"d"はメタセルカリアのシスト内の幼虫に分布していることが明らかとなった. また, この試験から, 抗原"c"は幼虫のクチクラやクチクラ下の細胞層に, また抗原"e"はメタセルカリアの外被壁におもに分布していることが示唆された.
  • 西田 利穂
    1981 年 43 巻 5 号 p. 709-713
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシ胎仔の発生過程におけるLDHアイソザイムの変動を, 5%薄層ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用い検索した. 胎仔の心臓, 肝臓, 腎臓, 肺, 骨格筋, 脾臓, 甲状腺, 胸腺そして胎盤においてAとBのサブユニットは合成されており, 検索した臓器には発生前期, 中期, 後期において5本のアイソザイムが検出された. 胎仔の発育に伴いアイソザイムパターンが変動した臓器は, 心臓, 腎臓, 肝臓, 骨格筋, 甲状腺, 胎盤であり, 著明な変動を示さなかった臓器は肺, 脾臓, 胸腺であった. 謝辞 : 稿を終わるにあたり, 御指導御校閲を賜わりました麻布大学家畜衛生学教室, 田中享一教授に深謝いたします. また, 材料採取にあたり御協力を得ました厚木食肉センター職員各位に深謝いたします. さらに麻布大学家畜衛生学教室員各位に感謝します.
  • 津村 巌, 佐々木 博一, 南 三郎, 原田 護, 永原 美治, 佐藤 裕和, 大久保 吉啓
    1981 年 43 巻 5 号 p. 715-719,723
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛の分娩時における胎血管の自然断裂機構および止血機転について検索する目的で自然分娩した乳牛(ホル種)64頭の肪血管について肉眼的, 組織学的に観察した. 臍血管は新生子牛体外の臍輪部付近においてほぼ一定の部位で断裂し, その断端は動脈では円錘状, 静脈では紡錘状を示すことを認めた. 臍血管の組織所見は内, 中膜における高度な断裂崩壊像が断端の一部に限局して認められ, この変化は中膜における筋線維と弾性線維の構成の相違に基ずくことを確認した. すなわち輸走筋と縦走筋の両筋線維が交錯する混在筋層の形成は中間部および胎盤側では明瞭な連続性を示すのに対し, 断端側では不明瞭であり, また輪走筋層における弾性線維の密な分布所見も断端側では認められなかった. 以上の所見から臍血管の断裂機構と止血機転において, その組織構成は重要な因子と考えられた.
  • 渡嘉敷 綏宝, 川島 由次, 工藤 規雄, 橋本 善春, 杉村 誠
    1981 年 43 巻 5 号 p. 725-732
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    沖繩肉用ヤギの子宮内膜に出現するGlobule leucocyte (GL)について光顕並びに電顕による観察を行った. 1. GLは主に絨毛膜無毛部に面する子宮小丘間の上皮内に出現する. 子宮腺頸部の上皮にも少数認められるが, 胎盤節(placentome)の上皮には全くみられなかった. 2. GLは妊娠期のみに出現する. 妊娠9週に初めて出現し, 11および15週では増数し, 18週に至ると減少する傾向がみられた. 発情休止期と妊娠7週以前のGLのみられない時期にはリンパ球が出現した. 3. このGL細胞は径12ないし16μmで, 円形ないし卵円形を呈する. 子宮上皮細胞間に存在するが, 上皮細胞との間には接着装置をもたず, しばしば偽足様の細胞質突起を備える. 核は円形で, 細胞質内に偏在している. 穎粒は大型(1μm以上)円形で, 一層の限界膜を有し, 内部は電子密度の高い均質な内容のものが多い. また, 膜の周辺に間隙を有するもの, 電子密度の高い物質が格子または網状構造を作っているものもみられた. 細胞内には少数のミトコンドリア, かなり豊富な粗面小胞体およびゴルジ体が認められた. 時にゴルジ小胞内に電子密度の高い物質が含まれているものもみられた. 謝辞 : 稿を終わるにあたり終始ご協力下さった琉球大学農学部 仲田正氏並びに北海道大学獣医学部 北川浩氏に深甚な謝意を表する.
  • 岩崎 利郎
    1981 年 43 巻 5 号 p. 733-737,740
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    正常と思われる成犬のアポクリン汗腺分泌細胞について電子顕微鏡学的ならびに細胞化学的検索を行ない, その分泌機構および顆粒と分泌小胞につき以下のような知見を得た. 分泌機構についてはexocytosis, micro-apocrine, およびmacro-apocrineの三つの様式が認められた. (1) Exocytosis-非分泌期細胞における主な分泌形式であるが, 分泌期細胞にはほとんどみられなかった. (2) Micro-apocrine-分泌期細胞における主な分泌形式であるが, 非分泌期細胞にはほとんどみられなかった. (3) Macro-apocrine-分泌期細胞にわずかに観察された. また電子密度の高い顆粒(いわゆるdense granule)は分泌期細胞, 非分泌期細胞ともに観察され, acid-phosphatase反応が陽性であった. 本顆粒はリゾゾームと考えられた. しかし, ヒトでみられるような前分泌顆粒は観察されなかった. 分泌小胞はGolgi装置から発生し, その後管腔側細胞膜に接近し, 上記方法にいずれかにより分泌されるものと考えられる. 分泌小胞とdense granuleの直接的な関連性はないものと考えられる. 謝辞 : 本研究にあたり終始御指導戴いた神戸大学医学部皮膚科故神畠茂教授並びに御校閲を賜わった東京大学農学部家畜内科学教室友田勇教授に深謝致します.
  • 湯浅 亮, 田村 孝, 前田 博之, 鮫島 邦彦
    1981 年 43 巻 5 号 p. 741-748
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    と殺後60~90分の豚枝肉のpH値を指標としてPSE筋およびnonPSE筋を採取し, ライソゾーム酵素および筋原線維の性質をしらべ以下のような結果を得た. ライソゾーム酵素としてとりあげた酸性ホスファターゼ, β-グルクロニダーゼおよびN-アセチルグルコサミニダーゼの比活性値にはPSE筋とnonPSE筋との間に有意な差は認められなかった. 筋原線維の性質としてATPase (EDTA-, Ca-, Mg-, Mg・EGTA-), ゲル強度およびSDSゲル電気泳動像をしらべた. その結果, PSE筋におけるATPase活性はいずれもnonPSE筋の酵素活性より低下していることが認められた. ゲル強度もPSE筋においてnonPSE筋より劣っており, ピロリン酸添加による増強も少なかった. また, PSE筋におけるSDSゲル電気泳動像にはnonPSE筋にはみられないバンドがα-アクチニンのバンドの下とトロポミオシンのバンドの下に認められた. PSE筋の場合に認められた筋原線維における各種ATPase活性値や加熱ゲル強度の低下は, そのミオシンに変化が生じていることを示している. そして, PSE現象は筋肉におけるpHの低下と関係し, ライソゾーム酵素に変動をもたらすような生前の病的要因とは無関係なメカニズムにより発現するものと推測される. 謝辞 : 本研究の遂行にあたり, 多大なる御協力をいただいた江別食肉検査事務所の各位に深謝する.
  • 小木曽 洋一, 福田 俊, 松岡 理
    1981 年 43 巻 5 号 p. 749-753
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    臨床的には著明な異常をみとめなかった2例のビーグルの気管支リンパ節に限局性の肥胖細胞症が組織学的にみとめられた. 細胞はトルイジン・ブルーでメタクロマジー陽性およびPAS弱陽性の細胞質内顆粒を有し, 成熟型の肥胖細胞で, リンパ節内で結節状の増殖を呈していた. また好酸球の著明な浸潤と膠原線維の硝子化, 細動脈壁の水腫様粗鬆化等の病変もみとめられた. そのほかの臓器およびリンパ節には肥胖細胞の増加はみられなかった.
  • 志賀 瓏郎, 慶野 昌明, 藤尾 修
    1981 年 43 巻 5 号 p. 755-759
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    4頭の泌乳羊にCa含量の異なる低Mg飼料を切換え給与し, 低Mg血症の発症と糞の形態に及ぼすCa摂取量の影響を調べた. 低Mg飼料の給与により低Mg血症が認められ, その程度はCa摂取量の多い場合に顕著であった. 他方, 糞の形態は, 対照期には暗褐色の紡錘形を示したが, 低Mg, 低Ca期には黄土色の棒状を, 低Mg, 正常Ca期には黒色の固い, 不規則な粒状を呈し, 正常Mg, 正常Ca期にはほぼ対照期の糞形態に戻った. MgとCaは, 腸管運動, 糞形成に重要な役割を演じているものと推察された.
  • 勝部 泰次, 萩原 敏且, 増田 敬三
    1981 年 43 巻 5 号 p. 761-762
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    豚のトキソプラズマ不顕性感染のうち, 病変を有しない型の現況を知るため, 健康豚の横隔膜および血清を採取し, 原虫分離試験および色素試験を行った. 1978年に検査した98頭中4頭に感染がみられたのみで, 1979年に検査した92頭はすべて陰性であった. 1978年に原虫分離を試みた市販豚肉では, 51件中1件が陽性を示したのみであった. 病変を有しない感染型の発生率も, 病変を有するものと同様に, 減少していることが示された.
  • 萩原 敏且, 勝部 泰次
    1981 年 43 巻 5 号 p. 763-765
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    肉抽出液を用いた色素試験の診断的価値を検討した. 予めトキソプラズマ感染の有無が検討された豚190頭からの血清および横隔膜筋抽出液, ならびに市販豚肉由来抽出液51検体を供試した. 肉抽出液中の抗体の有無と, 原虫分離成績あるいは血清を用いた色素試験の成績と良く一致した. 但し抽出液中の抗体価は, 血清のそれより若干低かった. 本法は, 豚肉におけるトキソプラズマ感染の有無を知るために使用可能と考えられた.
  • 中井 裕, 勝野 正則, 扇元 敬司, 角田 清, 伊藤 進午
    1981 年 43 巻 5 号 p. 767-769
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニワトリコクシジウム Eimeria acervulina, E. Hagani, E. maxima, E. tenellaの新鮮oocystより, 人工脱穀によってsporoziteを得, その細胞化学的な性質について比較検討を行なった. その結果, sporozoiteの基本構造である核, 細胞質, refractile bodyには種間差が認められず, 虫体の大きさのみに差が見られた. PAS染色陽性の顆粒が,供試Eimeriaすべてに観察されたが, E. tenellaのsporozoiteは, 他種と比して, この顆粒を多量に含有していた.
  • 小沢 恭輔, 横田 弘, 木村 誠, 光岡 知足(
    1981 年 43 巻 5 号 p. 771-775
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    離乳豚に納豆菌(Bacillus subtilis) BN株を投与し, 腸管内でのBN株の分布と腸内菌叢(主として乳酸菌叢)におよぼす影響を検討した. BN株投与豚では, 腸管各部位よりBN株が検出されるとともに, 対照群と比較して小腸上部でのStreptococcus, LactobacillusおよびBifidobacteriumの増加が認められた. そして特にこれらの菌叢に関して異常に低値を示す個体はみられず, 個体間のばらつきが減少していた.
  • 山手 丈至, 後藤 直彰, 佐藤 昭夫
    1981 年 43 巻 5 号 p. 777-779,781
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    DDマウス(雌, 約7週齢)の胸部皮下に毛嚢上皮腫を認めた. この腫瘍は, 腫瘍細胞が同心円状に配列し中心部が角化を示す部分と, これに介在してほぼ同型の細胞がシート状に配列する部分からなっていた. 電子顕微鏡による観察で, 後者は毛乳頭に由来する細胞と考えられた. この細胞中にしばしばマウス乳癌ウイルス様B型粒子の集簇があり, 細胞膜からの出芽像も観察された. これらウイルス粒子と腫瘍細胞との関連は明らかではなかったが, 今後の症例追加によって追究していきたい.
  • 松村 富夫, 後藤 仁, 清水 亀平次, 安藤 泰正, 今川 浩, 杉浦 健夫, 秋山 綽, 田谷 与一
    1981 年 43 巻 5 号 p. 783-786
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    北海道の在来馬にゲタウイルス感染があったか杏かを, 1973年から1977年にかけて採取した馬血清について検討した. 十勝地方の農用馬血清63例中8例(12.7%)が, 日高地方の軽種馬血清70例中8例(11,4%)が, また本ウイルス感染の確認されている東京の乗馬血清51例中17例(33,3%)が, それぞれゲタウイルスに対する中和抗体を保有し, 本ウイルスが北海道の在来馬の間にすでに伝播していたことを明らかにした.
  • 田中 饒, 勝部 泰次
    1981 年 43 巻 5 号 p. 787-789
    発行日: 1981/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    輸入カニクイザル139頬のうち, 17頭(12.2%)が大便にサルモネラを保菌し, 8種類の血清型が分離された. 一方, 赤痢菌(2血清型)は5.8%(7/119)の保菌率を示した. サルモネラは, 下痢をした1例(107/100g)を除き, <102/100g~103/100gの菌が検出された. これに対し, 赤痢菌は102/g~105gの菌が正常便から検出された. S. typhimuriumに対する血中抗体の調査では, 95.6%(88/92)のものが陽性を示し, O抗体は10~320倍, H抗体は10~80倍, 線毛抗体は10~640倍であった.
feedback
Top