日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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47 巻, 1 号
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  • 高橋 敏雄, 沢田 拓士, 瀬戸 健次, 村松 昌武, 丸山 務, 神崎 政子
    1985 年 47 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    屠場豚の慢性型豚丹毒例(主に, 関節炎およびリンパ節炎)から分離された1a型(17株), 3型(1株), 5型(2株), 6型(7株), 8型(1株), 11型(5株), 21型(1株), およびN型(3株)の豚丹毒菌の豚およびマウスに対する病原性を調べた. 5型, 6型, 8型, 11型, およびN型には豚に局所発疹をひきおこす株が含まれていた. 1a型株は豚に対し種々の病原性を示し, 全身発疹, または局所発疹をひきおこし, あるいは全く臨床症状をひきおこさなかった. また, 1a型以外のほとんどの株はマウスに強毒であったのに対し, 1a型株のほとんどはマウスに対して弱毒あるいは無毒であり, マウスよりも豚に対して強い病原性を示す豚丹毒菌の存在が初めて確認された. 一方, 急性敗血症型豚丹毒例由来の1a型の9株すべてはマウスに対し強毒で, ほとんどの株が豚を急性経過でへい死させた.
  • 藤原 公策, 中山 正明, 中山 裕之, 鳥海 亘, 荻原 定彦, Thunert Axel
    1985 年 47 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    日本および欧米で見出された各種動物由来のTyzzer病菌8株について抗原性を比較した. 感染マウス肝抽出抗原とマウスまたはラット抗血清とを用いた補体結合反応および寒天ゲル内沈降反応により, 日本およびデンマークのマウス由来株は強い交差反応を示した. これらのマウス由来株に対する抗血清と, 米国・西独のイエウサギ由来株抗原および西独のスナネズミ由来株抗原との間には一方向の交差反応がみられた. これらのイエウサギ由来株とスナネズミ由来株は強い交差反応を示した. いっぽう, 日本で見出されたハムスターおよびネコ由来株の抗原性は, 上記マウス由来株, イエウサギ・スナネズミ由来株のそれとは大きく異なっていた. このような抗原性の関係は, 各菌株と抗血清の間の免疫蛍光法あるいはマウス防御試験の成績ともよく一致した.
  • 中尾 敏彦, 青砥 幸代, 福島 慎治, 森好 政晴, 河田 啓一郎
    1985 年 47 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    無発情期および発情休止期の犬に対してホルモン処置による発情誘起を行い, 黄体機能と受胎との関係を調べた. 無発情期犬11頭に対しては, まず妊馬血清ゴナドトロピン(PMS)を44IU/kg連日9日間筋肉注射(筋注)し, 翌日ヒト絨毛膜ゴナドトロピン(hCG)(1頭当たり500IU)を筋注した. 発情休止期の4例については, まずプロスタグランジンF-Tham塩(1頭当たり1回30μg)を12時間間隔で4回筋注後, 無発情期例と同様にPMSおよびhCGを筋注した. 無発情期処置例では11頭中7頭が処置開始後15±3(平均値±標準偏差)日以内に雄を許容した. 発情休止期処置例では全例が処置開始後平均16±8日以内に雄を許容した. 雄の許容が認められた全例に自然交配または人工授精を行ったところ, 無発情期例1例と発情休止期例1例が受胎した. なお, 雄を許容しなかった4例中2例に人工授精を行ったところ, 1例が受胎した. 血清中プロゲステロン濃度の推移から, 発情が誘起されたほとんどの例において排卵および黄体形成があると推察されたが, 誘起発情で妊娠しなかった例では, 黄体期が自然発情のものに比べて著しく短いことがわかった. 以上から, 誘起発情時の低い受胎率は黄体機能の異常によるものと考えられた.
  • 西田 隆雄, 林 良博, 藤岡 俊健, 次山 盤, 望月 公子
    1985 年 47 巻 1 号 p. 25-37
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    日本在来鶏9品種, 赤色野鶏および白色レグホンを4群に区分し, 計116の骨格標本の頭蓋骨と肢骨について, 30部位の計測を行い, 多変量解析法によって品種間の比較を試みた. その結果, 以下の品種間の相互関係が形態計測学的に明らかにされた. (1)薩摩鶏と声良は, 主成分分析図上において, 大きさ(第1主成分)では軍鶏に近い位置にあるが, 形(第2主成分)では両者は明瞭に分離し, 薩摩鶏は小国にむしろ近く, 声良は軍鶏に近い位置にある. (2)東天紅と小国は形では重複するが, 大きさでは東天紅は蜀鶏(唐丸)に近い位置にある. (3)比内鶏は大きさ, 形とも軍鶏よりも白色レグホンにより近く, 小軍鶏は形態学的には軍鶏によく類似し, その小型化したものといえる. (4)岐阜地鶏は, 主成分分析図上の形のうえで, 赤色野鶏とは明瞭に区別される.
  • 池 和憲, 今井 壮一, 石井 俊雄
    1985 年 47 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    12頭の当才馬を用いて馬大腸内繊毛虫の宿主への定着時期について検討した. 繊毛虫は宿主の生後11日目以降より糞便内から検出され始め, 35日目前後には成馬なみの104/mlレベルに達した. 定着は, 成馬における構成比の高い繊毛虫ほど早期より始まったが, これらは検出され始めてから成馬なみのレベルに達するまでの期間が長い傾向が見られた. 繊毛虫の糞便内への出現に先立ち, 新生馬の盛んな糞食が観察されたことから, 新生馬への繊毛虫の感染経路は経口的であると考えられた. なお, 今回の調査において検出された19属46種の繊毛虫のうち, Spirodinium nanumは本邦での存在が未知のものであった.
  • 桐生 啓治, 兼子 樹広, 兼丸 卓美, 吉原 豊彦, 長谷川 充弘, 富岡 義雄
    1985 年 47 巻 1 号 p. 45-54
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    洞房ブロックを示したウマ3例(洞房ブロック例)および不整脈を示さなかったウマ3例(非不整脈例)について心臓病理学的に検索した. 洞房ブロック例には右心房外側前部の洞房結節領域に結節周囲性心筋乏血あるいは線維化の病変が認められた. 非不整脈例について死後冠状動脈造影法を施したところ, 洞房結節動脈は左右冠状動脈の分枝動脈より成り立ち, それぞれの分枝動脈は, 洞房ブロック例で認められた病変の発生部位と一致する領域において, 冠状動脈間吻合(inter-arterial coronary anastomoses)を形成していると推察された. さらに洞房ブロック例の心臓外心臓神経には交感神経及び副交感神経(迷走神経)の両系に多中心性の神経線維脱落を主とする器質的変化が見出された. ウマにおける洞房ブロックの発生には, 右心房外側前部における洞房結節領域の心筋乏血あるいは線維化より成る病変と, それら病変の局在性, 交感及び副交感神経の両系における心臓神経障害が関与しているものと考えられた.
  • 葛野 浩, 山出 太陽
    1985 年 47 巻 1 号 p. 55-61
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    無拘束産卵鶏の体内に埋込んだラジオトランスミツタで, 体温を連続的に測定するとともに放卵時刻を記録した. 放卵に伴って体温は約0.5℃上昇し, 放卵時体温上昇はLHによる人為的な排卵誘起時にも認められた. LHによる排卵惹起後, vasopressinあるいはprostaglandin(PG)により未熟放卵を惹起すると, 卵放出後にもかかわらず, 予定放卵時刻における体温上昇が認められた. この事実から, 放卵時の体温上昇は, 排卵前後におけるホルモンまたは生理活性物質の分泌増加によると推察された. PGF静脈内投与により未熟放卵が惹起されたが, 放卵時体温上昇にはPGEが重要な役割を果している可能性が示唆された. LH surgeとの時間的関係から, LH投与後6.2時間における体温上昇は, 排卵に伴なう変化とみなされた.
  • 渡辺 清隆, 木下 敏之, 川井 典子, 田代 納子, 森 敏彦, 久保 周一郎, 山本 晋二
    1985 年 47 巻 1 号 p. 63-72
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ラット肝臓から精製したアデニレートキナーゼ(AK)の分子量は, Weber and Osbornの連続緩衝液系を用いたSDS電気泳動法により26,000, Laemmliの不連続緩衝液系を用いたSDS電気泳動法により29,700, 沈降平衡法により24,900, セファデックスG-100ゲル濾過法により32,500であった. 等電点電気泳動法においては多様性を示し, 脱アミドに起因することが示唆された. また, 酵素の立体構造の維持に関与する-S-S-結合1個と, 酵素活性には関与しない-SH基2個が存在した. 抗ラット肝臓AK抗体は酵母AKと反応したが, 抗ラット筋肉AK抗体は酵母AKと反応しなかった. 一方, 抗酵母AK抗体はラット肝臓AKと反応したが, ラット筋肉AKとは反応しなかった. これらの結果から, ラット肝臓AKおよび酵母AKは, 構造的に類似すると考えられた.
  • 村上 隆之, 斎藤 勇夫, 望月 公子
    1985 年 47 巻 1 号 p. 73-79
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    9目14種の鳥類における房室(AV)伝導系を組織学的に観察した. 鳥類のAV伝導系の主部は哺乳類のものに似ていたが, 鳥類のAV束は哺乳類のものより長く, 左・右脚には心室腔を横切る分枝がなかった. 鳥類ではAV伝導系の副部の発達が良かった. 一般に, AV結節から始まる右AVプルキンエ(P)リングと, AV束から分岐する回旋枝は右AV口と大動脈根を囲んで8字形のループを形成していた. しかし, これらPリングと回旋枝の発達の程度は鳥種によって異なり, 6型に分類された.
  • 中山 裕之, 荻原 定彦, 大崎 健一, 鳥海 亘, 藤原 公策
    1985 年 47 巻 1 号 p. 81-88
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    サイクロフォスファマイド(CY)前処置により, マウスTyzzer病の感染増強が観察された. 肝病変はCY投与の有無にかかわらず菌接種後2日に現われたが, CY非投与マウスでは血清抗体が菌接種後4日から検出され, 7日から15日に最高値を示して生存した. CY投与マウスでは接種後7日でも抗体は陰性で, このときまでに多くは斃死した. CY処置マウスに菌接種後2日に抗体を投与すると, 対照より長く生残した.
  • 平沢 勉, 辻村 直美, 小西 信一郎
    1985 年 47 巻 1 号 p. 89-99
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    イヌ・パルボウイルス(CPV)のCRFK細胞における増殖について検討した. チミジン処理により同調した細胞および分裂増殖のさかんな非同調の細胞にウイルスを接種したところ, 核内封入体の形成率は同調細胞においていちじるしく高かった. 同調細胞における感染価およびHA価を経時的に測定したところ, 両者とも細胞層では12時間後から, 液層では24時間後から上昇し, 細胞層では48時間後に, 液層では72時間後に最大となった. 核内封入体は接種10時間後に出現し, 14~16時間後にはクロマチンの辺在化およびハローを有する典型的核内封入体がみられ, 封入体は以後濃染した. 螢光抗体法における特異螢光は接種4時間後に細胞質において認められ, 6時間後核内に出現し, 10時間後核内全域に広がった. 14~16時間後には, 最も強い核内螢光が観察された. 20時間後には再び細胞質に特異螢光が出現, 拡大するとともに, 核内螢光は減弱した. 酵素抗体法における発色部位の推移は螢光抗体法のそれとほぼ同様であったが, 初期の細胞質および核内における発色は微弱であった. 同調解除1~7時間後の細胞にウイルスを接種したところ, 解除3時間後に接種した細胞において核内封入体の増加は最も速かで, 3または5時間後接種の細胞においては, 接種8時間後に特異螢光は核内全域に広がった.
  • 伊藤 進午, 志村 亀夫
    1985 年 47 巻 1 号 p. 101-109
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    わが国におけるTheileria sergenti感染による牛タイレリア病に対する新薬の開発手法の確立を目的として, Babesia rodhainiとPlasmodium dergheiを用いる二重スクリーニング・システムの適用を試みた. B.rodhainiまたはP.bergheiの感染血球浮遊液を腹腔内接種したマウス群に10数種の薬剤を, それぞれ皮下注射または飼料添加で投与した. 抗バベシア剤や抗タイレリア剤の多くは, どちらかの原虫感染には完全に有効であり, 他の一方にはやや有効であった. 抗コクシジウム剤を含むその他の薬剤の中, サリノマイシンとテトロカルシンA以外は両感染に全く無効か, または両感染の一方に有効であっても, 他の一方には無効であった. サリノマイシンは両感染群マウスの生存期間を延長したに過ぎなかったが, テトロカルシンAは一定投薬量で両群マウスが全例生残った. さらに投薬期間の短縮も可能であった. 以上の成績から, B.rodhainiとP.bergheiを用いた二重スクリーニング・システムの有用性が示唆された.
  • 横溝 祐一, 柚木 弘之, MERKAL Richard S.
    1985 年 47 巻 1 号 p. 111-119
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシ血清中のMycobacterium paratuberculosisに対する特異抗体を検出するための酵素結合免疫吸着剤検定法(ELISA)を開発した. M.paratuberculosisの原形質抗原を用いたELISAにおいて, 偽陽性反応の消去を図り, 試験用血清としては, M.paratuberculosis, M.bovis, M.kansasiiまたはNocardia asteroidesに感染したウシ血清, 細菌学的には陰性でヨーネ病補体結合反応に陽性のウシ血清, Corynebacterium pseudotuberculosis感染ヒツジ血清を用いた. ELISAにおける偽陽性反応は, 被検血清をM.phleiで吸収することにより, ほぼ完全に消去された. 本吸収処理によってヨーネ病牛のELISA抗体価は影響されなかった.
  • 桑原 正人, 田中 茂男, 小出 英興
    1985 年 47 巻 1 号 p. 121-123
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    正常リンパ球のphytohemagglutininに対する反応は, 扁平上皮癌のイヌの血清を添加すると正常なイヌの血清を添加した場合に比べ著しく抑制された. 2次元電気泳動法により, この担癌動物の血清中には正常血清では認められない酸性たん白質が検出され, 担癌宿主の免疫機能の抑制に関与していると推定された.
  • 大前 憲一, 浜本 修一, 米沢 昭一
    1985 年 47 巻 1 号 p. 125-128
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    仔豚由来大腸菌から検出された120Mdプラスミドは, 易熱性毒素産生およびテトラサイクリン・カナマイシン耐性遺伝子群を同時に保有していた. 本プラスミドは, 自己伝達能を欠いていたが, 同一株中に共存していた60Mdプラスミドと共に他のE.coli K-12株およびC.freundii株ヘ接合伝達が可能であった.
  • 金 徳煥, 小野 憲一郎, 安田 和雄, 長谷川 篤彦, 友田 勇
    1985 年 47 巻 1 号 p. 129-132
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    アミロイド症牛5例および対照牛11例(腎炎3例, 健康牛8例)の尿沈渣についてCongo red染色標本を偏光顕微鏡により観察したところ, アミロイド症牛3例と健康牛1例に緑色偏光物質が認められた. ネガティブ染色標本と樹脂包埋標本の電顕観察では, アミロイド症牛全例と前述の健康牛1例の尿中に, 幅約15nm (10~20nm), 未分枝で非周期性のアミロイド線維が確認され, 剖検された本健康牛の腎髄質にはアミロイドの沈着が認められた.
  • 樋口 誠一, 川村 清市, 安田 純夫
    1985 年 47 巻 1 号 p. 133-137
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    T.sergenti寄生の牛未梢血液中の赤血球および虫体を走査電子顕微鏡で観察した. 寄生赤血球の形態は虫体による特異的膜隆起, つの状突起, こぶ状突起を有するものが多く観察された. 虫体の形態は, 桿菌状, 棒状, 球菌状の型に分けられ, それらの形態と虫体の発育増殖stageには関連性があることが示唆された.
  • 谷山 弘行, 古岡 秀文, 松井 高峯, 小野 威
    1985 年 47 巻 1 号 p. 139-142
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    北海道大雪山系で捕獲され, 帯広動物園で飽育されていたニホンナキウサギの肺に認めたCrysosporiumによる病変について病理組織学的に検索した. 病変部に認めた直径300~420μmのadiasporeは, その大きさ, 構造および染色性から, これまで多くの野生小型哺乳動物の肺に報味されてきたC.parvum var. crescensによるadiaspiromycosisのそれに一致し, ニホンナキウサギにおける本病の存在が明らかになった.
  • 上原 伸美, 澤崎 坦, 望月 公子
    1985 年 47 巻 1 号 p. 143-145
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    各種の調教段まにある競走馬15頭から採取された検体を被検材料として, 骨格筋筋線維構成の調教に伴う変化について吟味した. 白筋の構成比は加齢とともに増加し, 調教効果は赤筋構成比の増加として表現される. 一方, 骨格筋収縮活動の調節機行は, 訓練によっていわゆるスパイナル化することからみれば, 競走馬における調教効果は, 骨格筋の持続性収縮機能の増加として表現されることが示唆された.
  • 藤巻 由紀夫, 杉山 公宏, 磯田 政恵
    1985 年 47 巻 1 号 p. 147-150
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    9才のキツネの前肢に発生した悪性線維性組織球腫を病理組織学的に検索した. 腫瘍は主にストリフォーム, 多形性, 線維束性の増殖を示す部位から成り, 特に多形性の領域では線維芽細胞様の細胞と組織球様の細胞が混在し, 巨細胞の出現も認められた. 電顕的には線維芽細胞様の細胞, 組織球様の細胞, 巨細胞, 黄色腫細胞, 未分化間葉細胞が認められ, 未分化間葉細胞起源と思われた.
  • 谷山 弘行, 古岡 秀文, 松井 高峯, 小野 威
    1985 年 47 巻 1 号 p. 151-155
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    内水頭症を伴った新生子牛の骨格筋病変について組織学ならびに組織化学的検索を行った. 組織学的に, 骨格筋病変は単に筋束を単位とする小径筋線維群で構成されていたが, 組織化学的には筋線維のfiber-type groupingが小径筋線維群のみならず周囲の正常大筋線維群にも観察され, 本病変が脳神経系の何らかの異常に基づく変化であり, かつ小径筋線維群は神経性筋萎縮によるものであることが示唆された.
  • 小山 弘之, 梶川 治, 今村 安孝, 小笠原 俊実, 樋口 誠一, 吉川 博康, 吉川 尭, 斉藤 博
    1985 年 47 巻 1 号 p. 157-160
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    病理組織学的にリンパ肉腫と診断された8頭のイヌについてT・Bリンパ球亜集団を検索した. 検索例は1匹のポインター種を除いてすべて闘犬を経験した3~10才の土佐種であった. 発症犬の末梢血, 脾臓およびリンパ節におけるT・Bリンパ球の百分比を測定した結果, 全例において, Bリンパ球の著しい増加とTリンパ球の減少が認められた. 腫瘍細胞の培養材料についての血清学的および電顕的検索では, ウイルスの存在は証明できなかった.
  • 上原 伸美, 澤崎 坦, 望月 公子
    1985 年 47 巻 1 号 p. 161-163
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    軽種馬及びポニーの骨格筋数種について, 筋横断面積ならびに単位面積当り筋線維数の発育成長に伴う変化を観察した. 四肢筋と躯幹筋の別なく, 成長の経過について筋横断面積は逆に増大し, 単位面積当り筋線維数は減少した. これらの成績から, 成長に伴う筋体容積の増大は, 筋線維数の増加によるのではなく, 個々の筋線維の肥大によることが示唆された.
  • 布谷 鉄夫, 田島 正典, 桑原 博義
    1985 年 47 巻 1 号 p. 165-169
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    失調, 旋回運動, 昏睡および筋痙縮などの神経症状を示す子豚の疾患が某養豚場で発生した. 本病が発生した豚群では, 母豚67頭中20頭に異常産が見られた. 検索した2例の子豚の中枢神経病変は急性非化膿性髄膜脳炎と両側性脳軟化により特徴づけられた. 1例の子豚の大脳から偽狂犬病ウイルスが分離された.
  • 柳澤 利彦, 中永 和枝, 久和 茂, 藤原 公策
    1985 年 47 巻 1 号 p. 171-174
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ヌードマウス(ICR雌, 5週齢)26例にMHV-NuU株を腹腔内接種後, 25~52日生残した4例に大量の腹水貯留をみた. 病理組織学的には合胞性多核巨細胞形成を特徴とする肝炎, 脳炎, 腹膜炎と子宮炎および全身性血管炎がみられ, 血管内皮細胞と同細胞由来多核巨細胞, および子宮内膜上皮細胞に免疫螢光法によりウイルス特異抗原が検出された.
  • 松井 寛二, 天田 明男, 沢崎 坦
    1985 年 47 巻 1 号 p. 175-178
    発行日: 1985年
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    サラブレット10頭の心電図を胎生期から出生後12ヵ月まで追跡したところ, 雌馬1頭は生後2.5ヵ月齢以降に洞性不整脈をともなう第2度房室ブロックを示した. この例のブロック時の心室収縮脱落数, 洞性不整脈の程度ならびにWenckebach周期の様式は心房拍数に対応していた. このような幼駒の第2度房室ブロックの心電図学的特徴は, 成馬にしばしばみられるものと同様であった.
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