日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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45 巻, 1 号
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  • 山崎 寛治, 板倉 智敏
    1983 年 45 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    2年齢の雌産卵鶏58羽の胸椎を病理学的に検索した結果, 程度差はあるものの, 全例の第5~7胸椎椎体に変性性骨関節炎を認めた. その肉眼変化としては, 関節表面の粗〓化, 関節軟骨の幅の不均一化, 肥厚, 背部から腹部までの長さの短小化, 関節軟骨縁における軟骨増殖が所見された. 組織学的には, 関節軟骨では, 基質の変性とこれに継発する膠原線維の露出を発端とし, 次いで, 関節軟骨の糜欄, 中央部肥厚, 軟骨下骨端骨の壊死と化骨性骨炎, 関節縁での軟骨増殖, 亀裂巣を示した. 以上の変化は, 捕乳動物の変性性骨関節炎の変化と本質的に一致していた. 本病発生の原因は不明であったが, 加齢による関節軟骨の化学的組成の異常に加え, 関節に対する体重負荷が重視されるべきと考えた.
  • 寺崎 邦生
    1983 年 45 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    フィリピン肺吸虫の精巣および卵巣についてair-drying methodにより核型分析を行なった. 染色体数はn=11, 2n=22で, 1対の大型metacentrics, 4対の中型subtelo-centrics, 3対の小型metacentricsまたはsubmetacentrics, および3対の小型submetacentricsまたはsubtelocentricsから構成されていた. このような核型は同虫と近縁な狭義のウェステルマン肺吸虫やベルツ肺吸虫の核型と非常によく似ており, さらに, 大平肺吸虫, 小型太平肺吸虫, 宮崎肺吸虫, 佐渡肺吸虫, およびメキシコ肺吸虫(syn. ペルー肺吸虫)とも, 類似であった. しかし, LoVerde(1979)の分析したケリコット肺吸虫とは核型の上でかなり明確な差が認められた.
  • 徳久 修一, 稲葉 右二, 三浦 康男, 佐藤 邦彦, 松本 稔
    1983 年 45 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    イバラキウイルス感染細胞の培養液を限外濾過法により濃縮して調製した抗原は,牛, 羊, 山羊, 馬および兎の赤血球を凝集した. 赤血球の凝集(HA)性は希釈液の食塩濃度のみならずpHにも依存し, HA価は塩濃度およびpHの上昇にともなって高くなり, 反応には最高価を示した食塩濃度0.6M, pH 7.5の希釈液を用いた. HAは37℃, 室温および4℃いずれの反応温度においても陽性で, HA価に差は認められなかった. 本抗原のセファローズ4Bゲル濾過ではHA価とウイルス感染価のピークの分画が一致していた. HA反応はイバラキウイルス免疫血清により特異的に抑制された. HAおよびHA抑制(HI)にかかわりあうその他2, 3の要因が調べられ, 標準的なHAおよびHI試験の方法が確立された. 本法による感染牛血清のHI抗体価と中和抗体価との間には有意の相関々係が認められた.
  • 尾村 嘉昭, 福本 幸夫, 大滝 一夫
    1983 年 45 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    35頭のニホンジカについて血液培養により染色体検査を試みたところ, 個体によって65, 66, 67, 68と染色体数に変異があった. この染色体の変異は, 常染色体中における大型のメタセントリック(M)染色体およびサブメタセントリック(SM)染色体の存否に起因していた. この二つの異形染色体の有無により, 6つの核型を観察することができた. このような染色体の多型現象は, 常染色体中の4個のアクロセントリック(A)染色体が動原本部で癒合して大型のM染色体をつくるか, SM染色体をつくるかにより, 生じたものと思われる. なお, いずれの場合も染色体の基本数は70で一定しており, いわゆるRobertson型転座によるものと思われる. すべての検査個体に共通して, 常染色体中に中型のM染色体1対が存在した. X染色体はA染色体中最大で, Y染色体は小型のSM染色体であり, 識別は容易であった.
  • 水野 喜夫, 畠山 英夫
    1983 年 45 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    間接免疫ペルオキシダーゼ吸光(IIPA)法を用い, 鶏白血病ウイルス(ALV)に対する鶏血清中の抗体の検索を行った. 総計155例のALV実験感染および非感染血清についてIIPAと中和試験による抗体価の比較を行った結果, 両者の成績の間に高い相関関係(R=0.648)が認められた. さらに, Rous associated virus (RAV) 感染例の血清抗体は中和抗体と同様, 型特異性を示し, RAV-1感染例はRAV-2感染例と明確に区別できた. また, 8羽の鶏にRVA-1を接種し, 抗体の消長を追ったところ, IIPA抗体は中和抗体とほぼ同様の消長を示した.
  • 中村 政幸, 深沢 三男, 吉村 治郎, 小枝 鉄雄
    1983 年 45 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    タイから輸入された九官鳥から分離した大腸菌由来Rプラスミドの遺伝性状を調べた. 供試した62のRプラスミドのうち, 温度感受性伝達を示すものは8, 稔性抑制陰性のものは55, ファージλ, T2, T4, T7のいずれかに制限を示すものは約半数であった. 不和合群を調べたところ, 温度感受性伝達を示した8RプラスミドはH1に, 14RプラスミドはWに, 11RプラスミドはIαに, また少数のRプラスミドはMあるいはFIIに型別された. これらの性状は, わが国の家畜から分離されたサルモネラおよび大腸菌由来Rプラスミドの遺伝性状とは異なっていた. このようなRプラスミド保有九官鳥は家庭内で飼育されることから, 密接に接触するヒトに対してRプラスミドの伝播源のひとつになる可能性が考えられた.
  • 筒井 敏彦
    1983 年 45 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬の妊娠維持に黄体の存在が必須かどうかを明らかにするため, 妊娠犬18頭について妊娠後半の種々の時点において卵巣を摘出し, 流産の有無およびprogesterone投与の影響について観察した. 妊娠40-55日の間に卵巣を摘出した7頭は術後11-63時間に全例流産し, 妊期が進むにつれ術後流産までの時間は短縮する傾向がみられた. 妊娠39-50日に卵巣を摘出し, 妊娠55日, または61日まで, 日量20-50mgのprogesteroneを投与した6頭では, いずれも妊娠が維持され分娩した. また, 卵巣摘出後, progesteroneを長期にわたって投与した別の5頭中4頭は, 妊娠64-66日の間に分娩したが, 2頭は死産に終った. これらの成績から, 犬では妊娠55日頃までprogesterone分泌を通じて卵巣が妊娠維持に必須の役割を演じていると考えられた.
  • 山本 龍生, 広瀬 昶, 沢崎 坦
    1983 年 45 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Jcl: SDラットの出生後加齢にともなう心筋の電気現象について検討した. 心電図は, 加齢にともなってS-T分節が消失しQ-T間隔が短縮するが, この変化は, 心室筋活動電位波形の変化と密接に関連していた. 新生仔では明瞭な活動電位波形のplateau相が認められ, 持続時間もQ-T間隔に匹敵する長さを示すが, それらは加齢とともに徐々に短縮し, 成体ではplateau相は認められず持続時間が短縮してspike状波形を呈した. この変化は刺激頻度(心拍数)の増加に依存しなかった. 新生仔と成体の間には, Ca桔抗剤のAP波形に対する影響に差があり, 新生仔ではplateau相に大きく影響するのに対し, 成体ではほとんど影響しなかった. また, Tyrode液温が低下すると成体の波形持続時間が延長し, plateau相が認められた. さらに, 高〔K+0下で得られた活動電位により, 新生仔, 成体を間わずCa channelの存在が認められた. これらの成績から, 成体でplateau相がみとめられないのは, 加齢にともない, 再分極相の出現が早まりslow channel活性による電気現象の影響が低下するためと考えられた.
  • 石橋 和樹, 前出 吉光, 大杉 剛生, 小沼 操, 見上 彪
    1983 年 45 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    パルボウイルス(CPV)感染犬に対する抗血清投与の効果を検討するために, CPV実験感染犬および同自然感染犬(臨床例)に対して抗パルボウイルス犬血清を静脈内に注射して臨床経過を観察した. 実験感染群では, 抗血清を投与した全例が回復し, その臨床症状も軽度であったのに対し, 非投与群では出血性下痢を伴う重度の症状を呈し, 半数が死亡した. 臨床例では投与された12例中10例が回復した. これらの成績から, 抗血清投与は犬パルボウイルス感染症に対して効果的治療法であると考えられた.
  • 谷口 和之, 望月 公子
    1983 年 45 巻 1 号 p. 67-73,76
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    分類学的に近縁なラット, マウスおよびウサギの鋤鼻器官の形態学的詳細を光顕及び電顕により検索し, その結果をすでに報告したハムスターのものと比較して考察を加えた. 本器官はこれらの動物種ではいずれも吻側の小孔により鼻腔と交通し, 周囲をラット, マウスでは硬骨, ウサギでは軟骨によって囲まれていた. 感覚上皮の感覚細胞, 支持細胞の自由縁は共に微絨毛に覆われ, 線毛などの表面構造物は観察されず, 感覚細胞の微絨毛がにおい分子の受容部位であると推定された. 呼吸上皮には感覚受容細胞は観察されず, 鼻腔の呼吸上皮と同様の形態を示すので, 機能的にも鼻腔のものと同様であろう. 静脈洞はこれらの種でよく発達し, 静脈洞壁の平滑筋層, 呼吸上皮下の弾性線維および呼吸上皮細胞間の強固な結合などから, いわゆるpumping mechanismの存在が示唆された. ヤコブソン腺は主に粘液腺より構成され, 鼻腔内に分布する鼻腺と同様の機能をもつものと推測された.
  • 浅野 隆司, 加世田 正和, 保刈 成男
    1983 年 45 巻 1 号 p. 77-83
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    家畜の銅中毒にみられる溶血性貧血の発生機転解明の一助として, in vitro でウシ赤血球を用いて種々の検討を行った. 硫酸銅処理赤血球では, 赤血球内GSH量の減少, メトヘモグロビン形成およびechinocyte形成が認められた. これら硫酸銅による影響は,ウシ血清アルブミン(BSA)の添加によって著明に抑制された. いっぽう, 銅オルトフェナントロリン(CuP)処理赤血球では, きわめて著明なGSH量の減少, メトヘモグロビン形成およびechinocyte形成, さらに赤血球膜タンパクのcross-linkingが認められた. これらCuPによる変化はBSAを添加しても抑制されなかった. CuP処理赤血球に認められたechinocyte形成および膜タンパクのcross-linkingはN-ethylmaleimide前処理によってほぼ完全に抑制された.
  • 松下 博治
    1983 年 45 巻 1 号 p. 85-89
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウサギの妊娠時に血清中に出現する妊娠関連蛋白について, 澱粉ゲル電気泳動法を用いて検索し, いわゆる"pregnancy zone"の存在を確認した. いっぽう, ウサギ妊娠血清でラットを免疫して得た抗血清を凍結乾燥雄血清で吸収し, 吸収抗血清と妊娠血清を用いて免疫電気泳動法等により妊娠関連蛋白の検出を行い, 妊娠血清中に二種類の蛋白を認めた. ひとつは, 妊娠時に特異的と考えられるpregnancy-associated leporine protein-1 (PALP-1)であり, 他は妊娠時に増量すると考えられるPALP-2であった. Single radial immunodiffusion法でPALP-2の血清中の生理的動態を測定すると, 妊娠中期から漸次増加を示し, 妊娠末期に最高値を示したが, 分娩後血中濃度は漸次減少した.
  • 牧田 登之, 初岡 政典, 小川 和重, 木脇 祐順, 佐々木 耕治
    1983 年 45 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ビーグル犬の正常および動脈カテーテルで内皮を剥離後修復した腹大動脈を走査電子顕微鏡で観察し, 試料断面で血管の内皮細胞, 平滑筋線維, 赤血球, 血小板に含まれるFe, P, Ca, K, Mg, Cl, S 各元素を波長分散型微量X線検出器(WDX)で分析した. 生鮮試料ではP, S, Cl, Kが主要元素であったのに対し, 凍結乾燥試料ではFeが予想外に多く, Pは中程度で, CaとKは低く検出され, Mg, Cl, Sは微量であった. 内皮剥離後4週の再生内皮細胞ではFeが正常値よりやや高く, P, Ca, Kがやや低い値を示したが, Mg, Cl, S値は非常に低く, 正常・再生内皮細胞間に顕著な差はみられなかった. 血小板では細胞体より細胞質突起でFe, P, Caが高値であった. 走査電子顕微鏡では再生内皮の明細胞と暗細胞の判別が困難であった.
  • 中西 央, 小山 弘之, 梶川 治, 斉藤 博
    1983 年 45 巻 1 号 p. 97-102
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛胸腺細胞を家兎に免疫して抗胸腺細胞血清(ATS)を作出し, これを牛の赤血球, 肝臓粉末, 骨髄細胞で順次吸収し間接蛍光抗体法によって牛Tリンパ球の同定を行った. 21頭の臨床的に正常な牛の末梢血(PBL), 脾臓, リンパ節各々におけるT, Bリンパ球の割合をATSによる間接蛍光抗体法とFITC標識家兎抗牛血清による直接蛍光抗体法によって測定した. その結果, T, Bリンパ球の割合はPBLで各々66.4±6.4%, 25.4±3.9%, 脾臓では43.4±4.8%, 48.7±4.7%, リンパ節では59.4±6.8%, 28.2±5.6%であった.
  • 下田 耕治, 前島 一淑, 浦野 徹, 寺門 誠致
    1983 年 45 巻 1 号 p. 103-108
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1980年わが国の主要な9研究施設および12生産施設に由来する実験動物の新鮮糞便から計1,840株の大腸菌を分離し, 薬剤耐性と伝達性Rプラスミドの検索を行なった. 供試菌1,840株中6施設に由来する78株(4.2%)のみが薬剤耐性を示した. マウス, ラットおよびウサギからの耐性菌検出頻度はそれぞれ, 1.1%, 10.3%および1.9%であったが, モルモットおよび野生げっ歯類から耐性菌は検出されなかった. テトラサイクリン投与を常時行なっていた施設では高い耐性菌出現率を示した. しかし, テトラサイクリン投与中止後1~3年を経た施設では耐性菌は検出されなかった. 接合伝達試験の結果, マウスおよびウサギ由来耐性菌の全株とラット由来株の83.3%がRプラスミドを有していた. 以上の結果から,実験動物の多くは薬剤耐性大腸菌フリーの状態にあるが, この分野でも薬剤投与によって, 明らかに耐性菌とRプラスミドの増加がおこっていることがわかった.
  • 後藤 仁, 細川 暁, 一条 茂, 清水 亀平次, 諸星 康雄, 中野 健司
    1983 年 45 巻 1 号 p. 109-112
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ネコ汎白血球減少症ウイルスをSPFネコに実験的に接種し, ウイルス増殖と血中抗体の関係を検討した. ウイルス接種後3~6日では血中抗体は比較的低値を示したのに対し, ウイルス分離では胸腺, 腸管, 牌, 腸間膜リンパ節および骨髄で高力価に検出された,接種後7~l7日では血中抗体は著しく上昇し, ウイルス分離は陰性, あるいは腸管, 腸間膜リンパ節および骨髄でわずかに検出されたに過ぎなかった.
  • 早崎 峯夫
    1983 年 45 巻 1 号 p. 113-115
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬糸状虫雌虫の凍結切片を用いた間接蛍光抗体法において, 寄生犬血清との間の陽性反応では, 側線, 筋層, 消化管, 子宮, 子宮内ミクロフィラリア(Mf), 卵巣およびクチクラに強い特異蛍光が認められた. いっぽう, 雌虫から回収したintactな子宮内Mfと寄生犬血清との間の反応においては特異蛍光が認められたが, 寄生犬から回収した末梢血Mfは寄生犬血清に対して陰性であった.
  • 柳沢 利彦, 林 俊春, 藤原 公策
    1983 年 45 巻 1 号 p. 117-121
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ネコ伝染性腹膜炎ネコ自然例・実験感染例および実験感染乳のみマウスのホルマリン固定-パラフィン切片について, トリプシン処理-免疫蛍光法により病変部におけるウイルス抗原の検出を試みた. ネコ例では間接法で, 実験感染乳のみマウス脳では間接法,直接法で特異蛍光をみとめ, 本法の有用性が明らかにされた.
  • 橋本 晃, 平井 克哉, 福士 秀人, 藤本 胖
    1983 年 45 巻 1 号 p. 123-126
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    新生仔CHV感染の病歴を持つ3歳のAfghan犬の2回目の出産後に認められた膣病変を生検し, 病理学的検索とウイルス分離を行なった. 肉眼的に, 数個の丘疹ないし痘疹様病巣が, 腔前庭の粘膜および外陰唇の粘膜皮膚移行部に散在していた. 組織学的には, 上皮有棘細胞の空胞変性, 上皮直下の水胞形成と多数の好中球浸潤及び上皮様細胞の巣状増殖と顕著な風船様変性が認められた. 病変からのウイルス分離は成功しなかったが, CHV罹患犬の膣病変の意義について考察した.
  • 中井 裕, 扇元 敬司
    1983 年 45 巻 1 号 p. 127-129
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Eimeria tenella の新鮮oocystから人工脱殻によって無菌sporozoiteを得, 無菌的に0.1MpH7.0リン酸緩衝液に浮遊して, 0, 29, 37, 41℃における生存数およびPAS染色陽性顆粒含有量の消長を観察した. 高い温度ほど, 虫体の生存数およびアミロペクチン含有量の低下が早い傾向が認められたことから, アミロペクチンはsporozoiteが生存するためのエネルギー源であることが推察された.
  • 門井 克幸
    1983 年 45 巻 1 号 p. 131-133
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    培養細胞で増殖した活性口蹄疫ウイルス(O63 Brescia, A7 Gorizia)をワクチン用アジュバントの水酸化アルミニウム・ゲルとともにモルモット腹腔内に頻回接種することにより, 型別診断に充分使用出来る性状と力価の口蹄疫ウイルス抗血清が得られた.
  • 東 量三, 浜岡 隆丈, 塩井 一二三, 丹治 敏夫, 山口 弘之, 志賀 一穂, 近藤 房生
    1983 年 45 巻 1 号 p. 135-137
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1979年福島・大分両県下の各1農家で新生豚の壊疽性腸炎が発生した. 福島例では1~3日齢で110/259頭(42.5%), 大分例では1~3日齢で48/191頭(25.1%), 4~14日齢で21/191頭(10.9%)の死亡率を示した. 両例とも臨床的には出血性下痢が, 剖検では空腸の出血性変状が主であった. 各例3株, 計6株についてC. perfrin-gensの同定がなされ, 毒素・抗毒素中和試験の結果, C型菌と同定され, α-毒素原性は2.0~3.0の値を示した.
  • 遠山 俊光, 北野 訓敏
    1983 年 45 巻 1 号 p. 139-141
    発行日: 1983/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    種々の胆汁酸塩についてEimeria tenella の人工脱シスト試験を行なった. 41℃の感作温度ではトリプシン-ニワトリ胆汁からなる人工消化液が最もすぐれた成績を示した. 胆汁酸塩のなかではグリコデオキシコール酸ナトリウムが胆汁に匹適し, タウロコーナル酸ナトリウムがこれにつぐ成績を示した. いっぽう, スポロシストやスポロゾイトの変性をもたらす胆汁酸塩も存在した. 37℃感作でもグリコデオキシコール酸ナトリウムの効果に影響は認められなかった.
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